1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第81号

配信日:2003年01月31日

第81号
『マルチタスク』 『会社がプラットフォームを提供』 『出会い系サイト』 『新しい価値を消費する時代』他


正月に読んだ中沢新一の「人類最古の哲学」に触発されて、13日(祭日)
上野のアメ横探検。魚(カメでしたが)と、鳥(フクロウ)のピンバッジ購入。
両方とも生と死をつなぐ仲介者として神話の世界では重要な役割をしている。
時々、カメとフクロウのバッジをジャケットにつけて仕事に出かけています。
14日(火)健康調査の分析打ち合わせ。健康クラスター分析とライフスタイ
ルのマトリックス分析は有効。各クラスターのターゲットプロフィルが豊かに
なって、シナリオづくりがスムーズになります。
16日(木)企業と打ち合わせ。その後神保町の東京堂書店へ。改装されて大
変見やすくなっています。「ゴンゾー・マーケティング」「新ネットワーク思
考」「神話に学ぶこと」など購入。
17日(金)社内教育打ち合わせ。その後、日本オリエンテーションで新しい
仕事として考えている「健康マーケティング開発コンサルティング」の仕事の
新商品開発打ち合わせ。ネットを使った「健康仮説提案型調査」の企画。30
の健康コンセプトを開発するための調査テーマを考えてみました。「体調訴求
コンセプト開発」「女子高生健康コンセプト開発」「エルダー・ファスト・イ
ンプレション・コンセプト開発」など。吟味をしてみなさんにご提案をしてみ
たいと思っています。
夜総勢8人で、時計探検隊。青山のドイツ、スイスの機械式時計の「ランゲ・
アンド・ゾーネ」「スフィアパテックフィリップギャラリー」。150万円か
ら250万円の時計を緊張して腕につけてみました。印象は「きれい」「品」
「シンプル」。購入意欲がわいてきました。嗜好品開発のヒント満載でした。
またおもしろいテーマで探検に行きたいと思っています。
20日(月)元花王の事業部長のKさんと快食。対話はいい刺激になります。
よい対話の機会を作ることが重要です。
21日(火)大阪の企業と「開発視点30?大人市場・大人ライフ」の調査結
果を基にセッションを行いました。メイクユァードリーム、共家事ライフ、季
音・季香・季感、素イズム、工芸的工業製品を切り口にアイディア開発。おも
しろい発展がありました(私だけがそう思っているだけかもしれませんが)。
22日(水)、23日(木)「商品開発プログラムのたて方、30時間プラス
6時間コース」参加者との対話を取り入れ、課題解決のための実学セミナーに
したいと企てます。
24日(金)風邪気味で早退。以前風邪をこじらせ1ヶ月の風邪暮らしをして
しまったので、早め早めに。そのため体調回復、25日(土)、26日(日)
事務所に出て仕事。1月1日からため込んだ新聞などに目を通すことが出来ま
した。新年でありながらおもしろい刺激がない紙面でした。
27日(月)夜、食品メーカーのマーケッターが事務所にお見えになり、酒を
飲みながら今日的課題の話。NB商品に魅力がなくなり、ローカル(周縁)の
商品が元気。魅力を開発するためにもっと作り込まなければ、実用的商品は飽
和、などなど。
28日(火)「開発視点30?大人市場、大人ライフ」の説明会。変化を捉え
て仮説を作る、そのために大人ライフの変化キーワードを提案。翌日企業から
申し込みを受けてちょっとびっくり。企業のポジティブ大人ライフに対する興
味の強さがうかがえます。午後「魅力の開発」セミナーで講演。夜企業の方が
新事務所へ。快飲、快食。変化への気づき、変化の気づきを編集し、切り口を
開発することについて、楽しく、熱く話をしました。
29日(水)魅力研究会「心理消費」に参加。勝見明さんの話は、ジブリとデ
ィズニーの映画づくりの違い、なぜディズニーのアニメは成功しないのか。イ
トーヨーカ堂の鈴木敏文さんの、「富士山型」から「茶筒型」に変わった商品
ライフサイクル、マーケットの開発は「川モデル」から「井戸モデル」へなど
の「心理学経営」。時代、生活価値観を捉えるためのフックの数が重要など、
共感点が多かった。
松原隆一郎さんの話では、日本の制度が揺らぎが、不安を生み消費に影響を与
えている。メディアの変化などを含めて制度がどうなっていくか見ることが重
要。これからセンスのある消費者代表の編集術に長けた人がリードしていくの
では。同感でした。
いろいろの人と出会い、よく食べ、よく飲み、市場探検も楽しみ、まあまあ仕
事をしたそんな1月でした。
              日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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■『マルチタスク』
★解  説
コスモスと人間の関係をITのモデルとして考えると、情報だけを
分離し、インターネットの中(サイバー空間)だけのシュミレーショ
ン世界を作って現実世界と断絶する従来方式に飽きたらず、シースル
ーの半透明表示面を使った方式、つまり現実世界の中で「行動(例え
ば通信)」しながらVR(=バーチャルリアリティー)を重ねていく方
向へ研究が進んでいる。
行動しながら同時に他の仕事(通信など)を行う考え方(マルチタス
ク)は、原理的に従来の分業化の方針とは異なっている。
2000.1.20 日経新聞 石井威望(東京大学名誉教授) 
★ミネラル
左脳型マルチタスクになると恐ろしい。右脳型マルチタスクにし
たいですね。VRな海辺で仕事、ヒマラヤの頂上で創作仕事、深海の
中でディスカッション。楽しくなるかな?  
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■『会社がプラットフォームを提供』
★解  説
・ミスミの経営改革
「我々は、個人のために企業があるという構造をつくろうとしてい
る。個人がビジネスできるプラットフォーム(土台)は会社が提供
するから、あとは勝手に商売して下さいという仕組みだ」
「我々が狙うのはサラリーマンとベンチャー経営者の中間にいる人。
大企業の中でやりたいことをやれずにうずうずしているが、企業家
精神は20%程度しか無いような人だ」
「日本の企業は『何でもできる』企業になることを追いかけすぎた。
米国のように『ここでは絶対に負けない』という企業に生まれ変わ
らないと駄目だ」 2001.6.19 日経新聞 田口弘(ミスミ社長)     
★ミネラル
これからの企業にとっての有力な人材は、サラリーマンとベンチ
ャー経営者の中間にいる人。企業はそれらの人にプラットホームを
提供すること。1つの企業モデルでは。
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■『出会い系サイト』
★解  説
・実質を増す「新しい現実」
出会い系サイトでは、自己も他者も肉体や肉声や手跡を持たない、
操作・検索・選択可能なデータ群へと変換され、自室のような私的
な領域とその外部の不特定多数の人びとの間に存在していた空間的
な距離や隔たりは曖昧になる。
ディスプレイ上に現れた相手のプロフィルやメールに自己の願望を
投影することで、他者ときわめて親密に交流しているかのような幻
想も生まれやすい。そうした場所で人は、これまでの出会いのメデ
ィアや場にあった、自他の距離感や遠近法から解き放たれて、数知
れぬ他者たちと容易に出会い、交流する可能性を手に入れる。
コンピューター上に立ち上げられた“場所=サイト”は特に「仮想
空間」と呼ばれるが、出会い系サイトはこうした場所が決して「仮
想」のものなどではなく、これまでの「現実」と併存し、連続し、
時には衝突することもある、新たな現実の一領域として、多くの人
 々によって生きられていることを示している。
 「仮想現実」と訳されるvirtual realityのvirtualには「実質上の」
 という意味もある。
     2001.5.11 朝日新聞 若林幹夫(筑波大学社会学助教授)
★ミネラル
  仮想空間と現実空間の境が希薄になっている。今後は自分自身が
 現実なのか仮想なのかが不明になってくる時代になるのでは。
 virtualな人間を相手にマーケティングするとはどういうことなのか。
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■『新しい価値を消費する時代』
★解  説
  「今必要としているもの」というより「今自分の手元にないもの」
 「いままでにない新しい便利なもの」「いままでにない新しいデザイ
 ン」を求めている。
 商品「ファッション化傾向」を背景にして購買時期の前倒しが顕著。
 「安いもの」を求めているわけでなく「新しいもの」を求めている。
 買い上げ点数が増加傾向にある。今顧客が買い控える要因は消費者の
 フレ期待。
 このような「心理的」な側面から消費を捉えて、どう購買意欲を喚起
 したらよいのかと、対応を迫られていることも、かっての不況期とは
 異なっている。   020528日流鈴木敏文イトーヨーカ堂社長  
★ミネラル
  必要を欲しているのではなく、新しいを欲しているのだ。必要はす
 でに満たされているのだ、という意見です。新必欲商品、新必需商品
 は。今までの主力商品が陳腐になっている。カレーのルーも陳腐です。
 カレーのルーを否定する新カレーが今望まれているのかも。
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■『進化医学』
★解  説
 ・「なぜ病気に」根源探る
 「進化医学は、なぜ病気になるのかという根源的な問いに答えます。」
 米ミシガン大のランドルフ・ネシー教授
 人体は驚くほど精巧にできているが、その一方で、一見単純な不都合も
 残されている。例えば、発熱。乳幼児やお年寄りには生命の危険もある
 発熱という体の仕組みが、なぜ進化の過程で取り除かれなかったのか。
 「体内に進入した病原体にとっても、発熱は大変なトラブルなのです」
 とネシー教授は指摘する。体温が上がると体の免疫機能が高まり、病原
 体への攻撃力が増すからだ。「生物が生存するのにメリットとデメリッ
 トを測れば、『発熱』は十分有利だったため保存されてきた。発熱は両
 者のバランスの上に立つ、妥協の産物なのです」
 かつては生存に有利に働いていた遺伝子が、時代の変化で、逆に病気の
 原因となるケースもある。最近になっていくつか見つかった「倹約遺伝
 子」は、その一例だ。            20010618 読売新聞 
★ミネラル
  肥満は倹約遺伝子によるものといわれています。これから遺伝子レベ
 ルマーケティングがクローズアップされるのか。遺伝子レベルでターゲ
 ットを考える、商品を開発する、コミュニケーションの仕方を考える、
 そんな時代も来るのかも。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第81号 (2003/1/31) (c) 1999 Japan Orientation
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