1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第154号

配信日:2006年02月07日

第154号
『文化の多様性』『アシンメトリーデザイン』『40代』『新アジア人』『そのつど支持』

1月にイギリスのマツモト・ミネラル読者Mさんからメールをいただきました。

最新号で書かれていた「縮小文明の展望」月尾嘉男(東京大学出版会)に関して
共感。
アメリカはいうまでもなく未だに完全に「大きいことは良いことだ」がのし歩い
ていて、辟易することが多々ありますが、ヨーロッパはそうでもないのかもしれ
ません・・・。
ブータン、実は、知り合いの人(日本人)が一昨年行ってきて感動し、是非に、
とお薦め、メキシコ(主として遺跡巡り)やキューバに行って様々なことを
感じ、そして考えさせられました。地平線を広げるとはこのこと!という感じ
でした。
これらの国々とは比較になりませんが、イギリスでも、旅人や短期滞在者では
なく、実際に生活してみると、日本で通用する常識って、ほんとに、日本の中
だけでしか通用しないことがどんなに沢山あることよ・・・。
「生活DELIGHT」、改めて・・・良い言葉ですね。次号も楽しみにしています!

うれしいです。みなさんからのご意見大歓迎。出来れば双方向で意見交換を
したいですね。

今回はちょっと文化を考えてみる、キーワードです。

■『文化の多様性』
★解  説
  文化の多様性 侵略する側の経済力、軍事力が格段に強くなったのが現代
の特徴。
生活様式、価値観、礼儀正しさや美しさへの評価基準など、独自の文化の核が
失われる脅威がそれだけ大きくなっている。文化の違いや多様性、それに伴う
情緒がなくなると、文化は死ぬのである。生き延びるための処方箋を見いだす
には、現在進行中の、4つのダイナミズムを考える必要がある。
まずは国境を越えて加速する市場経済が文化を画一化するシナリオ、次が市場
経済が民主主義のグローバル化につながるシナリオ、3番目は文化が画一化せ
ずに合体して新しい文化を生み出すシナリオ、そして画一化や合体影響を拒否
して文化が衝突するシナリオ。
1番目と4番目が悪夢。2番目と3番目がよい夢。民主化とは国、地域、そし
て個人が文化を自ら選択して、創造し、発信できるということ。そして文化も
変化なしには生き延びては行かれない。既存の文化が合体して、新たな多様性
を生み出さねば。
               ジャック・アリタ 作家 日経新聞2004.12.24

★ミネラル
 多様な価値を認め合い発展するにはどうするのか、難しい課題です。まずは、
自分の日常の中の文化を見直し、心地よいことを大事にする。その次に家族の
共通の文化を見直し、再発見する、そして、コミュニティ、国の文化を見直す。
その時、風土と歴史的視点が重要です。自分の文化を大切にすることは世界の
文化を認めることにつながるのでは。文化は深さでは。
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■『アシンメトリーデザイン』
★解  説
 アシンメトリーデザイン 服・装飾や車、日用品にも、アンバランスが
おもしろい。
左右対称のデザインの建物(神社、教会、国会議事堂)の権威や秩序などの
古い価値観が崩れてきた。「製造工程の効率化などつくる側の発想からデザ
イナーが少しずつ脱しようとしている」
           東京造形大学教授 増田文和氏 日経新聞2004.11.13

★ミネラル
 権威、秩序が壊れ、また新しい権威、秩序が生まれてくる。シンメトリー、
アシンメトリー、そして次にはどんな形状が生まれてくるのかな。
またシンメトリーに戻ってしまうと、ちょっとおもしろくないですね。
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■『40代』
★解  説
 40代から始まる中年期は、思春期に続く、人生で2度目の危機。自分の
健康不安に加え、反抗期を迎える子どもや、妻との関係がうまく行かなくなる
のもこの時期。親の介護や死に直面する時期でもある。さらに仕事の面でも、
不本意な人事評価などで行き詰まりを感じ始める。人生は8勝7敗で十分とい
う気持ちになって、できることとできないことを整理する。その上で本当にや
りたいことを身につける努力をすれば、危機を好機に変えられる。
                     防衛医科大学教授 高橋祥友氏

★ミネラル
 そうそう、私もこんな年齢があったのだ。私はなーに、を考える一人の時間
が大事になるのでは。ちょっと止まって見ることも必要では。一人旅はこんな
時こそいいのでは。
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■『新アジア人』
★解  説 
 東アジアに均質の新しい消費者のパターンとライフスタイルが生まれつつあ
る。東京、ソウル、上海、台北、バンコク、クアラルンプール、シンガポール
などの都市を中心とした中産階級社会が成長した。国民的アイデンティティが
自明のこととなり、アジア人化してきている。
                     白石隆氏 読売新聞2004.11.14

★ミネラル
 アジア中産階級ライフスタイルの台頭、アジア同時発売などマーケットとし
ても魅力的になってきています。エイシアン・ブランドの開発も急務では。
しかし、どれだけアジアの文化を理解しているのか、まだ心許ない現状では。
アジアの人たちと一緒に遊んでみたいですね。
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■『そのつど支持』
★解  説
 「そのつど支持」の時代 選挙における有権者の変化。
支持政党なしがピークの50%から最近では40%ないし30%。政党支持が短期間
で急激に変化。「若高?老弱」からフラットな構造へ。潜在的支持での無党派層
が増えている。各年齢層の4?5割が潜在的無党派層。このことは政治リー
ダーのキャラクター、時々の政治状況によって大きく影響を受ける。
                      「軽くて柔らかい政党支持」
         埼玉大学経済学部教授 松本正生氏 朝日新聞2005.09.08

★ミネラル
 無党派ではなく、「そのつど支持」の概念がおもしろいですね。
強く支持、また長く支持することが希薄になってきている。
「軽くて柔らかい消費者」にどう対応するか。
「しっかり支持」してくれる顧客づくりが大事になるのでは。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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★マイカレンダー1月16日(月)?2月3日(金)    
16日(月)企業の人と新年会。日本オリエンテーションの「生活ナレッジ・
マイニング」をぜひやりたいとの話があり、消費者の生の声に基づく生活問題
を把握することの重要性が高まってきたのでは。
17日(火)化粧品メーカー、自動車メーカーの部長と会食。業界が異なると

話がおもしろい。
18日(水)企業2社の方と話。新規マーケットの開発と商品開発。  
工業的商品に対して、農業的商品が魅力になるのでは。ブランドの活性化と
新商品開発について。継続的ブランド活性化の重要性。
夜は大学研究室の新年会。若い人たちの将来の話を聞きながら、屋形船で飲食。

19日(木)客員研究員の人と、生活研究のあり方の話。
商品開発に繋げるには、まとめてしまうとダメ。ピンときた切り口ですぐに開発
へつなげること。
大学生でインターン希望の人と面接。
夜、カウンセリング。消費者の期待が潜在化している時の、ベネフィットをどう
開発するか。見えてきた。

20日(金)マツモト・オープンオフィス。2社の方々が来社。健康戦略の練り
直し。 ターゲット研究による生活提案型商品開発。
夜、「商品開発だべる会」マツモト・ミネラルのキーワードを使って、強制発想
で楽しむ。
24日(火)コンサルティング。生活研究テーマのブラッシュアップ。
夜新年会。自宅までお送りいただき恐縮。楽しく話して、おいしく飲みました。
ただ、話が弾むとつい食べるのを忘れて、半分ぐらいしか食べられず残念。
25日(水)コンサルティング。「生活ナレッジ・マイニング」の結果に基づく
新商品の切り口開発。

26日(木)27日(金)「商品開発プログラムのたて方セミナー」のスタート。
32人の参加。双方向で内容を深めることに注力。
27日夜、セミナー終了後、PF会へ。Path Finder 小径を発見する=冒険者、
という意味で、商品開発者の「息入れ、息抜き」の会です。
30日(月)異業界コラボレーションの話。商品開発コンサルティングの話。
コンサルティング課題の明確化。3社との打ち合わせ。ちょっとくたびれる。

31日(火)1日(水)松山へ出張。3企業へ。松山の魚はおいしい。いいとこ
ろでした。行きは伊藤忠の会長が横の席でした。
3日(金)調査会社の新役員の就任飲み会。これからの調査会社について話を。
4日(土)スパーキングの原稿を書くが、しっくりしないで焦る。

土日早朝映画を1人で見る、は3本。
「ニューシネマパラダイス?デジタル版」きれいな画面だが、何か陰影感に欠け
る感じがしました。

「バッチギ」2005年、キネマ旬報での日本映画ナンバーワン。再演されていたの
で見に行きました。日・朝間の解決していない怨念。なぜ日・朝間の高校生同士
が喧嘩をするのか。歴史はまだ解決されていない。「イムジン川」の歌を通して
融けていくのがホッとした感じ。
朝鮮高校の女学生、キョンジャの微笑みと芯の強さが、日・朝間の歴史を写して
いる感じがしました。

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」青山真治監督。
ウイルスに感染すると、自殺してしまう奇病が発生している2015年。
音楽によって発病を抑えられる可能性があり、草原の中、大音響の音楽で若い
女性の奇病を治す物語です。淡々とした、死と再生の世界でした。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第154号 (2006/2/7) (c) 1999 Japan Orientation
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