1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第178号

配信日:2007年01月09日

第178号
『変わる時間の概念』『江國香織』『社会・組織の見方』『変わる価格設定』『地域通貨とコミュニティーの復活』


あけましておめでとうございます。
自己を磨き、人を育む「場」を作っていく仕事をしたいと思っています。
これからの私のライフワークです。
今年もよろしくお願いします。 2007年初春

■『変わる時間の概念』
★解  説
 変化こそが唯一恒常的なこと。変化自体が変化し、加速化している。「持続
時間への期待感」は社会的な物(ハンバーガーを食べる、高級レストランで食
事をする)変化が加速すれば、もっと早く、多くのことが起きることを期待す
る。一部の変化の過程は(遅い変化、早い変化)急速に変化していて「同時性
の欠如」が生じている。経営戦略は早く変えられるが、社風はなかなか変わら
ない。(「同時性の欠如」)。また加速する変化がいくつかの結果をもたらし
ている。その1つは、関心が持続する時間の縮小。大衆の期待感も短期集中に
なっている。即答を求めている。この状況が政治的な幻滅の加速化をもたらす。
21世紀は人々はせっかちになる。
          アルビン&ハイディ・トフラー 読売新聞 2003.10.05

★ミネラル
 変化の加速化そのものが時代になっている。せっかちになるということは怖
いことでは。しかしせっかちになるんですよ。私は私としての根を持っていた
いですね。

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■『江國香織』
★解  説
 「私たちの世代は、豊かさの中で育ち、結婚も恋愛も自由になった。けれど
男性は、女性に比べると恋愛を謳歌していないし、女性は、奔放なようでいて
依然として家庭願望に縛られている」男女の溝はいつの世にもある、今の男女
の溝はあまりにも不自然、とりわけ大きな問題は男性側に言葉が足らないこと
だとみている。「言葉を信じておらず、記号のように使うから、コミュニケー
ションがうまく行かず、暴力が表面化してきた。厄介な問題ですが小説的には
おもしろいテーマ」
                         朝日新聞 2004.11.17

★ミネラル
 言葉が足りないのではなく、他人に対する思いやりが足りないのでは。
思いやることを言葉にしていくことが大切では。
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■『社会・組織の見方』
★解  説
 サッカーチームの動きを見ていると、社会や組織は意識を持った個人の集ま
りではなく、無意識を含む複雑精妙なコミュニケーションが実行される「情報
システム」と見なした方がよいのは。自分が他社と競争する孤立単位ではなく、
つながった情報流の一部であると考えることも、一種の処方箋では。
          西垣通氏 東京大学大学院教授 朝日新聞 2003.11.13

★ミネラル
 フォーメーションという概念が重要です。フォーメーションで動くためには
状況判断能力、感性といってもいいと思いますが、が必要になります。
これからは、その時々の状況を判断して、適切に動くことが出来る人が大事に
なります。
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■『変わる価格設定』
★解  説
 一物一価の価格設定に限界。
一物百価 消費者ごとに価格を設定する「ワン・ツー・ワン・プライシング」
金融機関の顧客ごとに異なる住宅ローンの利率、インターネット企業系の割引
率の異なるクーポンメール、航空会社のマイレージポイント、オークション方
式。
一物十価 消費者のある集団ごとに価格を設定する。
「グループ・プライシング」「バージョニング」消費者を購買意欲の異なる
グループに分け、グループごとに価格を設定、学生割引、シルバー割引、タイ
ムサービス。「バージョニング」は提供する商品やサービスを、提供する時期、
品質、性能などが異なる複数のバージョンに分けて提示することによって、消
費者に自分のバージョンにあった選択をしてもらう。ハードカバーの本と文庫
本、映画の劇場公開とレンタルビデオ、ガソリンのプレミアムとレギュラー。
百物一価 「バンドリング」複数の商品やサービスを組み合わせて一つの価格
で提供、お互いに補完性のある商品・サービスを組み合わせてパッケージ化す
る。マイクロソフトの「オフィス」、百円ショップも千円でどんな楽しいハン
ドリングが出来るかが魅力。
企業にとって顧客生涯価値が高い顧客に有利な価格を提供する方向にある。
野村総合研究所情報・通信コンサルティング部上席コンサルタント吉川尚宏氏
                       日経流通新聞 2003.10.07

★ミネラル
 消費者と企業との関係も多様になります。マスカスタマイズな関係開発の一
つとして価格の多様性はおもしろいのでは。
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■『地域通貨とコミュニティーの復活』
★解  説 
 ある婦人が近所の老人を車で病院につれていくと、お礼に地域通貨を受け取
る。婦人はそれを使って近所の青年にパソコンの設定をしてもらったり、商店
で食品を買ったりできる。面白いのは、法律相談であれ庭掃除であれ、一時間
の奉仕には同じ金額が支払わられる。これは「かつてあったけれども今はない
ものを、私たちは甦らせようとしているのかもしれない」コミュニティーの復
活。現金ではなく地域通貨で受け取る行為は、誰もが同じ価値を持つ世界の一
員になることを宣言することである。
              「マネーの正体」デイヴィド・ボイル 集英社

★ミネラル
 グローバル化に対して、コミュニティーの復活としての地域通貨の位置づけ
が対照的で、おもしろく、そして魅力的です。
               
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 12月29日(月)?1月8日(月)
年末、正月の休みは、家族とたらふく食べて、たらふく飲んで、ごろりと昼寝、
駅伝、大学ラグビーを見てテレビ漬けでした。

映画は3本
年末年始の休みに、早朝ひとりで見る映画は3本です。みんなおもしろく当た
りでした。
「麦の穂を揺らす風」アイルランドの農村を舞台にしてイギリスからの独立戦
争。戦争は誰のためにするのか、なんのためにするのかの問いが、素朴の農村
のパルチザンの戦いの中で問われている。お薦め。

「パプリカ」筒井康隆の「パプリカ」を原作の映画化。サイコセラピー機器の
開発により、人の夢の中に入り込み神経不安症、精神病の治療を行うセラピス
トの夢探偵の話。複数の人の夢が入れこ構造になっていて、スピーディーでダ
イナミックアニメーション映画でした。お薦め。

「ダーウインの悪夢」3年前にケニアへ行ったとき、ビクトリア湖畔に行った
ことがありました。タンザニアのビクトリア湖で、外来魚の「ナイルバーチ」
が繁殖して、在来魚が壊滅的打撃を受ける。「ナイルバーチ」は淡泊な味で、
欧州、日本に輸出されグローバル化されることによって、タンザニアは、エイ
ズ、ストリートチルドレン、売春、飢餓、戦争により悲惨な状態になる。
グローバル化というのは何なんだろうか。グローバル化のシンボルとして、大
型輸送機と貧弱な飛行場が印象的でした。近くで「エンロン」の映画を上映し
ていました。

1日、3日の新聞、朝日、日経、読売を塾熟読。
キーワードは
「ロストジェネレーション」「GNC」「国民総かっこよさ」「あいまい戦略
は民主主義ではない」「雑煮はスローフード」「熱循環」「街のコンシェルジ
ェ」「いちばん大事なことは、この国の将来に明るさがあるかどうかですよ」 
「あえて二兎を追う」「ファンド」「成長方程式」「内なるグローバル化」
「対内投資誘致」「家事経営時代」「原発建設」「希望の国 日本」「道州制
の利点」など。

本は「マネーボール」マイケル・ルイス(講談社文庫)メジャーの選手の新し
い評価を発見して成功したジェネラルマネージャーの話。イノベーションの誕
生、野球界でなぜ評価されないか、マーケティングの仕事をしている人にはい
ろいろなヒントがあります。
「グレートギャツビー」スコット・ヒッツジェラルド 村上春樹訳(中央公論
社)を読み始める。村上春樹の翻訳が楽しみです。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第178号 (2007/1/9) (c) 1999 Japan Orientation
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