1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:メルマガ「マツモト・新商品開発ミネラル」

【マツモト・新商品開発ミネラル】第273号

配信日:2010年11月16日

11月16日(火)
コトラーのマーケティングの本をあまり読んでいなかったのですが、「コトラーのマーケティング3.0」を読んでみました。マーケティング3.0の要素として、協働マーケティング、文化マーケティング、スピリチャルマーケティングが重要だと述べています。私のマーケティングの考えと重なるところが多々ありました。一読を。

■『「文化貨幣」と「文明貨幣」』
★気づき
 貝、布、皮、鯨の歯などの貨幣、呪術力なり、宝飾性つまり文化的なる何らかの力が宿っていると見なされている「文化的貨幣」その力は伝統的な文化的力に支えられている。権威に基づく利便性、利便性に基づく権威。「権威−信頼−利便性」で成り立っている。貨幣は市場経済の発展によって、銀行券や手形・小切手が金貨に取って代わってきている。情報化で、数字としての貨幣になった。預金が電子データになってきている。「文明貨幣」である。円はまだ文化貨幣的要素を持っている。ユーロは国民、国家の基盤から切り離されている。ドルは文明貨幣として流通していく。世界各地で生まれている多数の地域通貨が文化力の回復を目指す。
吉沢英成 甲南大学教授 日経新聞2005.8.25

★コメント
 文明は一般的には便利の追求。今は文明的貨幣が大部分だが、暮らしと密着した文化的貨幣との共存が求められる。給与が銀行振り込みになったことによって貨幣の文明化が進んだ。グローバル化でより進んだ。地域通貨に期待。
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■『年縞(ねんこう)』
★気づき
 年縞(ねんこう) 数万年の地球と文明の歴史を刻んだ縞模様。地球の年輪。
一年単位どころか季節ごとの変動まで読みとれる。大河の水位と文明の興亡、気温の急変と民族移動、農耕と牧畜と森林の盛衰など。年縞の解析では、日本や中国の揚子江流域を含む農耕漁労文明は、西欧の牧畜文明に比べ、価値の多様性に富むなどが分かる。
日経新聞 春秋2004.8.5

★コメント
 過去を知ることが未来の予測につながる。年縞(ねんこう)興味深々です。
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■『デザイン』
★気づき
 デザイン、ファッション性も重要ですが、工学的なデザインにこそ力を入れるべきだと思う。消費者に「買ったけれど廃せられた」と言われないように。デザインとは98%が常識、残り2%が審美的な要素。
コンランホールディング社代表 テレンス・コンラン

★コメント
 奇をてらうとすぐ捨てられる。機能、飽きない(DNA感覚)と2%の今日的感性が捨てられないデザインなのでは。
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■『編集』
★気づき
 編集とは、断片化、変形、思いがけない組み合わせ、引用などの手法を駆使すること。それと同時にイメージを通して人間存在の不思議を、さらには超越的な世界の道を探ろうとしているところに、現代におけるメッセージがある。

★コメント
 編集は創造です。頭の中の情報と外部からの刺激によって編集していくことが創造では。マーケティングにもっと編集を。
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■『思い出「新しさ」感じたくて』
★気づき
 「新しさ」感じたくて 映画、音楽、映画など、過去を回想する作品が増えている。それも昭和30年代のような「一昔前」ではなく、たった15年前のバブルや10年前の長野五輪をも含めて、である。これは何を示すのか。
「思い出工学」を研究する成蹊大の野島教授は、時代が速く早く変化していくのに合わせ、「社会や時代が細分化している」と言う。一昔前だと「世代」で時代をくくれたのが、今や「年齢」や「場」ごとに価値観が変わる。そのため、「自分が何者か」を語る際には、過ぎた時間よりも、過去や周囲との断絶感の方が契機になる。
一方、社会学者の見田氏は「逆に社会は減速傾向を見せている」という。世代間の価値観の差は年々小さくなり、時代の変化も単調になる。しかし、高度経済成長期からの「次の10年はより良い10年のはずだ」という加速度的変化の感覚が刻まれているため、その違いに違和感を抱く。結果、たった10年前の、それも大して価値観の変わらない時代を「古い時代」として扱いたがる。
 単なる情報としての「記憶」を「思い出」に変えるのは、めまぐるしく動く時代か、それとも時代と意識とのギャップだろうか。
朝日新聞2007.1.4

★コメント
 懐かしさは幸せ感につながる。今、「思い出」を通して「幸せ感」を求めているのでは。

日本オリエンテーション主宰 まつもとかつひで

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第273号(2010/11/16) (c) 1999Japan Orientation
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