1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:学び合いの場

「家族のこれからとマーケティング」 まつもとメモ

1.家族は個に分散しているが、共に、の意識も強い。「個・共」はキーワードでは。
2.家族間の距離感をどう考えるかがだいじなポイント
3.家族の個々の欲求を満たす商品開発。雑穀米も家族みんなではなく、好きな人の個食の開発が必要。
4.家族の、コンフリクトな欲求を満たす商品開発も面白いのでは。 すき焼きはみんな一緒の鍋、しゃぶしゃぶは個の欲求を満たすタレで食べられる。
5.家族の新しい関係の開発。その時ベースになるのはペアー。夫婦の関係開発、父と娘の関係開発、父と息子の関係開発、祖父母と孫の関係開発。いろいろな新しい関係開発がオポチュニティーになるのでは。
6.親子の関係が友達感覚になってきている。60歳と30歳の親子、30歳と10歳未満の親子。
7.「新・大家族」親,子,孫の三世代に対応したサービスや商品が登場。一般的には非同居。
8.男性も家族と一緒に過ごす時間が増え、家事全般に関係してくる。このことがどんな変化を生むかを考えてみることが必要。共・家事商品の開発。
9.家族はケアー組織。ケアサービス、ケア商品の開発。
10. 家族の崩壊と新しい共同体。血縁を中心とした家族から、それとは異なる共同体(同性家族、複数家族など)新しい家族のあり方によって男・女の固定的役割が崩壊していくのではないか。
11. 新家族事情
混成家族、親が違っても固い絆・新離婚ライフ、それぞれの人生を求めて週に2〜3度通い夫、男性同士・女性同士の家族、高齢者の単身共同家族
12. 住宅
住宅も、男の家から女の家へ。家族のプラットホームと、個々のモジュールの開発。

【参加者からのコメント】 大変良いコメントを多数いただきました。
・これまでの「家族を内向きに見る」だけでなく、「家族と家族のつながり」や「親子関係の変遷」を意識する視点は、ショッパーマーケティングにつながる内容ですね。
・父と娘はこれからより近い存在になる気もします。人と人の関係は時代によって変わるものであり、それを考察することの大切さも学びました。
・家族の中に「個」の存在がある→キズナは大事。自分の居場所としての家族を大事に思う人が増えている。しかし個としても自由でありたい。家族の外のつながり(家族と他の家族、東京マラソンのような他人との共同体 等)を重視するポジティブ人間が増えている一方、自分の家族のことを優先しすぎるネガティブ人間もいる。二極化。
・家族としてのとらえ方が以前と比べて多様化してきたように感じました。
血縁関係、血縁ではない親子関係、同姓同士、母子家庭、父子家庭、離婚、同棲、ペット等々。
<家族の姿はどう変化してきたか>
・ひとり膳からちゃぶ台へ 食卓の出現が「家」から「家族」という認識へのシフトを生んだのかもしれない。 大皿の取り分けから、分け盛りへのシフトが続いていると思う。分け盛りがエスカレートして、個食化、孤食化?パイントから個包装はこの流れ?
・柱時計の喪失と親父の権威失墜 権力への憧れと依存から、自己実現と自立への変遷
力に集まる組織形態から、協力しあう組織形態へのシフトはこの流れから生まれている?
・油断できる だから主張できる、だから空気を読まなくていい、だから相手を規制できる・・・
現象としてバラバラな好みの主張が許容され、個食化、バラエティ化が進む。「寛容」という意味では、社会的には向上のベクトルかもしれない。
・つながっている 安心感、信頼感がある。不安が大きいからこそ拠り所が欲しい、不信だらけだから信じられる存在が大切?
・帰る場所 巣としての家(ホーム)、基盤(ベース)アイデンティティとしての血縁や歴史が刻まれた場所。
・ソトに対する「ウチ」 「ウチ」とのつながりを「ソト」に見せたい自己表現欲求がありそう。
いいパパを演じたいから、甲斐甲斐しく犬の世話をするとか。「ウチ」の充実を「ソト」に見せることが、幸福感の表現手段?「家族」のインサイトの中に、ソトとのつながり感がある?
血縁の家族に限らず、ごく親しい仲間、チームは家族的な存在。環境に対するウチ・ソト感は、ホーム・アウェイ。ホームの気分が家族に近いか?コ・ワーキングやシェアハウスはこの考え方の具現化。
・一緒にいる・・・運命共同体?安心感や安らぎの裏側に、束縛感、息苦しさ、閉塞感という面が存在している。血縁家族は「イチ抜けた」が出来ない重さがある。子供の虐待や親子の殺人はこんなところに根があるのかも。家族を考える時に、近親憎悪というものは知っておくべきかもしれない。社会に対するシェルターとして家があり、家族に対するシェルターとして個室があるとも考えられる。どこかで逃げ場が必要?
<理想の家族像>
・以前は典型的な家族の理想像があった。社会が均質で経済が右肩上がりの時代は、無条件に安定した人生のイメージを誰もが描くことができた。社会の成熟とともに、ライフスタイルや価値感が多様化し、社会の共通認識としての典型的な人生イメージが失われてきた。現代は出口の見えない経済不安が重なって、人生の将来イメージに不安が色濃くつきまとう。ステレオタイプな「家族像」が失われた今、人々は自分にフィットする「家族の姿」を求めているのではないか?
ペットと一緒に暮らす生活、子供がいる生活・・・幸福感につながるイメージを具現化したいニーズ?
<もっとマーケティングにブレイクダウンすると・・・>
・ピンポイントの価値を高質化することで消費を喚起できるか。母娘消費:友達感覚。父息子消費:ライフスタイルの魅力が父への憧れ?親子消費の背景に、どんな心が隠れているのか?
・家族に向けたマーケティングの姿。「なりたい家族像」を強めるソリューションが求められている。家族は個の主張を寛容するが故に、関係性がばらけてゆく・・・個集の時代?裏を返せば、ばらけ感を補完したいニーズが隠れているのではないか?それは「つながり感」の提案!
多様化した「家族」の定義を明らかにすることがターゲティングの起点になる。
「なりたい家族像」のイメージは、ライフスタイルによって、世代によって、ライフステージよって異なってくる。血縁家族を中心に置いても良いけれど、発展的に考えればつながる相手は血縁家族に限らない。何でつながっているコミュニティなのか、がポイント。趣味でつながる、価値感でつながる・・・目指すコミュニティに向けて「つながり感」を醸成するコア・バリューを、どこまで魅力的に提案できるかが鍵。不満の解消は単なる充足で、満足以上の魅力にならない。補充はソリューションになり得ない。 成熟した社会の気分は、マイナスを補って余りある魅力を求めている。その魅力があるからこそ、ソトに向けた自己表現の手段となり得る。
不安が大きな社会だからこそ、不安を解消するニーズは大きい。不安を解消するだけではなく、感動や喜びに届くまで大きな価値が求められている。
<留意すべき点>
・社会は価値感だけでなく、自己効力感も多様化している。
・マインドセットがネガティブかポジティブかで、価値感が大きく違う。
・ターゲティングの際には、マインドセットの状態を考慮すべき。
・今回のキーワードとしては、『共有 』 というふうに感じました。
血のつながりより時間のつながり(共有)であったり、トマト苗を親子または孫と育てることや、鍋についての議論でした。現代の子供は自己主張が強い中で味をそれぞれの好みで使用しながらも家族としてのつながり・時間のつながりに共感を感じました。