1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモト・新商品開発ミネラル」

【マツモト・新商品開発ミネラル】第303号

配信日:2012年1月17日

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・■■■        商品開発・マーケティングの
・■□■   MATSUMOTO・新商品開発MINERAL
・■■■     発行者:日本オリエンテーション 松本勝英
        毎月第1・第3火曜日発行(創刊 1999/10/01)
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    ■□ 第303号 Table of Contents □■
      ◇マツモト・新商品開発ミネラル
      『思考を放棄して袋小路に』
      『神話的思考』
      『ドアがない!? 未来の電車』
      『不思議』
      『「動的平衡」福岡伸一』

◇伝言
第115回「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー
2012年2月9日(木)スタートです。ぜひご検討、参加を。
トータル・マーケティングの視点から、商品開発を実践的に深く学ぶ『場』です。利益を生み出す新商品、ニーズ開発、商品コンセプト開発、テスト手法、ネーミング・パッケージング、導入プランづくり、導入後のフォロー。商品開発の全てが学べる6日間36時間のセミナーです。今までに28年3000人以上の参加。

2012年1月17日(火)
今年は、「学び合いの場」を積極的に開催したいと考えています。皆さんが興味を持っているテーマを取り上げ、商品開発、マーケティングを仕事としている人たちや興味を持っている人たちが集まり、お互いに学び合う場です。例えば、「美味しいとは」、「2030年のライフスタイルを考える、これからの商品を開発する」、「新しい価値観を考える」、「食のマーケティングを考える」、「生活DELIGHTを考える」、「官能開発を考える」、「自動車のこれからを考える」などなど、ぜひ、ご自分の課題、近未来の課題を「学び合いの場」で展開してください。
ちなみに、2月23日(木)「ヤミツキを考える」を開催予定です。「ヤミツキの力」(光文社新書)の著者、廣中さんと遠藤さんをお迎えして「学び合いの場」を予定しています。近日、ご案内をメルマガにて掲載します。

■『思考を放棄して袋小路に』
★気づき
 『思考のトポス 現代哲学のアポリアから』(新曜社)などの著書がある哲学者の中山元氏は、現代文明は深刻なアポリア(袋小路)に入り込んだとみる。科学は核のように環境を後戻りできない形で変えてしまう力をもつ技術を生み出し、一方で生命は大切だという人類が共有してきた価値観や規範は大きく揺らいでいる。「哲学や思考の無力が実感され、社会の中に一種の思考の放棄ともいえる現象が広がっている」。もっと根本的な問題は、現代のアポリアに立ち向かうべき人間の姿そのものが、大きく揺らいでいることではないかと考える識者もいる。「人間を全体として考えるのではなく、心や器官などの一部分だけを取り上げて問題にする傾向が強まっている。人間の断片化や細分化が進んでいる。」脳は機械によって鍛えられ、心は専門家の手で管理される。そして目や耳は別々の情報端末につながれている。バラバラな部分が組み合わされたような現代人の姿は、不気味なギリシャ神話上の怪獣を連想させる。
朝日新聞 2006.12.14

★コメント
 能動的思考が滞っている。いろいろなことを、丸ごと外部にゆだねていた。原子力発電も知らないうちに安全だと信じてきてしまった。東北大震災を経験して、私たちは能動的な思考を磨いていかなければならないことに気づいた。もっと能動的に考え、能動的な暮らしをしていかなければ。
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■『神話的思考』
★気づき
 神話の世界では、仲介機能が重要な役割をしている。生と死、男と女、乾燥と湿気、身分の高い低い、バーチャルとリアル。人間には仲介、コミュニケーションの欠如がありそれらを仲介するのが神話である。
「人類最古の哲学」中沢新一(講談社選書メチエ)

★コメント
 二者択一ではなく、それらをつないでいく仲介の概念が大事になってくる。神話の見直しが求められてくるのでは。
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■『ドアがない!? 未来の電車』
★気づき
 20代の3年間を高齢者に変装して過ごし、著書「私は3年間老人だった」で知られるパトリシア・ムーアさん。工業デザイナーで、かつ老年学者というユニークな存在。彼女がデザイン中の未来のコンセプト車両は、乗客が狭いドアに殺到することがないよう、ドアそのものをなくしてしまった。そのかわりに、車両片側の壁全体を開けてしまう。「世界中の人が電車の乗り降りで困っている。それを解決したいと思った時、電車に必ずしもドアは必要ではないという発想が浮かんだ」という。
読売新聞2007.4.19

★コメント
 私も昔、自分が女性になった視点でいろいろ見ていたことがありました。それをメモして、まつもと「更級日記」を付けていました。
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■『不思議』
★気づき
 クラフト・エヴィング商会。科学的装置から玩具まで、それが不思議を醸すモノだけを扱う。火をつけたら脳内スクリーンに映画が映し出される<携帯用シガレット・ムービー>、<稲妻のさきっぽ>、「アナトレントの鞄」、「すぐそこの遠い場所」、「らくだこぶ書房21世紀古書目録」、「ないもの、あります」などの著書も面白い。
よしだあつひろ、よしだひろみ
読売新聞2005.8.20

★コメント
 昔、宇宙から来たマーケッターになろうと考えたことがありました。特殊な服を着ていて、テレビに出て、宇宙ではこんな商品があるのだと紹介する。30年前の遊び発想でした。 クラフト・エヴィング商会にはそんな発想があります。スティーブン・キングの「ニードフル・シングス」もこれに近いホラー小説です。おもしろいですよ。
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■『「動的平衡」福岡伸一』
★気づき
 20種類のアミノ酸の組み合わせが「情報」となる。消化とはアミノ酸に解体すること。食べ物が体内に入ったということは、消化管内で消化され低分子化された栄養素が消化管壁を透過して体内の血液中に入ったとき。消化管神経回路をリトル・ブレインという。合成と分解の動的平衡が生きているということである。食べ物とはエネルギー源というよりむしろ情報源である。消化吸収しやすくする為に低分子化する。身体にいい食べ物とは必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食材。
自然界はジグモイド・カーブ。生命を含む自然界の仕組みの多くは比例関係=線形性を保っていない非線形性。S字を左右に引き延ばしたようなシグモイト・カーブという非線形性をとる。
食に対する時間軸に沿って遠くを見渡す「遠近法」を見失っている。機械と生命の違いは時間である。生命は1+1=2+α、αは時間によってうまれる。プラスαはエネルギーと情報のやり取り。生命は機械ではない、そこには機械とは全く違うダイナミズムがある。生命の持つやわらかさ、可変性、そして全体としてのバランスを保つ機能、それを「動的な平衡状態」という。生命にとっての時間という観念。 生命とは動的平衡な状態にあるシステムである。

★コメント
 「動的平衡2」が出版されました。「動的平衡」を読んだ私のメモの一部です。おもしろかったです。
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◆土日朝一番の映画
連休があったので、おもしろい映画を堪能しました。
「サラの鍵」 監督ジル・パケ=ブレネール キャスト;クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス
パリでのユダヤ人迫害の歴史の汚点。ユダヤ人少女サラの過酷な歴史と人生。それらがジャーナリストにより明らかにされていく。ラストはジーンときて、熱くなった。陰影のある映像。おすすめです。

「灼熱の魂」 監督デニ・ヴィルヌーヴ キャスト;ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモー=プーラン、マキシム・ゴーデット
凄い感動でした。双子の姉弟が、死んだ母親の歴史と過酷な運命をさまよい、発見する。中東の宗教紛争の本当に悲しい物語。音楽も心を浄化する。憎しみの連鎖を断つ、がメッセージ。ジーンとしました。涙もろくなってきたのかな。おすすめです。

「善き人」 監督;ヴィセンテ・アモリン 主演;ヴィゴ・モーテンセン
善き人の優しさと弱さ。ナチの大きな力に対して良心と保身の葛藤。ドイツ映画なのに英語はちょっと違和感。

「恋の罪」 監督;園子音 キャスト;水野美紀、冨樫真、神楽坂恵
人間の表と不気味な裏が、セックスを通してグロテスクに現れてくる。園子温監督は躊躇せず見せる。人々は、誰もわからない「城」の入り口を探している。R18映画だが、言われているようなセックス場面だけが突出することはない。大方斐紗子が不気味な上品さで好演。おすすめです。

「ヒミズ」 監督;園子音 キャスト;染谷将太、二階堂ふみ
ヒミズとは地下を這いまわるモグラ。大震災を受けて、少年と少女を取り巻く震災被害者の善意の日常と、暴力的両親の極限を描くことによって、生きる力を表現。東北大震災の再生の歩みが感じられます。ぜひご覧ください。

日本オリエンテーション主宰 まつもとかつひで

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第303号(2012/1/17) (c) 1999Japan Orientation
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