「商品開発スパーキング16 - 顧客志向の商品」を読まれた企業のマネージャーの方から、「納得なのですが、なかなかメーカーの開発担当者に、言われるような発想・思考に行かず苦慮しています。製品説明のための言い訳ニーズで企画が進み、生活メリット不在、よくあることです。何とかせねばと納得です。」とのご意見をいただきました。
毛布問答昔ある毛布メーカーへ伺ったことがありました。毛布が売れなくなったので意見を聞きたいとのことでした。
まず、最初の私の問いは「毛布とはなんでしょうか」。
答え「毛布は毛布ですよ」
問い「毛布は毛布ではわからない、毛布とは何ですか」。
答え「当社の毛布は、・・・糸で、編み方は・・・編みで作ります。工場を見ますか」
素材と作り方の答えでした。
消費者はなにを期待しているのか
問い「消費者は毛布に、なにを期待しているのですか」
答え「なんでしょうかね。松本さんはどうお考えですか」
私の答え「毛布に消費者が期待しているのは快眠では」
消費者は毛布を欲しているのではなく、冬の寒さの中で、快眠したいと欲していて、他の商品と比べて、毛布がよりよく快眠を満たしてくれる期待から、毛布を購入するのでないでしょうか。
企業の開発者から「快眠」だったのですかといわれ、こちらがびっくりした経験があります。
消費者の視点から見ると、この企業は「毛布」の会社ではなく、「快眠提案」企業であるはずです。
「それでわかりました。今、電気毛布が売れている理由が」
「しかし、電気毛布の不満は、強制的に暖めているので、長時間使用すると不快を感じるのです」
それを聞いた、私の意見は「自然な快眠を提案したらいかがですか」
もうひとつの経験をお話ししておきます。
あるアルコール飲料メーカーの研究マネージャーとの話でした。
「研究所で、今売れている焼酎を分析すると、私どもの焼酎の「完成度」が高いのですが、なぜ完成度の低い焼酎が売れて、完成度の高い私どもの焼酎が売れないのでしょうか」
私の答えは、「消費者は完成度で選んでいるのでしょうか。のどにスムーズで、爽やかな飲み心地で選んでいるのでは」
「製品発想」と「商品発想」の違いです。
私は企業の人と仕事をするときに、いつもこんな問いを発しています。
「ビールって何ですか」「木造3階建て住宅って何ですか」「ロースハムって何ですか」
「ビール」の3W1H(who、when、where、how)を考えてみて、ビールを飲んでいる生活シナリオをイメージしてみる。
木造3階建て住宅の3W1Hをイメージしてみる。木造の2階建てを建てる人、場所とどう違うのか。鉄筋の3階建てを建てる人とどう違うのか。
2階建ての人と比べると狭小スペースかも、30代初回購入者かも、親からの土地を受けついた都市型狭小スペースで、親との同居3世代家族かも。鉄筋建ての人と比べて自然志向かもしれません。
木造3階建て住宅とは「都市型・狭小・自然たっぷり3世帯住宅」かもしれません。どんな魅力提案を考えますか。
みなさんの商品を一度、消費者の生活メリットという視点で再定義をしてみませんか。そこから「商品発想」がでてくるのでは。
日本オリエンテーション 松本勝英
|
|
|
|