1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

20. カテゴリー・ナンバーワン戦略1-市場創造ナンバーワン

市場創造はなかなか

市場創造は大変魅力的な言葉です。しかし、なかなか強面な言葉です。当社でなぜ「ウォークマン」みたいな、市場創造型商品が出来ないのかと企業のトップは嘆いています。そのトップが言っている「ウォークマン」はすでに30年以上前の商品です。なかなか、おいそれと市場創造型商品は生まれないのです。
市場創造商品イコール「状況」創造商品です。今までにない新しい状況を商品で創造することです。携帯電話は歩きながら、街中で電話をするという新しい状況を創造しました。

顕在市場、潜在市場、創造市場

 市場を見ると、顕在市場、潜在市場、創造市場に大別されます。
顕在市場はすでに見えている市場です。この市場で成功するには消費者の「不」、不足、不満をしかり見ることがポイントになります。しかしこの市場はすでに成熟化していて魅力的ではありません。

潜在市場はこれからの魅力市場です

この市場で成功するには、変化の芽を感じ取ることが重要になります。統計的なデータはまだありません。地下鉄内で化粧をしている女性から、生活の「遊動化」が起きていると感じ取ることが必要です。
家庭、企業、学校などの「内の生活」から、消費者の生活ベースが外にでてきています。これからもっと「遊動化」が進んでくるかもしれません。
歩きながらの食事、いつでもどこでも水なしで洗えるシャンプー、シャンプーは洗面所、風呂場でするという固定概念は変わるかもしれません。地下鉄内でシャンプーをしたいと思っている人もいるかもしれません。
体で感じて、イメージを拡げることがポイントです。

創造市場、これは魅力的ですが、なかなかやっかいです。

創造市場を開発する人は「変な人たち」です。
変なことを考えている人、眼の中にメガネを入れたらという発想は、普通の人にはなかなかでてきませんし(コンタクトレンズ)、理解しがたいことです。
変な人が、一般の人が考えないことを、「執念」をもってやり続けることから市場創造型商品が生まれてくるものです。
あなたが市場創造者なら、「執念」が必要です。社内で理解されなかったら独立するぐらいの「執念」がないと成功しにくいのが現状です。

それでは市場創造型商品を開発するには

市場創造型商品を開発、成功するためには
1.新視点
2.啓蒙
3.必欲状況づくり
が必要です。

既存の視点を捨てて、新視点で

既存の視点とは異なる、新しい視点で見ることです。
サントリーの「ダカラ」は新視点飲料だと思います。
飲料の既存の見方はいろいろあります。
水分の補給などの「補給」という見方は一般的です。
「ダカラ」は体内の過剰のものを「排出」する飲料です。私は痛風持ちで、毎日2リットルの水を飲んで尿で排出しなければいけないのに、「排出」飲料の視点を発見することが出来ませんでした。やられたと思いました。

新視点を開発するには、まずテーマ商品についての既存視点を全て出してみることが必要です。出てきた視点を捨てて新しい視点で見てみる。
例えば「食品」の既存視点は空腹を満たすですが、食べると空腹になる食品は考えられないでしょうか。
自動車は「動く」ものです。見ているだけで、触っているだけで楽しい車は考えられないでしょうか。
広い家に対して、狭い家の魅力を開発する。台所のある家に対して、家そのものを台所にしてしまう食いしん坊の家。
新視点の発見については後日詳しく述べてみることにします。

広告だけでは売れない、啓蒙教育が重要

今までになかった全く新しい商品を、広告などで普及させることは大変難しいことです。実際に使ってみないとその良さがわからないからです。
シャープの調理器「ヘルシオ」は水で調理をする器具です。使ってみて、食べてみないとその良さは理解できません。使用する機会が重要です。
低価格のリピートのある商品では徹底的なサンプル配布が有効です。
啓蒙教育プランが決め手になります。そして導入のために多額のマーケティングコストが必要になります。

戦略的広報による必欲状況づくり

大塚製薬の「ファイブミニ」が発売されたときに、雑誌、新聞、テレビで繊維が重要だという情報がたくさん現れてきました。これらの情報によって、消費者が、繊維の重要性を認知しつつある時に「ファイブミニ」が発売されました。
戦略的広報が重要です。戦略的広報によって、必欲状況をつくることが導入、普及をスムーズにさせます。
これらのことが市場創造型新商品成功のポイントです。

日本オリエンテーション 松本勝英

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