46.「生活比較分析」と「商品進化パターン」
ニーズを開発する方法はいろいろです。はじめに述べましたように定型的方法はありません。私は「ギャップの発見」「先行指標の発見」「生活システム分析」(43,44,45号で述べました)などを活用して、情報の収集、調査の設計、分析などからニーズの開発を行っています。
その他、有効な方法として、「生活比較分析」「商品の進化パターン」なども活用しています。
生活比較分析
よくやられていた生活比較分析は、世界と日本の生活の比較分析で、比較することによってテーマを際だたせ、ニーズを発見する方法です。
東京の公園が多いのか少ないのかは、パリ、ロス、ニューヨーク、などと比較することによって明確化します。そこからなぜ少ないのか、なぜ多いのか、その理由を考えてみると公園ニーズが見えてきます。
アメリカでヒットしているが、日本ではあまりヒットしない理由のWHYを発見するのに、商品の生活場面での比較、たとえば、3w1h(who,when,where,how)から、なぜアメリカでヒットして、日本でヒットをしていないのかのWHYを発見し、ヒットのための日本トリガー(引き金)を考える。これもニーズ開発です。
日・米の雑誌のテーマの取り上げ方の違いの分析、リビングのあり方の比較分析、朝食の比較分析、夫婦のあり方の比較分析、男女のあり方の比較分析をすることによって、日本のリビング、朝食、夫婦、男女の課題が見えてきます。
海外との比較でなくても比較分析は有効です。
ビール好きと、日本酒好きの比較分析、誰が、いつ、どこで、何をどのように飲んでいるのかを比較分析することによって、日本酒好きの特性、そこから日本酒ニーズを発見することが出来ます。
ビールに比べて、日本酒が好きな人は、落ち着いて、ゆっくり、おいしい食べ物と、味わって飲んでいることが比較してみるとよくわかります。日本酒に対して、深さ、生活ことこだわり、おいしい食べ物をよりおいしく食べるために飲むなどが見えてきます。
木造3階建て住宅に消費者が求める効用は、といってもなかなかそのイメージがでてきませんが、鉄筋3階建てと比べると、自然に包まれ、心地よさを求めていること、木造2階建てと比べるとスペースを有効に活用したいことなどが浮かび上がってきます。木造3階建てに求められるニーズとしては、自然に包まれた感覚で心地よいこととスペースを有効に利用できる家かもしれません。
あらゆるテーマで、生活比較分析は有効です。
商品の進化パターン
商品には進化のパターンがあります。
一例として、お風呂のカビ問題について考えてみます。
まず、カビの発生を解決するため、風呂場のカビを除去する(問題の解決)→出来るだけ簡単に除去する(便利化)→カビが出来ないように予防する予防剤の開発(予防)→カビが出来ない風呂の内装材の開発(あらたな仕組み)
実質訴求→感覚訴求→イメージ訴求→新実質訴求の進化パターン
例えば洗剤で考えてみると
よく落ちる洗剤(実質訴求)→香りのよい洗剤(感覚訴求)→家族への愛情洗剤(イメージ訴求)→環境にやさしい洗剤(社会化)
単品→組み合わせ→システム化の変化パターン
調味料で考えてみますと
醤油(単一)→ポン酢(組み合わせ)→具入り調味料(システム化)
住居用洗剤で見ると
住居用洗剤マイペット(単一)→ダスキン(組み合わせ)→クイックルワイパー(システム化)
そのほか業界、商品によって、いろいろな進化パターンがあると思います。
それらの進化パターンを把握して、現在の商品のステージと、次のステージの商品を想定・仮説を考える。
「商品進化パターン」の把握は、NEXTニーズを発見するのに有効です。
日本オリエンテーション 松本勝英
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