グループインタビューの本などでは、司会者は、人間の心理に対して洞察力があり、商品に対する専門知識を持っていることなど難しいことを言っていますが、消費者の生の声を聞きたいと思っている、熱意ある商品開発担当者が適格だと考えています。
1,面接テクニック面接は、導入とテーマに分かれてきます。
(1)導入テクニック
1. 挨拶、調査主体及び自己紹介、面接の主旨の説明、発言内容の秘密保持についての約束などについて述べ、相手を納得させ、その協力を求めた上で面接に入っていくのが原則。
2. 被面接者自身の特性項目は、あらかじめ明らかになっていることが多いがそれをきっかけにしてしだいに本題に入っていくことが望ましい。
3. 自己紹介の段階で笑いがでれば、ラポート(心の垣根を取る)がかかったと考えられ、テーマインタビューに入ってもよい。笑いの話題を司会者サイドで用意しておくことが必要。
(2)テーマインタビューのテクニック 1. 最初の話題としては課題商品そのものから入るより、マクロ及び周辺の話題から入るのがよい。
2. 司会者は上手な聞き手であることが原則である。
・対象者の考えを対象者の言葉で話してもらう。
・話題はリードしても内容はリードしない。
・こちらにとって望ましい反応がなにか対象者にさとらせない
3. 質問の進め方。
・質問はまずマクロ及び周辺情報から入り、より具体的、直接的に進めていくことが必要である。
・質問の流れをせきとめないよう、自発的発言を利用して話題に引き込んでいき、余り本題をはずれた時は適当なところでもとにもどす。
・一問一答にならず対象者お互いの話し合いにならないように一問一答形式を排除
4. 発言を促進するために:「みなさんはどうお考えになりますか」。
・引っ込み思案の人、話題に興味を示さない人に対しては導入インタビュー時(自己紹介)に適切な手助けをすることが必要である。
・また笑顔をむけて目顔で発言を進めたり、小さな発言でもその発言をとりあげ、勇気づけ、時には指名することも必要である。
・話を独占したがる人に対しては、できるだけその人の方向を見ず、その独占者の話題を素早く取り上げて他の対象者にもちかけることが必要である。
・発言を促進するためには発言に対する批判をしないことが重要であり、やわらかい態度で接することが必要である。
・司会者は適当に話の内容を要約しながら進めなければならないがあまり話しすぎると意見がでにくくなるので注意が必要である。
・司会者の発言内容がよく理解されているかどうかを1~2名の対象者の反応を見ながら判断してゆくこと。
・知らぬふり、おだてなどは発言を促進するのに有効である
5. ホンネを聞きだすには。
・合理的なレベルの話が中心になったり、対象者側に問題意識があっても、それを適切に表現する能力がないなどにより、なかなかホンネ(既存商品に対する不満)を引き出すことが難しい。
・商品の評価を問うより、困っていることを問うほうが事実が出やすい。
・合理的なレベルの話(タテマエ)の識別としてはメンバーのなかから1人でもホンネ的だと思われる発言が出るのを待ち、出たらそれを取り上げ他のメンバーにぶつける方法とか、司会者が「うちの家内は全然ちがう」とか、他のグループは正反対だったと思案顔をする。
・論理的矛盾が発見されたら後でその点のみプローブをかけ矛盾の答えを出した対象者に直接聞いてみる。気分を悪くさせないように気をつける。
・理由を聞く方法としては他の場面を設定しその場面でのイメージ、理由を考えるためのヒントを提示する。
・発言の確信度を得る技術として誘導的な質問に簡単に流されるかどうか、矛盾した答えがでてくるかどうかの確認の質問をする。
・発言者以外の対象者たちのうなずきには自分自身の不安感を打ち消そうとしているものと発言者の意見に同意するものとがある。どちらのうなずきなのか十分に吟味することが必要である。
・沈黙は次の意見のポテンシャルの上昇を意味しているケースが多い。
沈黙に耐えきれる修練と沈黙後の意見の重要性に注意しなければならない。
司会者が顔を下げないでみんなの顔を順々に見ていくと、発言が出るケースが多い。
・一般的には録音装置(テープレコーダー、ビデオ)を使用する
しかし2時間のグループインタビューに対して5~6時間再生、整理、記述にかかってしまう。
そのためアシスタントの要点速記及び司会者のメモを中心に記録することが発言の鮮度維持上からも有効である
・記録するに当たっては対象者にあらかじめ知らせ、了解を得ておくことが必要である
・記録するにあたって対象者の発言内容のみならず、発言者の声の調子、表情、身振りなどで重要なものがあれば記録する
(1)分析以前の作業
1. テーマ別、対象者別に発言を一覧表に整理する
この一覧表は各小テーマごとに各自がどのように反応したか(賛否、意見、評価など)を個人レベルに重点をおいてまとめる。
2. グループ反応のまとめ
各テーマに対してグループ全体の反応の仕方を記録し、どの点にグループ全体がどう反応したかに注意しながらまとめる。
(2)分析の留意点、工夫
1. ユーザーの発言は活発、中止者は合理的思考、ノンユーザーは非活発
2. ユーザーは使うことの合理化、中止者はやめたことの合理化、ノンユーザーは使わないことの合理化。
3. 自分がよく知っていること、問題をよく認識しているテーマ、自分の工夫に関するようなものについての発言は一般的に活発である
4. 好きだからけなす場合と嫌いだからけなす場合があるので注意
5. 確信をもった答えかどうか
6. 安定した根強い答えか、その場の思いつきか
7. 自分自身の答えか、先の発言者への同調か
8. 答えは実行しているか、したいと考えているだけか、それとも反対の行動を行っているか
9. 素直で自然な答えか、他人を意識してカッコウをつけた答えか
10. ホンネは別のところにあるがそのことに自分自身気づいていない
11. かねてから興味があったことか、これまでに関心がなかったことに対する答えか
(3)分析方法
グループインタビューの目的とグループインタビューによって得られた結果を論理的に橋渡しをする。
そのための方法として一般的にK.J法を使用する。
K.J法によって分析するための視点として
1. 現状と悩み
2. 悩みと解決策
3. 前後の関係
4. 原因と結果
5. 矛盾対立した関係
6. 現象と本質
7. 現象の因数分解
8. 現象の統合
分析にとって大事な点は鮮度です。実査が終わったらすぐに分析しないと情報がドンドン劣化していってしまいます。
出来れば終了後すぐにブレストなどでアイディアを開発する事をやってみてください。
日本オリエンテーション 松本勝英
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