1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第79号

配信日:2003年01月06日

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・■■■       商品開発・マーケティングの       ■■■・
 ■□■     MATSUMOTO・MINERAL     ■□■
・■■■   発行者:日本オリエンテーション 松本 勝英    ■■■・
・・‥‥……… by Japan Orientation 等幅フォント推奨 …………‥‥・・
             http://www.jorien.com

 2003年、あけましておめでとうございます。
 
 「文化ライフスタイルを深く耕す」
                2003年元旦

 みずみずしい文化的ライフスタイルを育む。
 文化とは、一人一人の心の中の未知の扉を、次々と開いて新しい自分を発見
 する。
 文化とは一人一人が自分の心を耕し、そしてそこに草や木を植えて花を咲か
 せる。
 文化とは使いこなし。ユースインのチエの集積である。
 自然の力、宇宙の美しさを感じ取るスピリチャリティの力を育む。
 人との豊かな関係を結ぶ「幸せ」関係づくり。
 自分たちの風土を取り戻し、異文化との出会いを発見する。
 実感・交感・共感による生活提案の場づくり。
 時が熟していくことによる輝き、タイム・コンシューミング・ライフの提案。
 ものづくりのプロセスをだいじにする商品の開発。
 だいじに作って、だいじに使ってもらえる商品を開発する想いを育む。
 豊かな発想、幸せな発想、温かな発想、希望のある発想を育む。
 私たちの商品開発、マーケティングのスタンスです。
 
 2003年、私どもは文化ライフスタイルを深く耕して行きたいと思ってい
 ます。今年もよろしくお願いします。

                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
     
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 MATSUMOTO・MINERALのバックナンバーは以下のアドレスで
 ご覧になれます。http://www.jorien.com/mineral.html

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 ■□■…第79号の内容……………………………………………………‥‥・・
 ■■■ Table of Contents

   79号は2003年初荷として文化に関する10のテーマを投げ込みま
  した。MINERALになれば幸いです。

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 ┛┛┛  『日野啓三』
 ┛┛┛  『宮崎ファンタジー』
 ┛┛┛  『浮遊する「わたし」と、実在する「わたし」』
 ┛┛┛  『生命倫理研究所』
 ┛┛┛  『ゼロ感覚』
 ┛┛┛  『浸透する関西文化』
 ┛┛┛  『カオス』
 ┛┛┛  『おいしさの要因』
 ┛┛┛  『グローバルヒストリーの時代』
 ┛┛┛  『身体文化』
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■『日野啓三』
   ★解  説
      穏やかな死がある。過去と未来は擦れ違うのではなく、入れ替わり、
     先を越されていくものなのか、現実よりリアルに夢の中で感じた。
     死を受け入れ気持ちになると、この世へのなごりは消えて、新しいも
     のを迎え入れる喜びに包まれ、死ぬというより、自分はやがて壊れる
     んだという直感。太古から人間は、風のこえを聴いて精神や魂の存在
     に気づき、死におびえ、宗教もそこから始まった。9・11の高層ビ
     ルのもろさ。それでも人間はさらに上を目指すだろうけれど、伸びな
     がら、しなやかな強さを備えるためには、効率優先の男性的価値観に
     加えて、女性的な、昔ながらの手仕事の力を意識しなおす必要がある
     と思う。とても難しいけれど、そうした重曹的な感受性と知性が、こ
     れからの世界に絶対に不可欠。植物や動物だけが生きているというの
     は嘘、鉱物のような無機物にも命がある。みずみずしい自然より、パ
     ソコンやロボットに人格や近しさを最近感じるその感覚を奇妙に思う
     べきではないと思う。この世と宇宙のものすべての命を感じ取り、共
     生を考えていかないと、21世紀は生き抜くことはできないのでは。
                     日野啓三 読売新聞 2002.5.25 
   ★ミネラル
      私の好きな作家です。永い癌の闘病の中でも発信し続け、昨年亡く
     なりました。15年前にお会いしていろいろお話をする機会がありま
     した。感性が研ぎ澄まされた、シャイな方でした。生と死、現実と夢、
     意識と無意識、光と闇、進化と記憶という両義性の概念を仲介してく
     れた人でした。  
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■『宮崎ファンタジー』
   ★解  説
     ・静かな時間
     宮崎アニメの特色は、波乱のあとに不意に広がる静寂の時間にある。
     世界に素手で向かっていった子供が見る束の間の平穏−感動がその一
     点に凝縮されていく。
     宮崎アニメの魅力、その動と静の緊張。翔ぶことの解放感(宮崎アニ
     メには必ずといっていいほど飛翔の場面がある)、前向きに生きよう
     とするけなげな少女たち、緑ゆたかな縄文の森、「生きろ、生き抜け」
     という激しいメッセージ。少女の髪の毛がしばしば風に揺れ、それが
     少女のエロスにつながるという指摘などファンならでは。
            2001.9.5 朝日新聞 文芸21 川本三郎(文芸評論家)     
   ★ミネラル
     これからのキーワードは少女による飛躍、静寂の後の飛躍では。
       ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・

■『浮遊する「わたし」と、実在する「わたし」』
   ★解  説
     ・仮想世界に浮遊する 実在感が薄れ、多重人格化
     「ネットの世界を意識すればするほど、幻影が向こうから襲ってくる。
     日本にはヴァーチャルなアイドルがいるし、ゲームでネット上のヴァ
     ーチャルな土地を買おうとすると、仮想の通貨のレートはイタリアの
     リラより高い。現実と仮想世界は確かにこんがらがっている。ネット
     上でわたしたちの影はわたしたちを離れて独り歩きし、15歳の日本
     人の少女にも90歳の黒人の女性にもなりきることもできる。それは
     自分のなかに別の自分がいるのではという人間が昔から抱く疑いにも
     呼応している」
     「ネットワークが浸透した今、それ(個人についていた錘)も失われ
     完全に浮遊してしまった」
        2000.1.11 朝日新聞 マーク・デリー(デジタル文化評論家)
   ★ミネラル
      浮遊して、根無し草感を強く感じます。風土に根ざすといった、風
     土感が大事になってくるのでは。宇宙があって、自然に囲まれていて、
     社があって、そこここに神さんがいて、そんな感覚がいいよね。
       ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・                       

■『生命倫理研究所』
   ★解  説
     ・人類の未来 進化法則から外れた先には
     「生物の世界は善も悪もない世界である。しかし人間は、文化をもつ
     ことによって悪の扉を開いた」
     「人間が動物と決定的に異なる特徴に、自己破壊という性質がある、
     個体に向かえば自殺であり、集団では戦争である。それが今やホモ・
     サピエンスという種の破壊に及んでいる」
     「人間とは何か、幸福とは何かが今真剣に問われなければならない。
     人間のあり方を研究する『生命倫理研究所』を早急に造るべきである」
              2001.6.23 朝日新聞 河合雅雄(京大名誉教授)  
   ★ミネラル
      理性のみで人間を捉えてきたことが問題になっているのでは。新し
     い倫理学が必要になってきています。
       ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・

■『ゼロ感覚』
   ★解  説
      われわれが生きる日常、そこでの他者との関係こそが文化なのであ
     る。われわれは手応えのある現実を失っている。日常には、実体の無
     いゼロ感覚が浸透している。iモードのメールは、もっとしなやかな
     言語を失わせている。科学や経済と違ったキーワードで語ることが必
     要。                 多木浩二(読売2001.1.11) 
   ★ミネラル
      便利、安い、早いなどの文明的尺度がゼロ感覚を生んでいる。楽し
     い、美しい、心地よいなどの文化的尺度がこれからどんどん優位にな
     ってくるのでは。

■『浸透する関西文化』
   ★解  説
     ・「本音」「なごみ」が若者受け 
     今、日本全体に関西の文化が浸透が浸透している。音楽、言葉、味覚
     など身の回りの生活の中に、強い個性を持った関西文化が“魔力”を
     発揮し、いつの間にか人々をとりこにしている。
     「無色透明の標準語より、思いを柔らかく表現し、コミュニケーショ
     ンを味つけしてくれる道具として、関西弁を使い始めているのでは」
            陣内正敬(関西学院大学教授)2001.8.11 日経新聞 
   ★ミネラル
      方言というのは風土性を持っていて、大阪の生活感ある風土、暮ら
     し型が魅力を醸している。魅力的風土を発見しよう。

■『カオス』
   ★解  説
      文明は文明の持つ力ゆえに、その力を失う。文明は他の文化を配下
     において自分達のやり方を強制しようとする攻撃性を持っている。科
     学技術は既に爛熟期に入っていて、秩序よりもカオス(混乱)に向か
     うベクトルが強まっている。    村上陽一郎、日経2001.11.17 
   ★ミネラル
      神話の見直しが重要では。「神話は人間が最初に考え出した、最古
     の哲学です。どんな領域のことであれ、人間ははじめにしか本当に偉
     大なものは創造しないものです。」と中沢新一さんが「人類最古の哲
     学」(講談社)で書いています。カオスに対して神話がなにか関係し
     てこないかと思っています。

■『おいしさの要因』
   ★解  説
     1.生理的な欲求に合致したおいしさ。単細胞生物レベルのおいしさ。
      からだにとって有益である化学物質
     2.文化に合致したおいしさ
      伝統に合致した食は安心感を与え、この幸福感はおいしさの源。
     3.情報がリードするおいしさ
     4.偶然に発見された食材よる薬理学的なおいしさ
                 2002.1.13 味覚のなぞ日経九州大学都甲潔 
   ★ミネラル
      生理的なおいしさ=快と文化的なおいしさ=快があります。これか
     らは文化的なおいしさ=快の発見と生理的おいしさ=快の深耕が重要
     になる。

■『グローバルヒストリーの時代』
   ★解  説
      20世紀末期から21世紀の始まりにかけ、本当の意味で世界史、
     グローバル・ヒストリーの時代になった。グローバリゼーションは間
     違いなく進行している一方では、ヒストリー、すなわち世界各地の国
     家、社会、文化など、それぞれの伝統を持つ人間集団が、自分たちの
     アイデンティティーを主張している。この2つの流れを相反するもの
     としてではなく1つの世界の2つの面だと捉えることが、文明間の対
     話の出発点であり、「相互関連的な地球村」を形成する道でもある。
                        入江昭、朝日新聞2002.6.3 
   ★ミネラル
      どのようなグローバルヒストリーを作るか。グローカルなヒストリ
     ーをいきいきと創り出すことが平和につながるのでは。

■『身体文化』
   ★解  説
      身体は文化の中で形作られる。評論家の三浦雅士さんは21世紀の
     身体は、「集団からときほぐされた個の身体」と位置づけられた。人
     類の歴史は「生産第一主義」の歴史。そのために企画化された集団的
     な身体が必要だった。その象徴がオリンピック開会式の行進。最近の
     オリンピックの自由な開会式は個人の自己実現としての身体を目指す
     ものに変わったのでは。集団的規範を抜け出し個としての身体は、ど
     のようにして形作るのか。三浦さんは「見習う」ことで可能ではと言
     っている。               2002.1.11朝日「ほぐす」 
   ★ミネラル
     ステキ、美しさ、輝き、徳などを見習いたいですね。

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 ■□■…「MATSUMOTO・MINERAL」とは……………‥‥・・
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    数年前から新聞、雑誌、本、いろいろな人との話し合い、そして自分
   で考えたことで、いろいろ考えるときの私のマーケティング・ミネラル
   となっているメモです。出所など明記をしなければいけないものも入っ
   ていますが、あるものとないものが入っています。ご了解ください。
   原則として毎月2回(1日と15日)みなさんのメールに投げ込んで行
   きます。触ってみてください。

   <ご協力のお願い>
   MATSUMOTO・MINERALは現在4000人以上の方にお読
   みいただいています。ぜひいろいろな方にお読みいただきたいと思って
   います。みなさんの周りの方にご紹介ください。
              
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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第79号 (2003/1/6) (c) 1999 Japan Orientation
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