1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第128号

配信日:2005年01月18日

第128号
『日本の大衆文化』『リメイクをヒットさせるコツ』『「わかる」という快感』『ひきこもり』『新テクノロジー』

例年より、サクラのつぼみが早いようです。
世界の地震、異常気象が気になります。
何か激動の時代に入った予感がしますが、
みなさんはどのようにお感じになっていますか。

★どうなるのか気になります
キリン、アサヒが「第3のビール」を発売することになったようです。
発売後どのように市場が変化するのかが、大変気になります。

サッポロビールの「ドラフトワン」はどうなるのか。
価格訴求による、ヘビー・ドリンカーの支持が成功のポイントだった
のでは。
「ドラフトワン」でなければという、ロイヤルユーザーはすでに多い
のだろうか。
「第3のビール」が安いから飲んでいるヘビー・ドリンカーは、キリ
ン、アサヒが新商品を出すことによって、スイッチしないのだろうか。
その時、サッポロの商品ラインはどのように編成するのか。

一方、キリン、アサヒの「第3のビール」と、既存の発泡酒とのカニ
バリは生じないか。特に自社内競合はどのようになるのか。
カニバリが生じても、キリン、アサヒのビール関連商品全体は拡大す
るのか。利益は向上するのだろうか。

他のカテゴリー、例えばチューハイからのスイッチはどのくらいにな
るのか。
スイッチがあった時、総合アルコールメーカーとしてのキリン、アサ
ヒ、サントリーの利益構造はどう変化するのであろうか。

宝酒造などの、チューハイはどのような影響を受けるのだろうか。
「第3のビール」の酒税が変わったら、アルコール市場はどのように
変化するのだろうか。 
これらの変化をチャンスにする、マーケティング担当者の知恵の見せ
所では。

★マイカレンダー
6日(木)初出勤。社内打ち合わせ。平凡に今年の抱負の話し合い。
私の今年のテーマは、ビジネスモデル開発・情報価値創造・古典研究。
コンサルティングを通じて成果を出してみたいと考えています。
マツモトミネラル127号の制作。コンサルティング結果のまとめメモ
づくり。
7日(金)企業の方とご一緒に、企業訪問。
専門的開発組織を持たず成功している企業の話を聞く。
トップのサポートによるスピードと、いろいろな部門から開発アイデ
ィアがでてくることが成功のポイントになっているのでは。

8日(土)恒例一人で朝一番の映画を見るへ。
今回は韓国映画「酔画仙」。「オールドボーイ」のチェ・ミンシク主
演で、異端の画家の一生である。
異端なる故に、たぎる血を押さえられない生き方に共感。
高い音の朝鮮音楽も素晴らしかった。視覚と聴覚のシンクロした場
の盛り上がり感は素晴らしい。自然の風景の捉え方も美しかった。

11日(火)企業訪問。「データ・マイニングによる商品コンセプト開
発」の手法について提案。
夕方、コンサルティングをしている企業の部長、室長との新年会。
商品開発人材の育成、チームの強化など、魅力的な商品開発部門にし
たいとの熱意を感じました。2次会は私の行きつけの「月とすっぽん」
へ。

12日(水)製薬メーカーから予防医学のベンチャーへ移った方が来社。
企業、自治体への、健康コンサルティングの仕事をしている話を聞き、
興味を持ちました。3時間のディスカスでした。

13日(木)企業の開発マネージャー、担当者が来社。
データー・マイニングを活用した、商品コンセプト開発の詳細につい
て説明。
消費者の生の声をもとに、科学的、客観的にアイディア喚起をするた
めの方法として、魅力的だとの説明を。
企業、チームの開発力アップのために、ぜひ導入を考えてらよいので
はと提案。
ご興味ある企業があればいつでもご説明に伺います。

夜、中野の江古田「やっちゃん」へ煮込みを食べに。
日経新聞の小泉武夫さんの記事に出ていたお店です。
飲んでいたら、セミナーの参加者でマツモトミネラル読者の方々に声
をかけられびっくり。小泉さんの記事で食べたくなって、台場からお
見えになったそうです。
美味いところには人が集まりますね。

14日(金)C社S専務に会う。20年以上前からいろいろ仕事をしてい
る企業で、Sさんとも20年来のつきあいになります。業界のこれから、
商品開発人材のことなど雑談。新本社を見せてもらい、コンパクトで
情報交流がスムーズに出来そうなマーケティング部門のフロアーはい
い感じでした。

15日(土)出社。マツモト・ミネラルの原稿づくり。
17日(月)コンサルティング。
魅力市場開発、時代・市場・生活価値観の変化キーワード開発、そし
て商品コンセプト開発について最終コースに。

まだ正月を引きずっている感じがしていて、早く仕事体制にならなけ
れば。 
            日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

・・・‥‥……………‥・・‥……………‥‥‥・・・‥…………‥・・ 
■『日本の大衆文化』
★解  説
  日本の大衆文化に共通するのは、「子どもらしさ」「天真爛漫」
 「新鮮さ」。
 人間なら誰でも「大人になりたくない。子どものままでいたい」と
 いう気持ちを持っている。日本はこの心に潜む感情をうまくとらえ
 ているのでは。
 日本は、おそらく世界で唯一「子どもらしさ」を製品化することに
 成功した国なのだ。日本のソフト製品で、もうひとつ共通するのは
 「かわいい」という要素。「かわいらしさ」は「若さ」に通じる。
             ドナルド・リーチ氏 2005.1.3読売新聞

★ミネラル
  なるほど、日本の大衆文化は「子どもらしさ」と「かわいい」な
 のだ。渋谷の街には、そんな人たちがあふれている。
 渋谷に「子どもらしさ」「かわいい」の調査研究に行ってみよう。
    ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・

■『リメイクをヒットさせるコツ』
★解  説
  昔のモチーフを持ち込む際に、それを今風と感じさせるディテー
 ルを作れるかどうか。
 音楽なら名曲のゆえんは、よいメロディー。それを現代に通用させ
 るには、ビート感を強めること。ロックが生まれる以前の音楽には
 音量の大小という意識はあったが、ビートの強弱についてはほとん
 ど認識がなかった。
 ダンスミュージックが当たり前になった現代のリスナーに受け入れ
 られるためには、ビートやグループ(うねり)を感じさせなけれい
 けない。映画やテレビドラマなら「テンポ感」。
 昔の映画を見て感じるのは、ストーリーの進め方がゆったりしてい
 ること。この現代風を演出するディテール作りが出来ない限り、リ
 バイバルやリメイク作品は、昔の名前が通用する大人たちにしか売
 れない。
   「ヒットの現象学」 日経エンタテイメント前編集長 品川英雄
                       2002.7.30日経MJ

★ミネラル
  「伝統商品」の今日化のヒントになるのでは。
 時間軸が違ってきていることがポイント。
 スピード化し、テンポ、リズムを合わせることが必要では。
    ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
                    
■『「わかる」という快感』
★解  説
  脳に送り込まれる、心のイメージ(心象)となった、異種の情報
 が束ねられてこそ、そこに秩序が生まれると、人は快感を覚える。
 それがわかることだ。
    『「わかる」とはどういうことか』 山鳥重著(ちくま新書)
★ミネラル
  私の友人のパズルマニアは「わかる」快感を楽しんでいるのだ。
 達成感、満足感も「わかる」に関係しているのでは。
 「わかる」快感を開発してみたいですね。
    ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・

■『ひきこもり』
★解  説
  社会関係や対人関係の場から長期間、撤退していることが「ひき
 こもり」である。「ひきこもり」は大人たちにも増えている。この
 現象は、高度消費資本主義社会における特徴的な現象である。社会
 の特徴であるゆえにその傾向は年齢にかかわらず、誰にでもあると
 考えるべきである。
 資本主義の高度化の過程でわたしたちは、モノの所有ということを
 通して「人は人、自分は自分」という感覚を強めてきた。
 モノは共有するな、自分のモノは、自分自身のモノを持て。わたし
 たちの内部で強まってきた「人は人、自分は自分」という感覚は、
 自己領域化する方向に進む。
 こうした自己領域化の進行は、人と競ったり、衝突したりするよう
 な場面を回避する性向を生んだ。同時にその裏面に人に対する警戒
 度を増し、人の侵入的な言葉や行動に対して敏感に反応する内面を
 育ててきた。
                  芹沢俊介 2002.6.9朝日新聞

★ミネラル
  「ひきこもり」は自己完結型、コミュニケーション不全など複雑
 です。
 自分が存在できる共同体をつくることが必要な時代です。
 家庭、学校、企業も共同体でなくなってしまっている今日、新しい
 共同体をどのように造っていけばいいのか。なかなかな課題です。
    ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・  

■『新テクノロジー』
★解  説
  新たなテクノロジーは、既存のテクノロジーの関係で見ると、
 代替、重層、破壊の3つの側面を持つ。SPレコードがLP、CDへ。
 だが今日、インターネットからファイルの形でダウンロードする音
 楽メディアの登場で、店舗や流通が不用になり、およそ連続的に進
 展してきた円盤の歴史を根こそぎにする。
 電子メディアと書物は、これまでは重層的に共存していると考えて
 きたが、最近は共存・重層型ではなく、破壊根こそぎ型になってき
 たのでは。
                  黒崎政男 2002.2.12朝日新聞

★ミネラル
  共存型から破壊型へ変化してきているのでは。
 破壊は、商品そのものを変えるだけではなく、商品、流通、売り方
 そして生活まで根こそぎ変えてしまう。破壊するのか、破壊されて
 しまうのか。破壊者は業界の外からやってくる。


・■■■………………………………………………………………………‥‥・・
 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第128号 (2005/1/18) (c) 1999 Japan Orientation
・・‥‥………………………………………………………………………‥‥・・

前のミネラル 次のミネラル