1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第212号

配信日:2008年05月20日

第212号
『東京が壊れてしまう?』『風土性を切り軸に』『中国とインド』『ホンダが飛んだ』『市場とは何か』

東京は低気圧の影響で大荒れです。この程度で大騒ぎする東京は虚弱都市です。

事務所にいることが多く、ちょっとイライラ。
いろいろな分野の人と話をし、お互いに刺激し合う、それが私の栄養素です。
企業を離れて、新しい「場」の中では、思ってもいなかった発想が生まれます。
福島県会津は、独特の日本の風土を持っていて、刺激的な空間です。
「商品開発・会津車座塾」の「場」で、新しい自分の発見と発想を感じてください。
詳細は、http://www.jorien.com/seminar-kurumaza8.html

「マツモト・ミネラル」212号
■『東京が壊れてしまう?』
★気づき
 日本の総人口が既に減少しているのに、東京だけが人を集め、巨大都市となる。
都心のマンション購入者の約2割は60歳代という。10年後は介護が必要な高齢者
世帯が増えるだろう。
目先の成長のために、東京に富を集中させるならば、地方は一層荒廃するだろう
し、東京が持続的に成長する保証はない。一極集中は、日本も東京も壊れてしま
う危険をはらみながら進んでいる。
朝日新聞 2007.2.18

★コメント
 集中化は一見効率的に見えるが、長い目で見ると大きな問題を抱えている。
東京も日本も、もっと分散・多様化していかないと危ないのでは。
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■『風土性を切り軸に』
★気づき
 遺伝や幼いころの記憶生活環境から得た人間個々の感じ方が重要。

★コメント
 子供の生活環境を豊かにする。農業経験をみんなが持つことが、新しい時代を
つくるために必要です。
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■『中国とインド』
★気づき
 中国は1978年の改革開放政策以来、年平均9%超の経済成長を記録し、今や
世界一の外貨準備国家となった。一方インドは90年代初頭からの経済改革とIT革
命新興により年平均8%の成長を続けている。そして、中国は製造業の世界的基
地となり、インドはIT関連サービスの世界的基地となった。
両国の経済の発展の有り様は大きく異なる。経済インフラで言えば、この十数年
で見違えるように改善した中国に比べ、インドでは未だにあらゆるインフラが不
足している。また、教育面でも、高等教育の質に課題を残す中国に対し、インド
は初中教育の普及に課題を残している。
アジア開発銀行をしては、引き続き両国のニーズにあった支援を行っていくが、
両国の開発モデルは収斂し、均質化していくという予想もなされる。
さて、いかに。
アジア開発銀行総裁 黒田東彦氏 日経新聞 2007.2.7

★コメント
 中国人の国民性についての、いい面、悪い面の両面が報道されています。
インド人についてはまだ国民性情報が少なく、偏っている感じがします。数学的
センスがあり、ITに強いという面が強調されていますが、本当はどうなんでしょう
か。気になります。
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■『ホンダが飛んだ』
★気づき
 世界初の自動車会社製ジェット機「ホンダジェット」がデビュー。国産の民間
ジェット機は、三菱重工業が88年まで生産していた「MU300」以来である。
主翼の上部にエンジンを取り付ける奇抜な設計。実験を始めたときは、米国の専
門家に「空気抵抗が増すという業界の常識が自動車会社にはわからない」と笑わ
れた。
だが、エンジンの位置を後方のある一点にずらすと、主流のものよりも空気抵抗
は小さく、燃費効率が飛躍的に高まった。「航空機設計における重要な発見」と
絶賛。様々な論文や学術誌に掲載された。
あらゆる「常識」を打ち破ろうとする夢と、それを理解する上司や顧客らの励ま
しがホンダジェットを生んだという。戦後の日本の復興を支えた「ものづくり」
の原点を見る思いだ。
朝日新聞 2007.1.25

★コメント
 技術の進展はジュラルミン(これからは炭素繊維かもしれませんが)の飛行機を
生みだした。だが私たちはそんな金属のケースに入って飛びたかったのではない。
あくまでも鳥のように生身の体で、たおやかに空を飛翔したい。テクノロジーは
そうしたプリミティブな欲望を実現できないのだろうかと、ベルギーの美術家パナマ
レンコは作品で表現している。
私はそんな飛行機に乗りたい。
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■『市場とは何か』
★気づき
 『国富論』において、スミスは、分業が豊かさを増進する根本的な原理である
ことを示す。分業を促すのは、あるものを別のものと取引し交換する人間の性質、
「交換性向」であると考える。「交換性向」は「説得本能」によって取得される
と記されている。
説得本能とは、他人からの同感を得ることを目的とする言語的能力である。この
ような言葉の交換、あるいは相互の同感が物の交換を可能にするのである。
なぜ人間は物を交換するのか。人間は生まれてから死ぬまで、生存のために他人
からの世話を必要とする。しかし、無償の世話は見知らぬ人には期待できない。
見知らぬ人から世話を受けるには、人のものを強奪するか、奴隷にするかである。
しかしもうひとつの方法がある。あなたに必要なものをあげよう、そのかわり、
私の必要なものをください。つまり、自分の世話と見知らぬ人の世話を交換する
のである。
このようにして、人間は家族や親しい人以外の人からも世話を受けて生存するこ
とができる。同感という能力にもとづいて、見知らぬ者同士が世話を交換する社
会、これが市場社会の原点なのである。
大阪大学 堂目卓生教授  日経新聞 2007.1.31

★コメント
 説得、同感と世話が市場を形成していたのだ。説得、同感と世話をどう開発す
るかがマーケティングの原点です。古典を読み返し、根っこからマーケティング
を問い直すことが今必要です。            
                  日本オリエンテーション主宰 松本勝英

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◆マイカレンダー 2008年5月7日(水)?5月19日(月)
7日(水)連休明け、事務所内仕事。連載開始の「スパーキング」の構想、原稿
作り。
8日(木)「マーケティングだべる会」。企業同士の共同プロジェクト、ソリュー
ション提供、社会の女性化、消費者インパクト、など。予定時間オーバーでした。
22日(木)19時からです。

9日(金)現代思想とマーケティングについて、現代思想の編集責任者とディスカ
ッション。人間学をベースにもう一度現象学を見直す。着々と「現代思想とマーケ
ティング」研究会構想が進んでいます。夜、社内ネットワークの打ち合わせ。
いま、消費者の生の声をフリーアンサーで収集し、定量的分析と可視化により、
コンセプトの切り口・コンセプトを発見開発する「生活ナレッジ」手法の研究が
進んでいます。

12日(月)大塚の行きつけの店「こなから」でうまいビールを飲みながら、健康
マーケティングの打ち合わせ。今後の健康価値の創造について。
13日(火)コンサルティングが延期。社内仕事。
14日(水)コンサルティング。市場状況の変化への対応とターゲット・ベースの
マーケティング展開。流れで、夜懇親会。

15日(木)16日(金)「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナーでコンセ
プト開発、テストの話。野球のバット開発、たばこの開発などの事例もあり、面
白いセミナーになりました。15日夜懇親会。企業の人たちのネットワークづくり
の楽しい会です。

土日一人で映画を見るは
「靖国」リン・イン監督のドキュメンタリー。政治家のちょっかいで話題になって
しまいましたが、終戦記念日の靖国神社の奇妙な空間と日本刀(靖国刀)と靖国
の役割・意味など映像を通してあぶり出していて傑作です。
当日はスクリーンの前に警備の人がいたり、スタッフが多数、そしてパトカー2台
が映画館の前にいるなど異常な上映でした。超お薦め。

「愛おしき隣人」北欧のいろいろな悩みある人たちが入れ子になった映画です。
ストーリーの展開が新しく面白い。「また、明日があるよ」のバーテンの言葉が
期待につながっている。映画好きの人にお薦め。

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第212号(2008/5/20) (c) 1999Japan Orientation
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