1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第229号

配信日:2009年02月03日

第229号
『もの造り現場発の視点で−産業間で知の共有』『低カロリーでも舌鼓−美食レストラン続々』『暮らしうるおう江戸しぐさ』『「写真」葬儀にみる−山折哲雄の宗教つれづれ』『暗黙知の伝達』

2009年2月3日(火)曇り(東京)
近代はいろいろな過剰を生み、破壊をしてきました。過剰商品化、過剰情報化、過剰消費化。欲望の過剰化です。二宮尊徳の「分限」の概念をもう一度見直してみることが必要な時代では。
自分の「分限」を知り、護り、自分にあった生活を営む考え方です。
イスラムにおける、マイクロファイナンスなど、世界の文化の中には同じ考え方が埋め込まれています。「分限」を知り、「分限」な経済、暮らしを。

■『もの造り現場発の視点で−産業間で知の共有』
★気づき
 少子高齢化による労働人口の減少が不可逆的な中で、経済をさらに成長させるには、一人当たりの付加価値生産性の向上しかない。そして製品や工程や事業のイノベーションは生産性向上の決め手となりうる。
 顧客に至る「設計情報のよい流れ」を作る活動の総体を「もの造り」という。この流れを統御する最小の単位が「現場」であり、「現場」こそイノベーションを生産性向上に結びつける陰の主役なのだ。
 開かれたもの造りの知識は、既成の産業分類の壁を越えて共有される汎用技術である。固有技術ばかりにこだわれば、産業間の知識共有が阻害される。そして産業の壁を超えたもの造り知識の共有は、一国の産業競争力を左右する。
 日本経済全体の生産性向上には、経済の大きなウエイトを占める非製造業を中心とした「競争不全部門」への「もの造り技術」の注入こそがポイント。トヨタが郵便局や病院で行ってきたような「競争貫徹部門」から「競争不全部門」への知識移転を今の数十倍規模で行うべきだ。
 その主役は、団塊世代を中心とする現場のベテランだ。
       東京大学 技術・生産管理  藤本隆宏教授 日経新聞2007.3.28

★コメント
 汎用技術のボトムアップ、もの造りの技術を、どう転用していくかが、生産性を高める。介護の分野に、もの造りの技術がどう共有化されていくのか興味があります。
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■『低カロリーでも舌鼓−美食レストラン続々』
★気づき
 低カロリーの料理をおいしく提供するレストランが続々登場している。糖尿病専門だったり、米国のダイエット法を採用するなどタイプは様々だが、若い女性から中高年男性まで幅広い人気を集めている。
 大阪市内に昨年オープンした糖尿病食専門レストラン「知食旬菜ETSU」では、10人のウエートレス全員が栄養士や管理栄養士の資格を持つ。糖尿病患者向けの店舗ながら、美容を気にする女性や太り気味の男性にも受けている。
 一方、米国の有名俳優や歌手が実践するダイエット法を取り入れたレストランも登場。エネルギー比で炭水化物とタンパク質、脂質を4:3:3の割合で摂取し、太りにくい体を作るという考えを採用したのが、東京・白金の「レストラント ゾーン」だ。
 ホテルも低カロリーメニューを提供。リーガロイヤルホテル東京(新宿)の「スリムライン・フレンチ」は、糖尿病や腎臓病で食事制限があっても食べられるフランス料理のフルコース。
                            日経新聞2007.4.21

★コメント
 過剰の食の時代におけるスペシャリティーの提供です。どのような過程で普及していくのか、普及しないのか、興味があります。
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■『暮らしうるおう江戸しぐさ』
★気づき
 江戸では商売などで人を紹介する時、自分と同等か、それ以上の人を紹介するのがしきたりでした。
 以前、知り合いの若い女性に泣きつかれ、友人を紹介したことがあります。その後何の報告もないので、どうしたのかと思っていたとき、偶然彼女に会いました。すると、「あの方、私のような者のために、いろんな方を紹介して下さったのよ」というじゃありませんか。思わずたしなめてしまいました。「彼とは20年来の友人なの。彼があなたに協力してくれたとわかったら、私もすぐにお礼を言いたかったのに」
 でも彼女、きょとんとして、悪いことをしたと思っていないのです。江戸商人が、紹介者を飛び越して相手と付き合いを進める「頭越しのしぐさ」をしたら、さげすまれたと思います。同時に、紹介者の方が「人を見る目がない」と、もっと責められたようです。
 「おかげさまです」という感謝の念を忘れず、その気持ちを表現しようと努力するのが「江戸しぐさ」です。
        江戸しぐさ語りべの会主宰 越川禮子氏  朝日新聞2007.2.21

★コメント
 人脈を広げるにも礼儀が必要です。紹介してくれた人への感謝を言葉で表現することをお忘れなく。
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■『「写真」葬儀にみる−山折哲雄の宗教つれづれ』
★気づき
 葬儀の写真の顔を見つめているうちに、死者が突然そこに蘇ってきているように、ふと感ずる。はてさて、葬儀とは死者をあの世に送り届けるための儀式だったのではないか。けれども、位牌やお棺を脇にしたがえて飾り付けられている眼前の写真の顔は、むしろ生き生きした微笑みさえ見せて会場いっぱいにシテの役割を演じている。
 それにしても今日の葬儀や密葬、そして告別式や偲ぶ会などで愛用されるようになっている「故人の写真」は、本当のところ、いったい何を表しているのであろうか。はたしてそれは、死者を送るためのとっておきの奥の手であるのか、それとも死者を瞬間的にでも現世に蘇らせようとするセンチメンタルな仕掛けにすぎないのか。それがよくわからないのである。どうやらわれわれは、そのどちらともつかない中途半端な世界に、いつの間にか投げ出されてしまっているのかもしれない。
                宗教学者 山折哲雄氏  読売新聞2007.4.10

★コメント
 葬儀の写真はカラーではなく、白黒がよい。来てくれた人がおもいおもいに個人のイメージを拡げて、忍んでくれることがよいのでは。
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■『暗黙知の伝達』
★気づき
 組織では、形式知のみの伝達・共有では不十分であり、他人の暗黙知を学び自分のものとし、それに独自の要素を加えていかねばならない。
 野球を例にとる。長嶋は「来た球をパっと打つ」と、感覚的に表現する。野村は「自然体で構え、グリップの位置はこう、体重移動は...」と具体的理論的に説明する。
 阪神においては、野村の理詰めと実践という、ヤクルト時代の方法は機能しなかった。チームの変革には「厳父のような存在感にある監督」が必要と感じ、星野を推薦した。星野は短い象徴的言葉と独特の雰囲気で選手に自分の考えを浸透させた。
 彼らの指導法は様々。しかし暗黙知を伝達しようと、自らの「生き方」や経験を内面化し、言葉だけではなく全人格的なものとして表現するところは共通する。
            一橋大学 野中郁次郎 名誉教授  朝日新聞2007.3.2

★コメント
 「知」「思想」はその人の人格を通して伝わっていくのでは。「翔ぶが如く」(司馬遼太郎著)の西郷隆盛の持っている、全人的な表現に共感。内からにじみ出てくる「知」を尊敬したいと思います。                      
                  日本オリエンテーション主宰 松本勝英

【マイカレンダー】2009年1月20日(火)〜2月2日(月)
2月7日(土)から11日(祭日)北海道・道東一人旅に行ってきます。
単線の釧網本線で雪を見ながら、読みかけの「翔ぶが如く」を読みながらリフレッシュしてきます。

1月20日(火)企業とコンサルティング事前打ち合わせ。午前中に終わる予定が16時までの討論になりました。
21日(水)9時から18時まで社内教育。マーケティングの基礎と仮説づくり。
夜参加者と懇親会。気づき・発想についていろいろな問いを受けました。

22日(木)コンサルティング。テーマ、目標がどんどん変わり、なかなか焦点が定まらなくて、成果が得られずちょっとイライラ。
23日(金)企業のトップとコンサルティングについての話。NBブランドの強化。
午後、企業の人と社内教育の打ち合わせ。シーズからコンセプトへ、コンセプトから製品へ。研究者の商品・製品作りがテーマです。夜、なじみの大塚「こなから」へ。快飲・快食。

27日(火)コンサルティングの仕事2社。商品の再定義と商品・マーケティング展開について。ポジショニングマップから、市場の現状分析、テーマの開発について。
28日(水)社内打ち合わせ。全体打ち合わせ。日本オリエンテーションとしての新商品開発。信頼とちょっとした尊敬が得られる日本オリエンテーションへ。
29日(木)昼に、「貧乏人の焼きそば」をつくり、みんなで昼食。麺、ひき肉、モヤシの安価な食材で、味付けはニンニク、醤油。今度食べに来ませんか。
30日(金)コンサルティング。ターゲット・プロファイルを具体的に描いてみる。
評価システムの構築について企業の方が来社。モノ価値と情報価値の評価について。

土日朝一番で映画を見る
「懺悔」ソビエト映画。1984年、ソビエト崩壊前に公開された、預言的な映画でした。
独裁者が偉大な市長として尊敬され、死んだ後に、その裏が暴露されてくる内容です。独裁者が尊敬される愚かなことがこれからも起きてくるのでは?
最初のシーンで、ケーキを淡々と作っている女性が、見終わったときに印象的に残ります。
「チェ28歳の革命」
1960年安保闘争時に、語られたチェ・ゲバラの革命の物語です。地方から都市へ、村人から支持されないと革命は成功しないなど、昔の懐かしい話を思いだしながら見ました。映画の中に組み込まれたニュースの中の、ゲバラの生の映像に共感。

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第229号(2009/2/3) (c) 1999Japan Orientation
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