配信日:2017年7月18日
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・■■■ 商品開発・マーケティングの
・■□■ MATSUMOTO・新商品開発MINERAL
・■■■ 発行者:日本オリエンテーション 松本勝英
毎月第1・第3火曜日発行(創刊 1999/10/01)
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■□ 第417号 Table of Contents □■
◇マツモト・商品開発ミネラル
『「Jobs to Be Done(JTBD)」理論』
『宅配の実用化を目指すドローン研究の第一人者』
『折々の言葉744』
『世の中、便利すぎ?(耕論)不便は手間だが役に立つ』
『川久保玲名言集より』
<伝言>
◆第142回「新・商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー
第142回は9月14日スタート、ご検討ください。
“なぜ30年以上、企業から支えられているのか”
☆36時間セミナーで、36の成功の秘訣が深く学べるセミナー
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☆商品開発の厳しさ、楽しさが実感でき、成長を促すセミナーです。
◆商品開発カウンセリング−新しい風を吹かせる「場」です
◆商品開発社内教育−発想刺激の「場」です
2017年7月18日(火)
もうすぐ後期高齢者
8月に後期高齢者になりますが、これからも肯定的なアイデンティティを持って生きて行きたい。
1.私は、自分の仕事に関してベテランだと思う、思いたい。
2.自分は、生きている価値のある独自な存在だと思う、思いたい。
3.私は、周囲の状況や人間関係によって流されない安定した人間だと思う、思いたい。
4.私は、自分の得意な分野、自分の有能さを発揮できる領域を持っていると思う、思いたい。
5.私は、人生の中で何がやりたいのかが、はっきりわかっている、わかりたい。
6.現在の仕事は、私にとってやりがいのある充実したものである、そう思いたい。
7.私は、自分のよりどころや支えになるものをしっかりもっていると思う、思いたい。
こんなアイデンティティが持てれば最高ですね。
老後は、老中によって作られ、老中は老前の生活によって決まる。老前、老中をしっかり生きていくことが大事では。
■『「Jobs to Be Done(JTBD)」理論』
★気づき
米ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授が提唱する「Jobs to Be Done(JTBD)」理論だ。この理論を通じて、顧客が商品を買ってくれる理由の発見方法を考えてみたい。
あるファストフード企業がミルクシェイクの売上を改善したいと思った。ミルクシェイクの購入者属性を整理し、同一の属性を持つ人を対象に、重めがいいか軽めがいいか、フルーツ味かチョコレート味か、など、どんなミルクシェイクが理想的か尋ねた。調査はうまく進み、特定したターゲットの好みをもとに製品を改善したが、売上は全く改善しなかった。そこで別のチームが再び調査を行った。調査チームは店舗で来客を一日中観察した。すると早朝にミルクシェイクを買う客が多いことに気がついた。早朝の購入者になぜミルクシェイクを買ったかを尋ねると、
・長い車通勤の間に片手で手間なく飲める
・一気に飲めないので暇つぶしになる
・腹持ちが良い
といった理由だとわかった。
この調査結果をもとに製品開発を再度行ったところ売上を改善することができた。
最初の従来型のマーケティングリサーチではWhat(どんなミルクシェイクが欲しいか)を調査したが、次の調査ではエスノグラフィー的手法でWhy(なぜミルクシェイクを買うのか)を特定できた、ということだろう。
★コメント
ニーズの開発は、4W1HからWHYを発見することである。WHO,WHERE,WHEN,WHAT,HOWという事実は調査等でわかるが、WHYが消費者自身も知覚していなくて、わからないことも多い。4W1HからWHY仮説を作ることがニーズ開発につながる。
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■『(ひと)野波健蔵さん 宅配の実用化を目指すドローン研究の第一人者』
★気づき
地雷探知ロボットを研究していた90年代、カンボジアの地雷除去で足を失った人と出会った。「死と隣り合わせで危険。空から探せないか」。本格的にドローン研究を始め、3年かけて自律飛行にこぎつけた。東日本大震災ではドローンを使って、津波の被害状況や学校の上空の放射線量を調べた。
「空の産業の手伝いをしたい」との思いが強くなり、今は都市でのドローン宅配を実現しようとしている。マンションのベランダに戸別宅配する構想で、国と千葉市が19年の実用化を目指す。昨春始まった実証実験の中心を担い、近く第3弾を予定している。
利用が始まった農薬散布やインフラ点検だけでなく、人を乗せるドローンタクシーや水中での活用も……。アイデアが次々浮かぶ。「馬車の時代に自動車が登場したのと同じ。技術の世界は、いつもこう」。手応えを感じている。
ドローン研究の第一人者 野波健蔵さん(68歳)
朝日新聞2017.05.04
★コメント
想いが新しいマーケットを作る。ドローンはこれからどんな空のマーケットを創造するか、期待が大きい。皆さんはどのような空のマーケットを創造できますか。人が乗るより無人物流にチャンスがあるのでは。
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■『折々の言葉744』
★気づき
若いとき、ひなげしの花びらを通して輝く光に心を奪われる時間があったろうか。(メイ・サートン)
年齢によって人は異なる現実にふれる。不死身の青春、生業に忙しい中年を経て老いを迎え、こんどは「生きること自体」を玩味するようになる。若者に「手を貸す」喜びももてるようになる。そういう変化と成長のなかにこそ人生の「冒険」はあるのに、どうして「若さ」にばかり人はこだわるのかと、米国の詩人・小説家は訝(いぶか)しむ。「夢見つつ深く植えよ」(武田尚子訳)から。
折々の言葉744 鷲田清一
朝日新聞2017.05.04
★コメント
70代も楽しい。自分の経験を若い人に、新興国の若者につたえるgive backは、ちょっと大変なこともあるが楽しい。いまの私は私だけでなったのではなく、先輩、同僚の方々によるところが多い。その恩返しが、若い人へのgive backです。give backしよう。
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■『世の中、便利すぎ?(耕論)不便は手間だが役に立つ』
★気づき
入力すれば目的地に間違いなく行けるカーナビでは、どうでしょう。旅行では、目的地に着くまでの体験も大切なはずです。ナビに頼らず、ときには道に迷って思いもしなかった名所に巡り合う、他人の情けを知る。不便益は「自分だけの体験」、思い出深い旅行につながります。研究者仲間と、同じ道をゆっくり3回歩くと、その道と周辺が真っ白になるナビを開発しました。実験で、普通のナビを使う人より、覚えている町並みの風景が多いことが確かめられました。
省力化や手間いらずの商品やサービスは、提供する側の考えの押し付けとも言える。全自動洗濯機は自分の好みの洗い方をしようとすると、急に操作が煩雑になる。「この機能で十分ですから、これだけを使って下さい」とメーカーに言われて、利用者は「自由にやらせてもらえない」状態に陥っている。時に便利な商品やサービスに、「もっと自分で主体的に選ばせて」と毒づきたくなります。
世の中の多くの人は、便利さのかげで失っているものの大きさを、薄々は感じていると思います。「利便性が高いもの・ことは、いいもの・ことだ」という考えを、そろそろ見直しませんか。少し前にはやったドラマではありませんが、「不便は手間だが役に立つ」のですから。
川上浩司さん(京都大学デザイン学ユニット特定教授)
朝日新聞 2017.05.17
★コメント
不便を楽しむこと。それがヨーロッパの古都保守の要諦。不便がいやだというときから破壊が始まる。一手間加えて、我が家の味が出来、マイ・プロダクトになる。
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■『川久保玲名言集より』
★気づき
・本当は私だってそんなに強くはないですよ。ただ、強気のふりも時には必要です。どうしよう、としょんぼりしているだけでは何も変わらない。
・いちばん大切なものは、仕事。コムデギャルソンの仕事に共鳴してもらい、ギャルソンの服を着た人がドキドキしたり、何か感じてもらえることが一番大事。
・無視されるよりも、けなされるほうがましです。
・作品に対し『よかったですね』『綺麗だったですね』と皆から評価を受けたら、不安で仕方ないです。そんなにわかり易いものを作ったのかと、自己嫌悪に陥ってしまいます。
・作り手の側も1番を目指さないとダメ。『2番じゃダメですか』と言い放った政治家がいました。けれども、結果は1番じゃなくても、少なくともその気持ちで臨まなければ。1番を目指すから世界のトップクラスにいることができる。
2011年8月25日付ウォールストリートジャーナルインタビュー
★コメント
コムデギャルソンの服が大好きです。そこに哲学があるから。生き方、モノづくりの不安と、それを超えて行く哲学が共感を生み出す。
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◆土日朝一番の映画 映画は映画館で観るとワクワク・ドキドキです。
『ライフ』原題;Life
火星の未知な「筋肉と脳でできた生命体」、密閉された空間で次第に進化・成長して宇宙飛行士たちを襲い始める。地球外生命体を調査していた6人の宇宙飛行士が密室の無重力空間で直面する恐怖を描いたSFスリラー。 サイエンス・フィクションではなく、サイエンス・ファクトでは。地球に帰還したのは人間か?火星生命体か?オススメです。
『ヒトラーへの285枚の葉書』原題;Jeder stirbt fur sich allein
ペンと葉書を武器にナチス政権に抵抗したドイツ人夫婦の運命を描いたドラマ。一人息子の戦死で、夫婦で悲しみに暮れていたある日、夫婦でヒトラーに対する批判を綴ったポストカードを、密かに街中に置く。終盤、ある集まりで周囲の全員がナチス式敬礼で右手を高々と掲げるなか、夫婦の手は動かない。権力への不服従を示す“手の表現”。そして最後のシーンが印象的。オススメです
『裁き』原題;Court
インドの新世代監督チャイタニヤ・タムハネーの作品。自殺を扇動する歌を歌ったとして逮捕された老歌手をめぐる裁判の不条理の行方。階層や民族、言語、宗教の異なる様々な人々が生きる複雑なインド社会の状況が生き生きと描かれている。自殺したと言われた下水処理人は、労働環境の酷さが原因で死亡。しかし老歌手の歌が先導したとの検察の告訴はナンセンスなのに、社会を惑わす、テロの仲間だと不条理な糾弾。日本の「共謀罪」を見るようであった。最後のシーンは宗教が異なることを示唆したのか意味不明。インド映画大好き、魅力的映画でオススメです。
日本オリエンテーション主宰 まつもとかつひで
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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第417号(2017/7/18) (c) 1999Japan Orientation
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