1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

26. 商品開発・成功体質をつくる -1「選択・集中、明確・共有、徹底・卓越化」

 商品開発成功のための体質づくりについて、10の原則を提示してみます。
まずは、みなさんの耳にタコができるほど聞いている事柄ですが、選択・集中化です。選択・集中と同時に、明確・共有化、徹底・卓越化がセットになって、その重要性が増します。

まずは、選択・集中です。

 総合という概念が陳腐になってきています。ITの世界でも全てに勝てる企業はありません。PCに特化している企業、サーバーに特化している企業、プリンターに特化している、ソフトに特化している企業、ソリューションを提案している企業。選択・集中している企業が成功しています。
「ビジョナリーカンパニー2飛躍の法則」(ジェームズ・C・コリンズ)は、おもしろい表現を使って選択・集中の重要性を紹介しています。
 ハリネズミとキツネの戦いで、ハリネズミは、針でキツネから守ることに集中し、キツネはいろいろ知恵を絞って攻撃するが、決まって勝つのはハリネズミである。
また、フロイトは無意識に、ダーウィン自然淘汰に、マルクスは階級闘争に、アインシュタインは相対理論に選択集中したから、著名になったのだと述べています。なるほど選択・集中は重要なのだ。

明確・共有化すると力になる。

 選択集中は、わかりやすくなければ意味がありません。難しい表現だと概念の共有化が出来なく、混乱起こすことがあります。
 NECは20年前からC&CforHUMAN POTENTIALを表明しています。カゴメのリファイオブザベジタブルも私にとっては、共感できる選択集中です。(今はどうなのかわかりませんが)
アメリカのタイム社は、ニュースにフォーカスしています。ニュースをプラットフォームにして、世界のニュース「タイム」、ビジネスのニュース「フォーチュン」、写真のニュース「ライフ」、有名人のニュース「ピープル」、お金のニュース「マネー」、スポーツのニュース「スポーツイラストレイテッド」を発行しています。
社内の人たちはもとより、企業と関係する全ての人々が、選択・集中を共有化することが、力になります。

他社に負けない固有の強さを持つことが必要です。

 三菱自動車はSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の先駆者でした。しかし今はその面影はありません。富士重工業は4輪駆動で先駆者であると同時に今でもリーダーです。いすゞ自動車はディーゼルでは世界の先端にいます。選択・集中して成功したなら、徹底・卓越化することが必要です。
 技術においても他社に負けない固有技術化、ディープテクノロジー化することが重要です。シャープは液晶で、味の素はアミノ酸で、花王は界面活性と精密化学に選択集中し、徹底卓越化しています。

いろいろな選択集中。

 経営の選択・集中、技術の選択・集中はもとより重要ですが、広告の集中化、販売の集中化も有効です。
広告は効率的な地域に集中化する、そのために1000所帯当たりの売上高の高い地域に広告費を集中させる。BDRを(BDR=Brand Development Ratio)考慮して広告の効率化を考える。
販売においても、魅力的顧客に集中する、魅力地域に集中することなどが重要になります。外資系の保険会社が、事故率の一番低い宮城県に、よい条件で差別化した商品を売り集中化し、また、高資産家に特化した外資系金融機関なども選択・集中の典型例です。
 選択・集中、明確・共有、徹底・卓越化はマーケティングの基本です。

日本オリエンテーション 松本勝英

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