1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第158号

配信日:2006年04月04日

第158号
『信頼喪失社会』『思想の時代の終わり』『4Rマーケティング』『フェロモン』『信頼社会』

東京の桜が満開です。
朝6時頃のサクラは、神々しく輝いている。暮れ時のサクラは幽玄で美しい。
朝と夕暮れの桜が好きです。美しく散れれば、散る桜も美しいですね。
「球場の朝 桜で3塁ベース ぽっかり」

新年度がスタートしました。また一つ竹の節が出来ます。
このごろは竹の成長が早いので、節もしっかりしないと、ふにゃふにゃな竹
になってしまいます。

■『信頼喪失社会』
★解  説
 日本から公共性という概念が失われたのは、80年代初頭から。その下地を
準備したのはもっと古く、テレビというメディアの登場が大きい。身体は
室内にありながら、画面であらゆる出来事をみていると、社会という広がり
を個人が身体で実感することが難しくなる。80年代のテレビゲーム、90年代
のインターネットの登場で、この傾向は加速した。
電車の中で化粧をする人は、自分と自分を取り巻く外界が、意識の上で切断
されているのだ。
言葉の機能が失われているから、社会的な広がりを実感することが出来ない。
世界がどんな姿をしているのか、自分が何を感じ、考えているのか、それを
捉えるのは言葉だ。言葉で捉える過程をなくしたら、人間は刺激に反応する
だけの動物的な存在となる。そのためにまず国語を身につける。
もしかすると現代は、何千年もかけて人類が築いてきた社会の仕組みが退化
へと向かう転換点にあるのかもしれない。それを表す最たるものが「自己責
任」という言葉だ。人間は一人では背負いきれないものがあるから、社会が
変わって保証をする仕組みを築いてきた。なのに年を取るのも、病気になる
のも、個人の能力も「自己責任」なのか。
                 高村薫 作家 読売新聞 2005.12.28

★ミネラル
 人間の「生」とは何なのか、身体感を無くし、言葉を無くし、人間として
の「生」が危うくなってきているのでは。生きている実感の回復、身体感の
回復が重要では。もっと人間はじゃれ合うことも必要なのでは。身体接触を
増やしたいですね。解決はしないけれど。
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■『思想の時代の終わり』
★解  説
 思想の時代が終わり、世界は、科学と技術の時代になっている。
「数学的に正しい幸福」にひたり、「未開の宇宙人」を強制的に幸福にする
計画、人間は確率の奴隷。
未来の科学的優位の世界では、個人的な感情は抹殺され、芸術家が不要にな
る。

★ミネラル
 科学、技術の奴隷にはなりたくないですね。ヒューマンとは、もう一度、
考えてみるべきではないでしょうか。
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 ■『4Rマーケティング』
★解  説
1R;リレーションシップス(関係づけ)
サービスと体験が核顧客とのあらゆるサービスの機会であり、顧客を喜ばせ
るメディアである。これらを再考、再設計すること。サービスを口コミに。
サービスを通してメーカーが直接顧客とつながるマーケティングを。
体験、ショッピング、消費体験を魅力的に、そしてリレーションシップにつ
なげる。
2R;リトレンチメント(顧客との距離の短縮化)
こちらから顧客を訪ねる。テクノロジーとコンビニエンスが重要。
インターネットの活用 オンラインで顧客の視力検査を。オンラインでファ
ッション衣料を。試着した自分の姿を見ることが出来る。インターネットで
見たり、聞いたり、さらに感じたりすることが可能になる。
今の小売業者は販売によって利益を得ているのではなく、仕入れによって利
益を得ている。顧客を自分の方に引き寄せるのではなく、相手の場で販売す
ること。オンラインで販売できる商品企画を。人間的接触も重要。最先端を
行く顧客ケアーセンターが前提条件。
3R;レリバンシー(顧客にとって意味がある)
購入動機に直接むすびつける戦略。
そのため、エクスパティーズ(専門の知識・技術)ペットに関する専門知識、
家庭用電子機器に関する専門知識、チーズの、自動車メンテナンスの、等々。
4R;リワーズ(報奨)
顧客への報奨。スタチュア(優越感)とタイム(時間)。高級だけではなく、
自慢できる買い方、(骨董店でみっけもの)、意味開発。
時間に限りがある、だから時間の価値は増す。出入りを素早くする、製品サ
ービスの宅配、店を近隣へ移す、ワンストップサービス。 
エリオット・エッテンバーグ著「ネクストエコノミー」東急エージェンシー

★ミネラル
 顧客を囲い込む戦略に対して、顧客に囲い込まれる戦略が重要になります。
顧客との関係をダイレクトに、継続的に、魅力的にどう展開するかブランド
戦略マーケティングのポイントでは。詳しくは本を。
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■『フェロモン』
★解  説
 フェロモンは無臭で、同じ種の動物に一定の決まった行動・変化を起こす。
匂いとして認識される場合もあるが、されない場合が多い。フェロモンを感
知するのは、マウスなどでは鼻孔の横にある、じゅび器という器官。人にも
胎児期にはある。フェロモンには「性フェロモン」「警告フェロモン」「集
合フェロモン」があるが、人間には、物質の特定には至っていない。
                        朝日新聞 2005.04.10

★ミネラル
 人間にフェロモンがあるとおもしろいですね。文化フェロモンというのは
あるのかもしれません。政治家の発する独特な雰囲気も一種のフェロモンで
は。それをなかなか感知できないことが、ちょっともどかしいですが。
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■『信頼社会』
★解  説
 「信頼社会」 安定した関係にはない見知らぬ他人への信頼度が高いこと
や、自己の利益だけを考えず、協力的な行動をとることが、経済や社会の円
滑な運営に不可欠であることの実証。
「信頼社会」はこれまでの「安心社会」とは違い、自分の属する集団の外の
人に、最初から「他人をみたら泥棒と思え」という決めつけをしない社会の
ことだ。見知らぬ相手を闇雲に信頼するのは危険である。しかし、他人が協
力してくれるという期待がもてないときには、互いに協力することが出来な
くなる。
多くの人は、みんなで協力し合うことが出来るのなら、自分も協力したいと
いう心理を持っていることが、多くの研究からわかってきた。
信頼社会は安定的な関係がある安心社会に比べて不確実性が高くなる。その
中で、相手が信頼できるかどうかを判断しなければならない。見知らぬ人間
に対する信頼度が高い人の方が、相手のネガティブな情報が与えられたとき
に敏感に反応し、適切にリスクを避けることが出来る。信頼社会の構築には、
透明性の高い情報を提供する社会的なシステム?すなわち米国の中古車を買
うときに、隠された故障や欠陥がないかどうかを、全く別の業者が有料で調
べてくれる、又はインターネット上で調べられる、が必要。「保証書付きの
情報」を売るサービスが生まれてくるかもしれない。
         山岸俊男氏 北海道大学院教授 読売新聞 2005.12.28

★ミネラル
 信頼社会の前提は、オープンにすることです。社会をオープンに出来るだ
けする。個人としても偏見を持たず、オープンに接する。昔、一緒に仕事を
していたアメリカ人に、「カツ=勝(私のことですが)は、自分の生活、過
去の失敗、今の考えを、オープンに話すね」といわれたことがありました。
もしかしたら、ほめられていたのかも? 

                日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

★マイカレンダー3月22日(水)?4月3日(月)    
今回はミネラル部分が長いので簡単に。
22日(水)手打ち蕎麦の会「織り縁亭=オリエンテー」。Wさんの蕎麦を堪
能。ダイエー社長の樋口さんが飛び入り参加。話が弾む。
23日(木)インターンの学生の送別会。なかなかよく仕事をしてくれました。
企業はぜひ育ててあげて欲しいですね。
31日(金)休み。朝の桜の花の下で恒例の夫婦で朝食。すがすがしい朝食で
した。
2日(日)朝一番の映画「ブロークバック・マウンテン」を見る。
アン・リー監督。2人のカーボーイの愛情を描いた映画です。男と男の友情と
愛情、男と女の愛情と友情。この中で、男と男の愛情が一番難しいのでは。
特に保守的環境の中では。愛情には性的関係が当然あるのに、男と男の愛情を
表現するときの性的なあり方が難しい。
この映画はその難しさを、ブロークバック・マウンテンの風景の中で美しく表
現している。アジア人の感性も感じます。

楽しいことだけ書いていますが、いろいろあります。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第158号 (2006/4/4) (c) 1999 Japan Orientation
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