1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第162号

配信日:2006年06月06日

第162号
『芸術の国日本』『合掌に注目』『綺麗』『程の良さ』『スロー快楽主義』


出張ついでに、一人旅をしてこようと思っています。郡上八幡、白川郷、
旅を楽しんでみました。

マツモト・ミネラル162号スタート
「美」をいろいろな視点から、ちょっと捉えてみました。
■『芸術の国日本』
★解  説
 芸術の国日本 日本列島は代々豊かな詩歌の森におおわれてきた。和歌や俳
句に象徴される詩歌の心、その詩魂のうちに日本の文化の芯、究極のアイデン
ティティーがある。和歌や俳句、絵や物語を通し、自然や人生を感じる。こう
いった感性は日本人のもっとも優れた資質。最高の文化財。歌は絵の主題にな
り、さらに衣装、デザインとして描かれた。扇子、ふすま絵、着物、茶碗、花
札など。列島の歌人や画家は風に揺れる草や月の光にさえ、神や仏、宇宙の存
在を感じ取った。驚きだったのだろう。万物にものの哀れやはかなさや美しさ
の感情を抱き、草木一本に魂を込め、細やかに表現する。そんな日本人の美意
識にヨーロッパのインテリは目を見張った。驚きのもうひとつは、芸術的表現
の世界が庶民に広く浸透して生活化され、生活が芸術化されていたこと。
「日本人は貧しい。だが高貴だ」(戦前の駐日フランス大使で詩人のポール・
クロデル)
江戸中期は特に興味深い。完全な平和、円熟した文化の中にあり、この時期か
ら精神史の上での日本の近代化が始まる。杉田玄白、平賀源内、与謝蕪村、
伊藤若沖、上田秋成、丸山応挙など。日本人は生きざまや思想を難しい哲学に
せず、伸びやかな感受性で思索し、詩歌や絵に表現してきた。そこを見据えな
いと、根っこは見えない。国や都市の品格には芸術の精神が欠かせない。
日本は芸術の国でなければ世界から尊敬されないし、よりどころを失う。
         「芸術の国日本」芳賀徹さんに聞く 日経新聞2006.03.30

★ミネラル
 アニミズム感覚、自然のあらゆるものに投影できる感性が自然との一体感を
生む。毎日事務所にくる道路脇の雑草に話しかけている私は日本人だ。
「今日の気分はどうですか」

■『合掌に注目』
★解  説
 アジアの重要な礼法として、握手に対して、合掌に注目。握手は左手があい
ているんで相手の頬を張ることもできる和戦両様の、両義的な人間関係を象徴
する。禅の修行では、音を立てずに食事をする。両手を添えて茶碗を上げ下げ
するからだ。その姿は美しい。両手を使うことが合掌につながり、食事作法へ
と展開していったかもしれない。茶道、華道などの伝統文化の中でも、作法の
基本に合掌があった。そこでは和戦両様な握手とは違い、攻撃性や敵意が失わ
れている。
               山折哲雄氏 宗教学者 読売新聞2006.04.13

★ミネラル
 アジアの国々行って、合掌に出会うとホッとする。セミナーの始めと終わり
に合掌をしてみよう。合掌。
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■『綺麗』
★解  説
 人間は透明なものを綺麗だと感じる。それともう一つ、遠くのものはみんな
綺麗に見える。美しいと感じるものはどうも、この二つに関わるようだ。遠く
のものが見えるのはその間が透明だからで、この二つの定義は同じかもしれな
い。綺麗から美しいへ変化する可能性がある。
                    赤瀬川源平氏 BOGUE2000.08

★ミネラル
 透明は澄んでいて、清らかな感じがします。視覚の問題ではなく心の問題では。
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■『程の良さ』
★解  説
  茶の湯の良さ 基本的には「程の良さ」を学ぶ文化だ。それは分をわきま
えることで自分にとって本当に大切なものは何かを見極め、無理をせず、その
中で楽しさを見いだすことではないか。日本文化は「程の良さ」に美徳を見い
出してきた。わび茶を生み出したものの根底にも程の良さがある。茶道の美意
識は、月の満ち欠けを念頭においたものと思う。栄枯盛衰の「あはれ」という
か、さりげない頃合いを教えてくれるようなところが日本の文化の根底にあり、
それが美しさにつながるのだ。茶道は精神と外見の両極端で見られがちだが、
この正反対の二つを結ぶのが遊びの感覚だ。この感覚が「ゆとり」につながる。
しかし、昨今は、このゆとりがなくなってきている。無駄にも必要と不必要が
あり、必要な無駄が「ゆとり」だ。ただ、人によって価値観が違うから、何が
自分に相応かを認識すればいい。
                     千宗室氏 読売新聞2006.04.13

★ミネラル
 近代化の成熟の中で、日本の持っている文化が見直されてきています。
「程の良さ」も魅力的な概念です。日本オリエンテーションも私も、「相応」
「程の良さ」を感じながら仕事が出来れば幸せです。
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■『スロー快楽主義』
★解  説 
 スロー快楽主義 僕たちはかつて持っていたはずの自前での快楽を生み出す
能力を失って、快楽の消費者に成り下がっている。そもそも消費型ライフスタ
イルは僕の美意識に会わない。みんないらいらして、疲れている。社会に潤い
がなくて、ガサガサしている。競争的で、思いやりに欠けていて、不安に満ち
ていて、優しくない。
              辻真一氏 文化人類学者 読売新聞2004.09.18

★ミネラル
 与えられる美、消費の美は美の意識を鈍くする。勝、負けの話は美しくない。
人間本来の生きる力を取り戻すこと、消費する生活から、生み出すことが生活
になる生き方にならないと、美を感じる感性は低下するのでは。美を生み出す、
快楽を生み出す生活にシフトしなければ。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 5月15日(月)?6月5日(月)    
風邪をこじらせ、悪戦苦闘でした。風邪には気をつけなければ。予防と先手が
大事だと痛感。コンサルティング、社内教育、「商品開発プログラムのたて方」
セミナー。
そして、手打ち蕎麦とおもしろい話を聞く会、織縁亭(おりえんてい)。 
企業の方々ともいろいろディスカッションをしました。
「商品開発プログラムのたて方<30+6>時間」セミナーは、風邪で声の出ない中、
どうにか話し終える。もっと、もっと話をしたかったのですが残念。

社内教育は「生活DELIGHT商品づくり」「魅力の開発と提案」これからの
大事なテーマです。
29日(月)渡辺さんの手打ち蕎麦と、客員研究員の高橋さんの「数学におもし
ろさと美しさ」の話を楽しみました。
蕎麦はゆでる前も、ゆでた後もつやが美しく美味でした。数学は友愛数、社交数、
婚姻数、人間が作った数、数の減少と増加と周期、じゃんけんの話。
7月にも予定をしています。蕎麦好きの方、ぜひご参加を。
週末、名古屋の出張の帰りに、日本の風景 飛騨古川、日本人の生活の知恵の結
集である白川郷の合掌造り、水の町郡上八幡を堪能してきました。
いい一人旅でした。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第162号 (2006/6/6) (c) 1999 Japan Orientation
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