配信日:2006年07月04日
第164号
暑気払いの本の紹介です。
技術イノベーションに対して、価値イノベーション、需要イノベーションに関
するおもしろい本が話題を呼んでいます。
「ブルーオーシャン戦略」
W・チャン・キム+レネ・モボルニュ(ランダムハウス社)
価値イノベーションによる、戦わないで勝つ競争戦略について述べています。
戦って勝つ戦略をレッドオーシャン戦略、戦わずして勝つ戦略をブルーオーシャ
ン戦略と名付けたネーミングの良さもあり、インパクト感もあります。
「伸びない市場で稼ぐ」
A・スライウオツキー R・ワイズ(日本経済新聞社)
需要イノベーションの本です。企業の固有資源を有効に活用し、技術イノベー
ションに頼らず需要を創造する、成熟市場におけるマーケティングの本です。
両著とも、技術イノベーションでないイノベーションを取り上げている点がお
もしろいのでは。
「ビッグツリー」
佐々木常夫(WAVE出版)
東レ経営研究所社長佐々木さんの家族と仕事の話です。
ワークライフバランスを考える好著です。
■『トヨタの「日本独創」』
★解 説
技術開発の基本コンセプトに「世界価値に昇華した世界独創」を。
「もてなし」「余韻」「先鋭?精妙の美」といった日本的要素を埋め込み、世
界の競合メーカーと差異化するねらい。「単に過去の日本らしさを活かすだけ
でなく、世界に通用する日本初の独創価値をデザインなどに活かしていく」
★ミネラル
効率のよい文明的商品に対して、伝統を重視して文化的商品の開発が望まれ
ています。グローバルな商品には、日本の文化の魅力を込めていかないと、文
明的商品になってしまい、魅力を失うのでは。
■『アイドル、アニメの趣味判断』
★解 説
アイドル、アニメの趣味判断には、気味が悪いものを特徴的に取り上げると
ころがある。着飾ったアイドルを「可愛い」と思う判断は「美しい」や「格好
いい」ではなくむしろ「不気味だ」という感覚に近い。頭の上にわざわざドリ
ルをくっつける「D4プリンセス」の作り手は、自分達が美しいものを好きなん
じゃなくて、気味が悪いものが好きだということを知っている。
★ミネラル
気味悪いものを好む傾向が強くなってきています。戦後のエロ・グロ時代に
似てきています。ちょっと気味が悪い要素を入れることがいまは受けるのでは。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『農に基づく文化立国』
★解 説
農に基づく文化立国 農の再生と活性化 美意識に基づく日本の農 自然と
の共生の中で磨き抜かれてきた、日本の食と酒、祭り、山村の美しいたたずま
い、漆器や焼き物などの工芸品。もう一度農に立ち返り、五感を鋭くし、日本
の文化力を高める。そして「美しい日本の創造」山・川・海を美しく再生。
木村尚三郎氏 日経新聞2005.01.10
★ミネラル
農が感覚感性を育む。自然の美しさ、はかなさ、荒々しさ、静けさを感じ取
る感性がこれからの世界にとっては重要です。
もう一度日本の自然を取り戻し、その中で感性を磨かなければ。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『ハマる人ハマらない人』
★解 説
「負の強化」とは、なにか行動を起こした結果、それまで存在していた負
の「なにか」が消えたか、弱まったかして、そのことで後の行動の頻度が増
えること。
「負の強化」によってクスリにハマる場合、覚醒剤の「受動快感」や、麻薬
などの「能動快感」がある。
ハマリやすい人
・ストレスに対する対処の未熟さ
的確に対応できず、偽の解決方法を図る
・ハマる対象に対する誤った期待
現実を都合良くねじ曲げて解釈する
・コントロールの喪失
自分の行動を上手くコントロールできないことによる無力感が衝動的行動
を生む。
気質と神経伝達物質
新奇性追求はドパミン、損害回避はセロトニン、報酬依存はノルアドレナリ
ン、固執についてはまだ特定化は出来ていない。
ハマるとは、薬の強化効果、ハマる薬は脳の報酬系に作用する、報酬系の活
動はストレスや条件刺激によって活発になる。
時々強化が効果的
長時間、持続的強化に対して、時々強化が効果的
時々強化には「時間感覚」と「行動の回数」による方法がある。それぞれが
また「定期的な」「不規則」に分かれる。
「人はなぜハマるのか」廣中直行氏(岩波科学ライブラリー)
★ミネラル
痛み、ストレスなどがちょっと消えたり弱まるとそれを求めて「負の強化」
が起こる。情報は溢れていて何が真実かがわからなくなっている今という時代
は、「負の強化」が生じ、ハマル人たちが多くなるのでは。「負の強化」が連
鎖的に強化され、変なことにハマル人たちが生まれてきています。健康にハマ
ッテいる人も同じ「負の強化」現象では。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『美の基準』
★解 説
グラビアに見る「美の基準」アメリカでは一般的な女性をモデルに起用。
「ナイキ」「ダヴ」「AP通信」も10代向け雑誌で、スリムな女性に混じっ
て、太めの子をがグラビアに。個性の美しさを強調。しかし、他人だと胸が平
らでもかわいいが、自分だったらどうにかしたいなどの、自他の間で、異なる
2つの基準を使い分け、ゆがんだ自己イメージに翻弄されている。我々は、複
雑で不安定な美意識と自己認識を、器用に、しかし無理も重ねつつ、一つの
人格に収めて生きている。
読売新聞2005.09.09 金曜コラム
★ミネラル
多様ということの難しさである。多様な美、多様な個性、多様な生き方など、
多様の重要性が述べられていますが、これがなかなか厄介な代物です。
今は、強さがないと多様でいられない時代。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
★マイカレンダー 6月19日(月)?7月1日(土)
コンサルティング、社内教育、健康セミナー、商品評価研究委員会など。
コンサルティング2社ともに健康テーマ。1社はコンセプトブラッシュアップ、
もう1社は健康テーマ開発。今までの特保訴求では成功しない。新しいアプ
ローチが必要だと感じています。
教育は、客員研究員による「多変量解析」社内教育セミナー。社内で官能評価
をするためのデータの読み方。ちょっと参加。
Y社 社内教育の2回目。ニーズの開発。ニーズとは生活提案仮説開発です。
健康開発セミナーで2時間講演。不健康を解消するから、これからの健康提案
生き甲斐提案が重要。
商品開発評価研究の打ち合わせ。客員研究員2人、評価を得意としている企業
の代表の方々と、商品開発の効率化、失敗を最小に、成功をより成功に、をテ
ーマにして評価のこれからのあり方について議論。評価の考え方、評価方法、
評価を活かすには、をコンサルティングへ結びつけていく予定です。
土日、早朝一人で映画を見るは、「やわらかい生活」「グッドナイト&グッド
ラック」の2本。
「やわらかい生活」大好きな寺島しのぶが、カッコよかったです(ミーハーで
すみません)。強くて弱い、知的で退廃的、健康的で非健康的、明るくて暗い
両面を自由に演じることの出来る女優です。
粋さが全くない、下町の蒲田で(場所の設定がいい)痴漢のおじさん、うつ病
のヤクザ、区議会議員へ立候補をしているEDの同級生、離婚に追い込まれて
いる田舎の従兄弟などとの出会い。
「大人になると心も体も窮屈になる」の会話にうん、そうそう。
「グッドナイト&グッドラック」マッカーシによる赤狩りの時代、CBSの
ニュース部門の自由を獲得するための戦いの映画。白黒の画面が内容の濃さに
つなっがっていて活きていました。
導入部がちょっと入りにくい点がありますが、後はしっかり見ました。
この期間もいろいろな企業の方々、大学の先生、にお会いしました。感謝。
・■■■………………………………………………………………………‥‥・・
■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第164号 (2006/7/4) (c) 1999 Japan Orientation
・・‥‥………………………………………………………………………‥‥・・