1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第166号

配信日:2006年08月01日

第166号
『レクサスの品質基準』『起源から新視点』『アスクルの「デザイン革命」』『美』『断食体験』『イノベーションのための7つの機会-2 ギャップの発見』


8月1日のマツモトミネラルです。
夏休みです。どのような夏休みをお考えになっていますか。
日本オリエンテーションも、10日(木)から16日(水)まで夏休みです。
私は、事務所で一人で本を読んだり、考え事をしたり、帰りに一杯飲んだり、
映画に行ったりして過ごしたいと思っています。

今回は、生活Delight(楽しく、愉快にする)に関するミネラルです。
Delightな商品を開発することが魅力の開発です。

■『レクサスの品質基準』
★解  説
  トヨタの検査項目は通常2千強だが、レクサス社では3千項目にも上る。
組立ラインにレクサス車用の検査場を別途設け、時間をかけて検査をする。
レクサスの車検の基準は「きびしい」だけでなく「こまかい」。
一般のトヨタ社と比べて違うのは乗り心地や音、外観という感性の領域まで細
かくチェックする。ボディーとバンパーの合わせ面のスキマを例に取ると、通
常1?2ミリのスキマは問題視されないが、レクサス社では1ミリのスキマも
許されない。
音や乗り心地も工場内のテストコースで1台ずつ走らせて点検する。部品段階
から設計図面との誤差ゼロを目指す。単に「不具合をなくす」という程度では
目の肥えた高級車購入層には感動を与えることは出来ない。工場をあえて顧客
に公開することによって、その品質に磨きをかける。
                        日経産業新聞2004.08.10

★ミネラル
 レクサスのものづくりの考え方は、イタリアのもづくりの考え方に大変似て
います。小林元氏の「イタリア式仕事術」(日経文庫)は大変参考になります。
ぜひ一読を。
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■『起源から新視点』
★解  説
 リクルートの新規事業開発室長の倉田学氏、新しい情報誌を出すに当たって
自分の会社の分類がわからなくなり、手がかりを求めて、グーテンベルグの印
刷術で最初になにが印刷されたか調べてみた。読み物としての聖書、使う物と
しての地図。地図に注目して、感動ソフトと行動ソフトという分類を考え、そ
して体を動かす行動ソフトを作るメディア・ビジネスが自社だと考え「探せる」
「選べる」「行動できる」コンセプトの情報誌を次々と生み出した。
                  「創刊男の仕事術」(日本経済新聞社)
★ミネラル
 言葉の語源を、語源辞典で引いてみると新しい視点が出てきます。
美の語源は、美の上部は羊、下部ははまるまる太るです。美とは、羊がまるま
る太って、おいしいということです。語源辞典をお楽しみください。
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■『アスクルの「デザイン革命」』
★解  説
 もっとステキ、もっと気持ちのよいデザインを、スウェーデンのイケア、パ
リの百貨店ボン・マルシェを見てこれだと感じた。
北欧のデザイナーとの商品開発、スウェーデンが優れているのは身の回りにあ
る定番商品を主張しすぎない、すっきりしたデザイン。雪国で家で過ごす時間
が長く、過剰で主張しすぎるデザインは落ち着いた生活の邪魔になる。
店頭で売ることを考えると商品名が大書きしたものになる。エステー化学の
「消臭力」、ネピアの角を取ったティッシュなど、MDがお客の職場に行って
使い方を見てデザインを。
多数のデザイナーと多数のメーカーを抱えるプラットホーム型ビジネスはデザ
イナーが活動領域を拡げやすい。
                          日経MJ2006.04.05

★ミネラル
 実用的商品でも、使われる時間はほんの一瞬で、置かれている時間の方が格
段に多い。デザインの善し悪しは置かれている時間が長いほど重要になる。
プラットホーム型デザインビジネスもおもしろいですね。
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■『美』
★解  説
 美しいと感じる感覚は生命のプロセスと緊密に結びついている。あるものが
生命の形や過程と矛盾しない時、初めて美しいと感じる。生活の中で美が欠け
ているとすれば、それは生活の中で生命の形や過程を失いつつあることではな
いか。

★ミネラル
 生命は美の原点では。生きるとは美しいこと。春になると、木の芽が萌え、
新緑の若緑になり、濃い緑になり、そして枯れていく。そのどの段階も美と感
じる。うれしいことですね。
オーストリアの神秘学者ルドルフ・シュタイナーは、五感に、生命感覚、運動
感覚、平衡感覚、熱感覚、言語感覚、概念感覚、個体感覚を加えた12感覚論を
提唱し、生命感覚の重要性を述べています。
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■『断食体験』
★解  説 
 初日の夜くらいから頭痛がでる。熱は37度を少々超える。ちょうど風邪の
状態。3日目が一番つらい。4日目から空腹感も頭痛もなくなり、体が宙に浮
いたようにふわふわして心地よくなる。いわばナチュラルハイの状態。そうな
ると2週間でも3週間でも続けられそうな感じがする。断食期間中特有の心理
として権威や強い者の言葉に感化されやすく、すぐに感動し泣いたりするよう
になる。思考の抵抗感がなくなり洗脳しやすい。断食中は恋愛感情、性愛意識
は極端に低下する。俗を離れて「高尚」になる。ダイエットにはリバウンドが
激しく効果がない。胃腸のコンディションがアップし、料理はもりもり、酒は
がぶがぶとやれるようになり、断食前より体重が増える。1週間も断食すると、
その後2?3日は味覚がずいぶん変化しデリケートになる。蜂蜜などは強烈す
ぎて苦みを感じるし、肉などは一切れでも胃にもたれる、しょうゆは臭くて吐
き気を催す。甘み、辛み、苦みが強すぎる。
もっとも10日もすると元に戻ってしまう。
       「趣味としての断食」藤原智美氏 作家 日経新聞2003.10.24

★ミネラル
 過剰の時代、断食がクローズアップされる意味が理解できます。
知り合いの化粧品メーカーの商品企画マネージャーが、断食によって皮膚状態
がどう変わるのかの体験に行ったことがあるそうです。断食によって、皮膚は
大変敏感になるようです。
身体、皮膚の見えない状態をあぶりだすのに、断ってみることは重要では。
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■『イノベーションのための7つの機会-2 ギャップの発見』
★解  説
 ギャップの発見。現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ。
定量的より定性的。
業績ギャップ;成長産業にいるのに業績が伸びない。既知の技術と既存の資源
を利用してイノベーションを。イノベーションは複雑であってはならず、単純
でなければならない。華々しいものではなく当たり前のものでなければ。
価値観ギャップ;顧客が買っている価値と企業が提供している価値とのギャッ
プ、認識ギャップ、プロセスギャップなど。
      ドラッカー「イノベーションと企業家精神」(ダイヤモンド社)
★ミネラル
 意識と行動のギャップを発見することが、イノベーション、ニーズ開発に有
効です。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英


★マイカレンダー 7月17日(月)?7月31日(月)    
17日、仕事で高松、松山に行って来ました。
高松で一軒うまい店を発見しました。「まいまい亭」、夫婦二人でやっている
高松の郷里料理の店です。ホテルで紹介され、タクシーに乗ったときに運転手
から、あそこのご主人は変わりもんなんですよと脅かされたのですが、私にぴ
ったりのお店でした。
先客の香川大学名誉教授の先生とも話が弾み、教え子の高校の先生も加わり、
祭日で楽しいお酒でした。これで、新潟、函館、いわき、秋田、松山に続いて
行きつけになる店になりそうです。

コンサルティング1社。社内教育2社。「商品開発プログラムのたて方」セミ
ナー2日。「生活ナレッジ」社内検討会。女性マネージャーの会へ行き相談を
受ける。いろいろな企業の人たちと仕事の打ち合わせ。
軽い腰痛が出て、2日間立ち続けのセミナーはちょっときつく感じました。

商品開発評価研究所を創ろうと、いろいろミーティングをしています。
「生活Delight商品」のコンセプト評価をメインに考えています。
具体的商品をテーマに、生活Delightコンセプト開発と、その評価の仕
組みを検討しています。興味がある方の参加大歓迎です。8月9日16時よりミ
ーティングを開きます。

朝一番1人で見る映画は「ゆれる」。監督・脚本:西川美和 キャスト:オダ
ギリジョー 、香川照之 。絆の深層心理サスペンスで大変見応えがある映画で
す。人間の表と裏の間に、誰にもわからない闇の間がある。香川照之が演じる
兄・稔の役に立体感、陰影感、闇感を感じ好演です。
香川照之のボクシング評論もなかなかです。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第166号 (2006/8/1) (c) 1999 Japan Orientation
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