1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第173号

配信日:2006年11月07日

第173号
『2.5人称の視点』『情報』『活力ある成熟国』『Jポップに「地名」復権』『日本人の忘れ物』


ひさしぶりに、本当にひさしぶりに私の尊敬する、NHKで「ニューアカデミズ
ム旋風」を仕掛けた、浦達也さんから「実感の同時代史」(批判社)の著作が届
きました。
浅田彰などのニューアカデミズム、ポストモダン、映画、演劇、音楽などの時代
の風を送ってくれていた人で、時代のフロントランナーです。
今から読むのが楽しみです。

■『2.5人称の視点』
★解  説
 「2.5人称の視点」 自分だったらという1人称の視点。家族ならば2人
称の視点。そして他人事と見る3人称の視点。
1人称、2人称の視点だけでは感情に走って冷静な専門的な判断が下せなくな
る。かといって無味乾燥な3人称の視点であれば、ヒトをモノとして扱うこと
になりかねない。人を対象にする専門職に求められるのは、1人称と2人称を
考慮に入れつつ3人称的な専門的判断を下せる、2.5人称の視点が、柳田邦
男さんの「2.5人の視点」。
           「着るものがない!」中野香織(新潮社刊 1,365円)
★ミネラル
 社会の中での、自分の立ち位置を考えることが必要です。電車の中で立って
いるお年寄りを見たとき、私の親父と同じ年カッコだなと感じる。20才の
大学生と話しているとき、私も20歳ぐらいの時は幼い発想しかできなかった
よなと、若い人の考えが理解出来る自分でありたいですね。
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■『情報』
★解  説
 「情報を5千マイルなり1万マイルなり動かすことが重要なのではない。
そんなことは電気的な問題にすぎない。国際的コミュニケーションの連鎖を決
定的に連結させるものは、個人的な接触を最善の形で橋渡しする最後の3フィ
ート(約1メートル)、すなわち他者との対話である」
         CBSテレビ ニュースキャスター、エドワード・マロー

★ミネラル
 アメリカCBSテレビのアンカーマンとして活躍し、赤狩り(マッカーシズ
ム)と戦った有名なジャーナリストの言葉です。今年見た映画「グッドナイト
&グッドラック」も印象的でした。
直接的な対話こそ大きな刺激です。
ちょっと話が変わりますが、私はいつも話す人の頭の後ろに届くように話をす
るよう意識しています。   
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■『活力ある成熟国』
★解  説
 活力ある成熟国をめざして グローバル化による海外展開、IT化による労
働生産性の向上、燃料電池、生命工学などの大きな需要喚起技術、地方を含め
た海外との交易を含めた広範囲な「経済連携協定」を東アジアと結ぶ。道州制
中部三県でオランダに匹敵、近畿はスペイン、東北はベルギー。そして、攻め
の農業、農産物の輸出拡大。      

★ミネラル
 成熟国でも成長時と同じようにやることがたくさんありますね。何をやるか
も重要ですが、どのようにやるのかが重要では。成長時のように変化、スピー
ドを追いかけることはしたくないですね。成熟の良さを考慮して対応したいで
すね。
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■『Jポップに「地名」復権』
★解  説
 Jポップに「地名」復権 地元の映像イメージ歌う、「ふるさと」身近に鮮
明に。
均質化し肥大化した80年代から90年代にかけて、イメージを限定する地名
が歌から消されていった。
音楽業界では00年あたりから地名入りの音楽が増えてきた。地域コミュニテ
ィー崩壊や格差進行で殺伐とするなか、地元というアイデンティティーをもつ
ミュージシャンの「ふるさとな感じ」が人の心のよりどころとして受け入れら
れやすくなった。
         ソニー・ミュージュックエンターテイメント 増淵敏之氏
                          朝日新聞2006.06.13

★ミネラル
 車同士がすれ違っても挨拶はしません。昔サイクリングをやっていて感じた
のは、自転車同士がすれ違うときには、「こんにちは」という挨拶を交わして
いました。ちょっとスピードが落ちてくるといろいろなことが見えるようにな
ってきます。ちょっとした現象ですが、少し見えてきている、また見たいと感
じてきているのでは。
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■『日本人の忘れ物』
★解  説 
 日本人の忘れ物 山田洋次さんに聞く 
「男はつらいよ」の旅先で出会うのは、風にそよぐ稲、遠くにかすむ山々、藁
屋根、畦道、かつてはどこにもあった光景。日本人が失いつつあるこの風景を
撮り続けた。故郷とは何か「疲れたら帰っていって、心を休めることの出来る
場所。美しい景色があって、懐かしい人たちがいて、そこでは全く緊張しなく
ていい。シャツ1枚でごろんと寝転がっていると涼しい風が吹いてくる、そん
な場所じゃないでしょうか」。もう1つ欠かせないのが「笑い」。「お金がす
べて」という人にはない品格が、寅さんにはある。山田監督自身「寅次郎とい
う、年中失敗ばかりしていて時代に取り残されたような男だけど、いつかその
寅さんに、私たちの方が逆に追い抜かされてしまっているのではないか」
寅さんの似合う場所がどんどん少なくなっていく。変えすぎて悪くなったこと
がたくさんある。今こそブレーキをかけることの大切さを思い知るべきだ。
「これ以上日本の国を変えるな」と大きな声でいうくらいの勇気がいるのでは。
                          日経新聞2006.06.01

★ミネラル
 人間は、住んでいる風土、人間関係の中で育っていくのではないでしょうか。
そして、心も育ってくるのでは。今は人工的な孵卵器の中で効率的に育ってい
るような感じがします。心を育てる環境づくりの仕事をこれからしてみたい。

                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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★マイカレンダー 10月30(月)?11月6日(月)
 3連休の1週間です。
 30日(月)コンサルティング。生活の生の「場」の中から、生活者の心情
 を発見し、生の声をもとにベネフィットを開発するアプローチ。情緒的価値
 を具体的商品の機能、感覚要素にどう展開させるかのアプローチをしていま
 す。
 夜、面接。商品開発、マーケティングのプロのあり方について話をしました。
 変で、おもしろい面接でした。    
 31日(火)「情報感知にもとづくコンセプト開発」の指導。各人目の付け
 どころがいろいろでおもしろい。小さな襞を感じ取る人、先行概念に興味を
 示す人、新聞から気づき引き抜く人。いろいろがおもしろいです。
 1日(水)11月です。もう11月ですが、まだ11月です。事務所で
 仕事、1日事務所にいると疲れます。本屋に行って、認知神経学、認知心理
 学の関連の本を買う。いつ読めるかわかりませんが、今の私の興味事項です。
 2日(木)朝、インフルエンザの予防注射。毎年まめにやっています。
 これからの日本オリエンテーションとしての、健康マーケティングの仕事、
 進行中のコンサルティングなどの打ち合わせ。
 休み前なので、企業の人と西麻布へ飲みに行く。西麻布は前の事務所のあっ
 たところなので懐かしく、おもしろい。

 土日早朝映画を一人で見るは、3連休を利用して2本。
 「父親たちの星条旗」クリント・イーストウッド監督。
 硫黄島での悲惨な戦争の中、擂鉢山に星条旗を掲げる6名の兵士を写した有
 名な戦争写真の裏側に秘められた物語です。生きて帰還した3人の兵士が英
 雄に祭り上げられ、戦時国債の宣伝に利用されて行く。悲惨な戦争を体験し
 た3人の兵士は英雄になることなど欲してはいなかった。英雄とは国家が利
 用しようとしたプロパガンダである。3人の兵士の後半の人生がそれを物語
 っている。戦争の悲惨さ、生々しさを感じさせました。
 精神的な良品の映画でした。お勧めです。

 「百年恋歌」台湾の世界的監督 ホウ・シャオシェンの、台湾を舞台にした、
 報われない、悲しく切ない恋いの映画です。
 恋というのはこんなに切ないものだとは。言葉少ない映像が印象的です。
 3部のオムニバスですが、各々の恋の湿度感の差がよかったです。
 映画好きな人にお勧めです。  


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第173号 (2006/11/7) (c) 1999 Japan Orientation
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