1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第194号

配信日:2007年09月04日

第194号
『歴史と正面から向かい合う』『アリの言葉を究める』『多芸、多彩な「若年滞留層」』『イー・旅ネット・ドット・コム』『融通無碍に攻め「走れ」』


やっと涼しくなってきて、ちょっとほっとしています。
真夏でも朝の5時はたいへん気持ちよく、本を読むには最適です。
澄んだ空気の中では気持ちよく読むことができます。余計なことですがおすすめです。

■『歴史と正面から向かい合う』
★気づき
昨年十月、92年の人生に幕を閉じた劇作家 木下順二氏。彼の絶筆には
こんな言葉がつづられている。「過去というものが、きれいさっぱりと精算できる
ものではない以上、精算への努力は怠りたくない。」
思想を深めず、時流に身を任せがちな日本人を厭い、そうでない道を模索する。
政治学者、丸山真男はその作意「取り返しの付かないものをどうしても取り返すと
いうモチーフが一貫してある」と評する。
「人間と人間を超えるものとの根元的な対立」を変わらぬテーマに、数多くの作品を
残した。
2007.1.19 日経新聞
★ミネラル
簡単に歴史を精算し、忘れてしまう日本人に対する警笛です。
重く受け止めたいですね。
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■『アリの言葉を究める』
★気づき
アリの言葉を究める ? 動物界と植物界を分けている言語があるに違いない
アリの行列は道しるべフェロモンと呼ばれる化学物質でつくられている。足裏から
足跡フェロモンを分泌し、道しるべフェロモンが土に吸着されるのを防ぎ、巣穴ま
での道を示す。
そして、その道には他の種類、あるいは同種でも他の巣穴のアリが紛れることはな
い。
アリは触角を用いて体表の炭化水素の組成・ブレンドを読みとり、すぐに仲間と敵
を見分けてしまう。
しかし一方で、アリは触覚で植物に頻繁に触れている。もし、単純に炭化水素組成
の違いだけで敵を判断するならば、アリは常に興奮状態になくてはならない。
そこで、植物と動物を区別する科学言語があるのではないかという仮説に行き着く。
京都工芸繊維大学教授 山岡亮平氏 2006.8.27 日経新聞
★ミネラル
動物の世界は面白い。特にフェロモンは面白い。
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■『多芸、多彩な「若年滞留層」』
★気づき
「フリーター」「ニート」という言葉の氾濫が、深刻な事態を引き起こしている。
「ワーキングプア」や「ニューアンダークラス」という欧米系概念による警鐘が、
若年層の主体的な活動を抑制し、一方で若年層の中での差別意識が「連帯」構築を
阻む。
社会的に不安定な境遇を強いられている若者達が声を上げる機会は無く、ますます
社会の格差は広がっていく。この状況の打破の為、社会学者である田中氏は若年層
の新しい捉え方を主張する。
・ 学校と職場の制度外に身を置く社会的滞留
・ 不安定雇用と失業期間の低所得・低収入による経済的滞留
・ 日常生活における文化的行為への集中的な投入による文化的滞留
・ 一時的な居住区で生活する空間滞留
これらを「若年滞留層」と呼び、不安定な境遇にある若者を単に労働市場から閉め
出すのではなく、日常的に蓄積される文化的技能や知能を労働へと転化させる道を
見いださなくてはならない。
社会学者 田中研之輔氏 2007.1.10 朝日新聞
★ミネラル
フリーター、ニートをポジティブにみることも大切ではないか。
もしかすると、新しい文化を生み出す人たちかもしれない。ポジティブに注目。
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■『イー・旅ネット・ドット・コム』
★気づき
個人向けのオーダーメイド旅行販売日本人スペシャリスト180人と連携。
ソーシャルネットワーキングを利用したネットコミュニティが体験想いでの「見せ
びらかし」メディアに。死に筋商品が高価格商品に変身。死に筋商品やニッチな商
品サービスから収益を得る従来の常識を覆す「ロングテール(長いしっぽ)市場」
を開発。
野村総合研究所 上席研究員 山崎秀夫 日経MJ2005.11.18
★ミネラル
消費者と企業による価値共創の方法です。マス商品、サービスでは満足できなく
なってきている人への商品・サービスづくりと販売の仕組みとしては、今後も有望
な方法では。
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■『融通無碍に攻め「走れ」』
★気づき 
サッカー日本代表オシム監督が描く選手の理想像は、「学ぶことをやめない選手」
だという。常に進化を続けるサッカーの世界において、周りを見つめ、自分を見極
める。
そして、客観的な視点のために監督の意見だけではない、複数の視点を持ち続ける。
そして、日本は文化的にこの発想に適合する。民主主義を原則としながら天皇制を
残すような、二律背反を無理なく同居させる日本人の懐の深さ「ポリバレント性」。
「日本を日本化したい」というオシム監督の采配はどのような結果に行き着くのか。
2007.1.26 朝日新聞
★ミネラル
これからは学ぶ体力、思考体力、読書体力、そして実行体力をどう身につけるか。
ストイックに自分を追い込める力なのでは。
                  日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 8月21日(火)?9月3日(月)
8月21日(火)新規コンサルティングスタート。新商品の導入プランからブランド
戦略づくり。
市場の現状分析からスタート。夜は企業と意見交換。ビールを飲みながら新しい潮流
を探す。
22日(水)企業役員と意見交換。人を育てるには修羅場が大事。今は修羅場不足。
夕方、企業訪問。生活価値観の変化を探る、で意見交換。その後、チャンコ鍋をごち
そうになる。
23日(木)某企業前プロマネの方が来者。マーケティングに新しい概念を持ち込み、
マーケティングの再生にチャレンジする話を聞く。面白い話は刺激になります。
午後、コンサルティング。市場軸を組み合わせてテーマの開発。
24日(金)企業社内教育。研究者に対するマーケティング・商品開発の3日間コー
スのスタート。
帰りに、行きつけの西麻布『鮨寛』で食事。
27日(月)28日(火)センチュリーハイアット新宿で合宿。構造生物学者、オー
トポィエーシス(自己制作)の話を聞き、楽しみ開発のディスカッション。たいへん
刺激的でした。
28日夜、企業の方が来者。消費材マーケティングの今後について意見交換。
29日(水)30日(木)『商品開発プログラムのたて方』セミナー。参加企業の事
例発表が有意義でした。29日夜はセミナー参加者懇親会。
30日はセミナー終了後、企業へ。行きつけ『小菊』でごちそうになる。
31日(金)65歳の誕生日。企業の人来社。新しいビジネスモデルについての話。
午後、コンサルティング。インターナルマーケティングの重要性。ターゲットの明確
化と商品提案。
夜は、セミナー参加者の集まり『マーケッター駆け込み寺』に参加。
9月3日(月)コンサルティング打ち合わせ。午後、コンサルティング。成熟商品の
戦略づくり。
夜、いただいた冷凍酒をあける。濃厚美味でした。

土・日朝一映画は、「長江哀歌」ジャン・ジャンクー監督。
中国の国家プロジェクトの山峡ダム建設と2組の夫婦の出会いと別れが、ドキュメ
ンタリータッチで描かれていて、リアルな映像になっています。
国家と人間のあり方も提示をしている、地味な映画ですが魅力たっぷり。
「酔いどれ詩人になるまえに」閉塞状況を打破する、無頼で、抑圧されたエネルギー
の強さをみたいと見に行ったのですが空振りでした。久方ぶりに面白くない映画でし
た。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第194号 (2007/9/4) (c) 1999 Japan Orientation
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