1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第195号

配信日:2007年09月18日

第195号
『時間を編集する』『裸の場』『「Jクール」生む神話の森』『民薬の発想』『「食の堕落」は民族の危機』


人を育むことのだいじさを強く感じています。
ある企業の役員と話をしていて、今の若手、中堅は、修羅場を経験していない、
経験する機会がなくなっているという話になりました。
今回の安倍総理辞任も修羅場経験のないリーダーの破綻です。
商品開発者のための、修羅場体験という新商品を開発しようと考えています。

■『時間を編集する』
★気づき
昨今、鑑賞者の興味をそらさないよう、よりスピーディーに「時間を編集する」
行為が頻繁に見られる。膨大な量の情報を前に、個々人が深く興味を持つことには
限界がある。そのため、興味外の分野では巧みに時間が編集された分かりやすいモ
ノに追従し、メディアもその流れに追随する。時間はますます頻繁に編集され、編
集のための道具立ても次々に現れる。
正確な時計のもと、時間を有効活用し、豊かな生活を目指す。それが近代の目標の
一つだった。しかし、労働効率が追求された結果、労働時間は逆に増加し、圧迫さ
れた余暇にまで効率化が持ち込まれている。無駄や雑音をあらかじめ排除された 
「編集された時間」を生きる我々鑑賞者は、心地よさの一方、せわしない消費の渦
に巻き込まれているのかもしれない。
朝日新聞 2007.1.10
★ミネラル
いろいろな本のダイジェスト版が出ています。効率的?に読むにはいいのですが
襞の部分は読み取れないし、編集者のフィルターを通るので、編集者の意図に左右
されてしまいます。相撲、野球もダイジェストでなくて、生でみる方が楽しみが深
いのではないでしょうか。
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■『裸の場』
★気づき
フィンランドはIT先進国でありながら、人との直接コミュニケーションを大切に
する。例えば携帯電話の雄、ノキアの企業コンセプトは「コネクティング・ピープ
ル」である。海に面した本社建物は船を模し、中央に大食堂がある。螺旋状の階段
を下りれば、誰が何処にいるのか一目瞭然、人と人とが自在に結びつく。会議室に
は訪問客の首都名を配して歓迎する。人の心に対するケアを感じる。本社屋上には
サウナもあり、経営会議で議論が紛糾すると、そこで決着することもあるという。
かつて、ハイテク都市タンペレのベンチャーがサウナ用会議システムを開発したが、
それに対してノキアは「神聖なサウナを侵す、その類のものは開発しない」と言明
した。IT社会が進展するほど、人間関係の基盤となるケア、愛、信頼、安心などの
社会関係資本を育む場を大切にしなくてはならないと言う決意表明だろう。
日経新聞 2007.1.19
★ミネラル
IT化が進めば進むほど、裸の付き合い、コミュニケーションが重要になります。
裸のコミュニケーションをしていますか。人と直接的なコミュニケーション、つき
合いをしていますか。
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■『「Jクール」生む神話の森』
★気づき
毎年秋に開かれる「東京ゲームショウ」は、今や世界最大の新作ゲーム発表の舞
台である。米国での同様のイベントが縮小傾向にある中、日本の豊かな遊びの発想
が「Jクール(いかすニッポン)」と評価され、世界のゲーム制作者の注目を集め
ている。
米国のゲーム開発者、マイク・マイカ氏が驚いたゲームが「おいでよ動物の森」。
最大の特徴はゲームオーバーが無いことで、プレイヤーは動物の森という「神話世
界」での暮らしを現実世界での生活と平行させ、際限なく続ける。
米国製ゲームは今なおスポーツ、レース、アクション、射撃が主流である。発想の
根底には「勝負」や「闘い」を重視する世界観が脈々と流れている。そもそも一神
教に根ざす欧米文化で、「ゲーム」とは「白黒をはっきりさせること」を意味する。
その一方で米国の若者も「対決」と無縁の日本製ゲームを歓迎し始めたという事実。
アニミズムが現代も息づく日本文化だからこそ持ち得る神神話思考、それが日本の
ゲーム業界のみならず、世界的に理解され始めている。「農業機械」とほぼ同額の
輸出額を持つまでになった「ゲームソフト」の次世代の産業力を引き出し、開花さ
せるのは、日本人自身に他ならない。
日経新聞 2007.1.7
★ミネラル
ハイテクなゲームの世界のコンテンツは神話が多く使われています。ハイテクと
神話は何か相性がいいのです。「ゲームニクスとはなにか』(幻冬社)の本に、日
本のゲームの強さ、が書かれています。使い勝手開発にとっても刺激的です。
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■『民薬の発想』
★気づき
タマネギ、じゃがいも、クコの実、根昆布などを薬として活用。
★ミネラル
伝統的健康概念、知識、商品を、もう一度考え直してみることが必要では。
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■『「食の堕落」は民族の危機』
★気づき 
「焼酎ブーム」とよく言われるが、焼酎は既にブームを通り越し、日本人の食生
活にすっかり定着した感がある。これは日本人の食生活の変化とも深い関係を持っ
ている。
従来の低脂質、低カロリーの和食から、高脂質、高カロリーの洋食に変化し、脂っ
ぽい食品を口にする機会が増えたことで、酒の趣向までも変わってしまったのであ
る。また、同様にミネラルも不足するようになり、キレやすくなったと言われるよ
うに、日本人の心にまで影響を及ぼしている。
また、世界的な異常気象、魚の需要の高まり、中国産大豆の価格高騰、バイオエタ
ノールに対する注目による穀物の価格高騰など、日本を取り巻く食糧事情も、決し
て楽観できない。
日本は食糧生産を魅力ある産業として復活させ、「生命維持産業従事者」を増やす
ため、普通高校の生徒を農業高校で実習させるなど、裾野を広げる思い切った発想
が必要である。
東京農業大学教授 小泉武夫氏 日経新聞 2007.1.15
★ミネラル
食の部分的変化が全体に大きな影響を与える。食の大きな潮流を考え、食を考え
るのは『生命維持産業』であり、『環境産業』であり、深く考えなければ。食へ
の興味を世界の変化、人類の変化に結びつける発想が必要では。

                  日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 9月4日(火)?9月18日(火)
9月4日(火)社内教育。下請け型研究所から企画提案型研究所への変化のための、
研究者に対するコンセプト開発教育。
5日(水)コンサルティング。コンセプトテスト結果をもとに、コンセプトのブラッ
シュアップ、製品コンセプト・アイディアの開発。
6日(木)企業訪問。意見交換。変化を引き抜くことの重要さ。製品アイディアを魅
力化するためのデザイン化について意見交換。たいへんおもしろかったです。
午後のコンサルティングは、台風の影響により、翌日参加者が関西へ帰るのが難しい
ということでキャンセル。ちょっと時間ができてうれしい。
7日(金)予定セミナーが台風のため延期。午後出社で社内仕事。
10日(月)企業の方が来社。テーマ商品の市場をこれからどう見るかの意見交換。
多様から、効用に基づく、いくつかのセグメントを明確にすることが必要では。
11日(火)商品開発大全『感覚感性セミナー』。簡単なワークショップを入れて、
感じる、本質を引き抜く、アイディアにする、表現するのレクチャー&演習。
12日(水)商品開発大全『商品開発革新セミナー』。参加者が少なくおもしろかっ
たです。前に社内教育で受講者が部長と課長の2人の時がありました(おもしろく、
深くできて楽しい経験でした)。
13日(木)社内教育。コンセプト開発演習。
夜、事務所で『商品コンセプト開発を深める』場。実用ではなくて、快が新しい商品
を生む原動力ではないかの話。
14日(金)企業訪問。成熟などない、成熟していると考える成熟した考えがある、
などの話でおもしろい意見交換でした。
午後、コンサルティング。需要創造のための商品コンセプトの明確化と、マーケティ
ング戦略づくり。
忙しく、刺激的な2週間でした。
土日一人で映画を見るは『サッド・ヴァケーション』。青山真治監督、浅野忠信(や
さしい男のかっこよさがよかったです)、石田えり(ゆるぎなく包む女がよい)、宮
崎あおい(清らかな女性像)、板谷由夏(優しく強い女性)。北九州の土着性の中で
の女性のあり方、優しさ、強さに共感。おすすめです。
『シッコ』マイケル・ムーア監督。アメリカの病気を追求し続けているマイケル・ムー
アのアメリカ医療の現実深層追求ドキュメントです。恐ろしいことが起きています。
感じに行ってみてください。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第195号 (2007/9/18) (c) 1999 Japan Orientation
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