1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第197号

配信日:2007年10月16日

第197号
『タイムリー・タイム(あすへの課題より)』『新人技術者 営業現場に?日立が新研修制度』『3つのT 地域の寛容性が最も重要?都市 再生と創造性』『調査』『必要とされぬ「不遇感」強く?ナショナリズムに走る若者』

10月10日、ハマる・病みつきに興味のある企業の方々8人と、嗜癖行動研究者の
H先生を訪問。ラットの実験などいろいろな意見交換。夜の9時過ぎまでお酒を交え
てミーティングをしました。たいへん充実した『適時時間』を過ごしました。触覚研
究所を創りたいとの話は実現に向けて考えたいと思っています。
日本オリエンテーションの『評価研究所』で、ハマり度合い、病み付き度合いの評価
方法についても研究したいと考えています。
参加者の声、関係資料は http://www.jorien.com/yamitsuki.html


■『タイムリー・タイム(あすへの課題より)』
★気づき
時間は二面性を持つ。常に同じ速度で流れる「時計時間」(クロック・タイム)は、
量的・客観的である。人間が生理的・心理的に感じ取る「適時時間」(タイムリー・
タイム)は、質的・主観的性質が強い。前者は規則的だが後者は不規則で可逆的でさ
えある。ジャズや演劇で見られる即興は、適時時間の典型である。
資本主義の伝統的な生産方式は、ひたすら時計時間を軸に発展してきた。一方で判
断を伴う戦略は、ここぞと思うタイミングを感知する適時時間の世界である。トヨタ
の生産方式では、ラインの稼働は時計時間で管理されている。だが、ひとたび問題が
起これば、瞬間的な人の判断でラインを停止しその場で問題解決を図るプロセスが組
み込まれている。
また、キャノンでは、経営陣が特定の議題を設けない「朝会」を毎日行っている。出
席者は自然体でこの会に臨み、即興的に議論し創発され、課題を共有化することで素
早い経営判断・行動が可能になる。時計時間の無駄に見えることも、適時時間で経営
効率を支えている。場の経営で知られる前川製作所は、顧客と適時時間を共有しつつ
顧客さえ分からないニーズを適時発見し、自由度の高い組織を編成し、その実現は時
計時間で走りまくる。
創造のエネルギーは、時計時間の発想だけでは生まれない。
一橋大学 野中郁次郎名誉教授   日経新聞 2007.4.20
★ミネラル
適時時間の概念がおもしろいですね。私も客観的時間と主観的時間があると思って
います。客観的時間は時計時間です。主観的時間とは集中して本を読んだり、みんな
と楽しく話をしながらお酒を飲んでいる時間です。主観的時間が私は大好きです。
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■『新人技術者 営業現場に?日立が新研修制度』
★気づき
顧客の声、研究に生かす
日立製作所は今秋、技術系社員を営業部門に派遣する新研修制度を始める。大卒・
院卒社員が対象。取引先回りや商談を1?2ヶ月間体験させ、製品化までの仕組みや顧
客ニーズを吸収させる。大手メーカーが全社的に実施するのは珍しい。
研究室で生まれた技術が製品として顧客にわたるまでの過程を実体験を通じて学び、
研究開発に役立ててもらう。
日経新聞 2007.8.11
★ミネラル
日本オリエンテーションの『研究所マーケティング』教育プログラムは、魅力商品
を開発するための研究者のマーケティングマインドを育むプログラムです。
詳細は http://www.jorien.com/kenkyu_marketing.html
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■『3つのT 地域の寛容性が最も重要?都市 再生と創造性』
★気づき
米都市研究者のフロリダは、21世紀都市の新しい担い手として知的職業で想像力を
使う人々に注目し、彼らが住もうと考える地域社会の特徴を分析した。
彼が開発した「創造性指数」は3つのT、人材(Talent)、技術(Technology)、寛容
性(tolerance)から構成されている。
フロリダが最も注目するのは寛容性である。中でも彼は同性愛者住民の地域別割合を
測定。「ゲイ指数」と呼ばれ大きな反響を呼んだ。指数が高いほどゲイの人々が住ん
でいても排除せず受け入れる「寛容性」の高い地域であることを示す。
ゲイの人々は創造性に富む人が多いことが知られている。時代に先駆けている芸術
家のような人々をゲイと同じように扱い、こうした人材を排除しない地域こそ創造的
だと考えた。
フロリダの指数は欧州の既成社会に対する挑戦的態度を示す物差しとしてとらえら
れるため、インパクトがあった。彼の理論は「ゲイの集まる都市が発展する」という
俗説とともに世界を駆け巡ることとなった。
日経新聞 2007.7.25
★ミネラル
寛容性が創造性と密接な関係を持っている。自由で寛容性のあるビジネス空間を開
発したいと考えています。
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■『調査』
★気づき
*消費者が答えを明らかにする調査方法が重要。「自分が実際に何を、なぜ使ってい
るのか」を聞く。「なぜタイドを使用していないか」という質問はしない。「髪をき
れいに」という答えに対して「きれい」とは何を意味するのかの徹底的追求をする。
*調査部門の役割は客観的データの提供。その分析はブランド部門の仕事。
*定性調査の目的は「以後の探索作業に対する仮説の開発」「量的調査を設計する参
考」「商品コンセプトへの消費者反応を見る」消費者に調査インタビューを会話のよ
うに感じさせることがだいじ。
*調査計画には目標、課題の検討、調査結果の活用予定が必要。1ページで要約と提
案を。
*「私の考えでは」は不適切「データによれば」というのが適切。
「P&Gのブランド戦略」チャールズ・L・デッカー(ダイヤモンド社)
★ミネラル
調査の重要性と調査重視の企業のあり方です。これからはWHYの発見が重要になります。
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■『必要とされぬ「不遇感」強く?ナショナリズムに走る若者』
★気づき 
今、オタク的な若者たちの間で「コードギアス 反逆のルルーシュ」というアニメ
が爆発的な人気を博している。このアニメの主題は私が見てもナショナリズムだ。
日本は神聖ブリタニカ帝国という超大国に植民地化されている。この超大国の支配に、
「黒の騎士団」を率いるルルーシュという若者が反逆を試み、独立を企てるという話。
大澤さんは今の若者のナショナリズムの特徴を、「アイロニカルな没入」と呼ぶ。
日本らしさの根がない彼らがあえてナショナリズムに走るのは、彼らの不遇感と切り
離せない。
ある意識調査によれば、若者の間にはある種の「不遇感」が広く共有されている。
原因は収入だけでなく、それよりも社会の中で必要とされている、承認されていると
いう実感が持てないことが大きい。
不遇感を一掃してくれるのは、かつてのオウムのような破壊への衝動であり、また社
会の普遍的な価値をあからさまに拒否する小共同体への愛着だ。人権や平和というも
っともらしい言葉より、直接的な関係性に訴える行動にリアリティーを感じる。とす
れば、ナショナリズムを超えるためにも、他者との直接的な関係を通じて、若者たち
に生に実感を持たせるアイデアが必要だ。
京都大学 大澤真幸教授 日経新聞 2007.8.8
★ミネラル
ナチス台頭の不気味感を感じます。歴史を繰り返してはいけない。大人が若い人と
の関係を再構築することが必要です。『今日はごちそうになり、本当にありがとうご
ざいました。松本さんからたくさん吸収させていただきます!松本さんにおっといわ
れる人間になります』日本オリエンテーションのインターンSさんからのメールです。
大人はごちそうして、若い人とどんどん希望を語り合うようにしないといけないので
は。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 10月2日(火)?10月15日(月)2日(火)コンサルティング。コンセプトテスト、使用テスト、ネーミングテスト、パッケージテストの設計。3日(水)コンサルティング。新しい魅力条件の開発。4日(木)企業訪問、意見交換。ターゲットを絞り込んだ商品開発の話。夜、『時代、市場、生活価値観の変化』のだべる会、10人を超える盛況でおもしろい意見が出ました。過剰化がテーマで、新しい切り口開発の話になりました。次回『時代、市場、生活価値観の変化』のだべる会は、11月8日(木)です。興味ある方はご連絡ください。5日(金)企業訪問。健康マーケティングに関する意見交換。午後企業訪問。情報サービス開発について。いろいろ刺激を受けます。7日(日)8日(月)せっかくの連休なのに風邪でダウン。なぜ休日に風邪を引くのか?9日(火)コンサルティング社内打ち合わせ。10日(水)本厚木のNTT研究センターへ。ハマる・病み付きに興味のある企業の方々8人と、嗜癖行動研究者のH先生を訪問。ラットの実験などいろいろな意見交換。夜の9時過ぎまでお酒を交えておもしろミーティングでした。11日(木)コンサルティング。戦略的市場攻略プランづくり。12日(金)コンサルティング。市場導入プランの枠組みづくり。13・14・15日で東北の旅へ。弘前で津軽三味線を聞き、五能線で白神山地を散策し、酒田で街歩き。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第197号 (2007/10/16) (c) 1999 Japan Orientation
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