1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第180号

配信日:2007年02月06日

第180号
『シャープ独自開発スタイル模索』『貧主主義』『論より直感、右脳で勝負』『突然変異』『「意識とはなにか」茂木健一郎(ちくま新書)』


この1月に新年の意見交換を、いろいろの企業の方々としました。
新しい成長・成熟戦略(いままでの成長戦略とは違うスピードとゆとりの融合み
たいな)を考えなければ、商品開発の生産性を高める(段取り仕事、ルーチンの
仕事が多く、企画者としてのクリエーションの仕事が極端に少なくなっている)、
事業、商品に「想い」を作る(世界、社会でどんな企業であるのか、そのために
どのような事業、商品を開発するのか)、仮説提案型の人材づくり(時代・市場
・生活価値観の変化を引き抜き、仮説会アイディアの構築能力)の課題に集約で
きるのでは。
いろいろな方々とお会いしてストレートに話ができるのが、私のエネルギー源で
す。感謝。

■『シャープ独自開発スタイル模索』
★解  説
 シャープ独自開発スタイル模索 ? 事業部門を越え連携
新材料技術研究所、先端映像技術研究所、東大シャープラボと一見「基礎研究
シフト」を行うシャープ。しかし、新商品への道筋が不明瞭な「普通の」基礎
研究は行わず、製品化が近いもの、やるべき研究課題が見えているもののみを
行う独自の姿勢を保っている。
この原則に基づき創設されたのが現場から研究テーマを募り、提案者と研究所
トップとの議論から実行を決定する提案制度「シャープ・ドリーム・テクノロ
ジー(SDT)プロジェクト」。
また、独自開発の新デバイスを元に独創的な製品を作り、さらにより先を行く
製品向けに必要なデバイスを開発する「スパイラル戦略」に基づき、事業部横
断で製品開発を進める「緊急開発プロジェクト」も稼働中。これは経営トップ
の他、各事業本部責任者ら数十名が出席する「総合技術会議」で採否を決める。
新技術を未来の製品イメージにすり合わせていくような独自の開発スタイルに
磨きをかけ、「環境、エネルギー、健康などをキーワードに新しい事業のコブ
を」作る。
                       日経産業新聞 2006.09.14

★ミネラル
 他社の負けない固有技術を開発するには、戦略と、開発のロードマップが必
要です。高い目標設定と、そのためのロードマップが描けていますか。
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■『貧主主義』
★解  説
 貧主主義 落語に学べ 貧あればこそ、人の心の温かさが胸にしみる。
そんな落語の世界がブームだ。「うーん、ビールは小便になって出ちまうけど、
酒はうんこになる」古今亭志ん生さん。
老人芸は人の心の温かさが伝わる。 
                   小沢昭一氏 日経新聞 2006.07.26

★ミネラル
 ギスギスしている世の中だから、落語の心が響くんですかね。演芸場へ落語
を聞きに行く余裕が欲しいですね。そして帰りに一寸いっぱいやりながら話を
するのもいいですね。
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■『論より直感、右脳で勝負』
★解  説
 論より直感、右脳で勝負 ? 斬新なアイデア生む発想法
セガ社長小口久雄氏曰く、斬新な発想を生むのは「理屈ではなく直感」。
ゲーム企画時には企画書から受けるプレイ時の印象を元に決定を下す。そのた
めに重要なことは、まず勝負への執着。逆境でこそ「ここが勝負だ」と思うこと。
次に物事の道理を見抜くこと。これはリラックスした状態がなければ不可能。
                       日経産業新聞 2006.08.04

★ミネラル
 「理屈」じゃないんだ、直感=気づく力、直観=本質を見抜く力。シンプル
に考え、ここという時に、直感、直観を働かせる。理屈になっていることへの
反省です。リラックスを一寸残した緊張感が必要では。
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■『突然変異』
★解  説
 ITが主役の21世紀は産業や企業の「突然変異」が日常化予測もしなかっ
たライバルとの競争を迫られる。
米国アップルコンピュータの音楽配信が音楽業界と競合、IBMが経営管理会
社へコンサルティング企業と競合、JALネット受注システムが楽天と競合。
                          日経新聞 2004.10.7

★ミネラル
 カテゴリー内競合、カテゴリー外競合に対して、異業種からの見えない競争
が潜在的にある。見える競争と、見えない競争。見えない競争がこれからの競
争になるのでは。
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■『「意識とはなにか」茂木健一郎(ちくま新書)』
★解  説 
「あるもの」が「あるもの」として、いかに成立しているのかという「問い」。
「甘さ」をなぜ「甘さ」として捉えられるのか。主観的体験についての謎 
(「ギラギラ」したものが「ギラギラ」している)。
意識的体験を創り出しているいろいろな「クオリア」。
意識とは「クオリア」の固まり。
<あるもの>が、<あるもの>として感じられるとき、それはいくつかの「ク
オリア」の集合体として成り立っている。
コップという「クオリア」もそれを構成する「クオリア」(色、透明感)によ
って構成されている。「クオリア」は主観的構造と離せない。
「ただいま」という「クオリア」(「温かい感じ」「安心した感じ」など)。
「あるもの」が「あるもの」であることと(同一性)の起源と、「私」が「私」
であること(自我)がつながっている。
「同じ」ことと「違う」こと
属性で同じか違うかを判断するのではなく、そのプロセス、文脈も重要な役割
をする。「クオリア」はさまざまな関係性、文脈が反映された認識の結果をユ
ニークな質感として把握する。
やさしい問題とむずかしい問題
日常生活の中では「やさしい」問題として扱われている言葉の意味を、むずか
しい問題として問い直すことが出来るということは、意識の持っている不思議
な働きの一つ。「むずかしい問題」を考えることが出来る能力は、いかに「や
さしい問題」?あたかも言葉の意味を理解しているかのように会話する能力に
貢献しているのでは。「やさしい問題」と「むずかしい問題」が交錯し、その
ような交錯として生きる現場があることの意味を考えることが、認知プロセス
の本質を考える上で重要なポイントでは。チューリングのテストに合格するコ
ンピュータが出来ても「むずかしい問題」を考えることが出来るか?
「ふり」をする能力
「ふり」と「心の理論」「心の理論」とは、他者の心の状態について、自分の
脳の中で仮説(理論)を持つ能力。
ミラーニューロンの発見。「自分の行動」の運動情報と「他人行動」の感覚情
報を結びつけるという高度な統合実現。「このような行動を相手がしていると
いうことは、私だったら同じ行動をしているときにはこのような気持ちになる
だろうから、相手も同じ気持ちになっているに違いない」というように他者の
心を推定する能力=心の理論。
              「意識とはなにか」茂木健一郎(ちくま新書)

★ミネラル
 意識は「クオリア」の塊です。商品コンセプトは「クオリア」の塊です。
私の読書ノートからです。いま読むとどんな内容なのかわからないですが、私
の身体を通ってきているので、たぶん私の身になっているのでしょう。
おもしろい本でした。読んでみて下さい。そして身体で感じてください。 
              
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー 1月16日(火)?2月3日(土)
16日(月)コンサルティング。月曜日のコンサルティングは頭の動きが悪く、
ウオーミングアップを前日からしていないときついです。開発のテーマ出し。
18日(木)情報感知能力を高めるコンサルティング。
気づきを参加者と話し合う。

19日(金)コンサルテイングをしている企業と店頭観察。2時から6時まで
みっちり意見交換をしながら、有力店、先行店、異質店、新業態など観察。
複数で店頭観察をするとお互いの意見がシンクロしておもしろい見方へ発展し
ていきます。
23日(火)コンサルティング。テーマ開発。新視点でテーマ開発することを
重視しながら、まとめる。

25日(木)26日(金)第91回「商品開発プログラムのたて方<30+6>時間」
セミナーがスタート。
37人の方々が参加。飲料メーカーの社長、商品開発室長、室長補佐3人の方々
がHPを見てくれて参加。お役に立つ話をしなければと、ちょっとよい緊張。

29日(月)30日(火)大阪へ、6社の企業の方々と意見交換。
いままでのマーケティングのあり方をどう越えていくかの話が主でした。

31日(水)4月から、新規プロジェクトが始まる企業で2時間講演。
「気づきを気づく」なかなかおもしろいタイトルでした。
4時から、客員研究員の人たちと意見交換。近未来テーマについてディスカッ
ション。その後会食。私のお気に入りの、南北線東大前駅「ボリージャ(上海
野菜中心のヘルシー中国料理)(03-5834-1255))でおいしく、おもしろい話
を堪能。
マーケティング革新、商品開発の生産性、教育などの話で盛り上がり。

2月1日(木)2社と新規プロジェクトの打ち合わせ。
商品コンセプト開発とコンセプト開発のシステム開発について。
2日(金)コンサルティング。ものづくりで最後の調整。
機能味覚とおいしさの嗜好味覚のバランスをどう決めるか、なかなか難しい課
題です。

その他、2007年新体制づくりのための、人の採用面接を3人と。
おもしろい人と「想いを重ねて」、おもしろい「求心」(みなさんが集まって
これる)の「場」づくりをしたいと考えています。

いろいろな仕事もありましたが、いろいろな方々との話し合いが刺激でした。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第180号 (2007/2/6) (c) 1999 Japan Orientation
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