配信日:2008年04月01日
第209号
4月1日(火) 新年度スタート。
桜の花を見ながら、この桜を来年も、再来年も、5年後も元気で、心の中から楽し
めるようにしたい。
「マツモト・ミネラル」209号
■『想像力はぐくむ闇』
★気づき
善光寺、国宝本堂。ここに古くから知られる「戒壇めぐり」というものがある。
本尊の真下にあたる回廊を歩き、「極楽の錠前」を探り当てて本尊と血縁する試み。
驚くのは回廊の暗さ。正真正銘の真っ暗闇。
「暗さは人にものを考えさせる」「光の行き渡り過ぎた現代の夜は、人に動き回る
ことばかり強いて、じっくり考える能力を喪失させてしまった」(東京工業大学
乾 正雄名誉教授)
重い結論です。闇は創造力の源泉です。感覚を研ぎ澄ます道場です。
あの戒壇めぐりの闇の中で、目は必死に見ようとし、耳は聞こうとし、気配を、
方向をとらえようとして、全感覚がひらいていました。
人間の落ち着き、思慮深さ、謙虚さというものも、明るさよりは暗さから生まれて
くるものに相違ないのです。
読売新聞 2007.1.27
★コメント
4月6日(日)に善光寺をお参りして、体感してこようと思っています。五感を
閉じた時に、私の中にどのような感覚が生じてくるのか楽しみです。
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■『専門にこだわらずに』
★気づき
学問や職業が細分化され、境界が築かれることで失われるものがある。
「学問はもともとはひとつで、生活や仕事、趣味、娯楽と混然一体となっていた
のです。境界を設けたとたん、人間の発想は途中で止まるようになります」
中部大学顧問 加藤秀俊氏 日経新聞 2006.10.12
★コメント
細分化の限界を感じます。新しい統合化が必要です。新商品で、洗浄、漂白、
除菌、防臭、柔軟が一つになった、花王の「オールイン」という洗剤が気になって
います。
マーケティングは人間学です。細かに分析しても人間理解は得られません。
丸々の人間を見る視点を。
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■『現代の家族に広がる「個」の尊重』
★気づき
「個」がすべてに優先するという価値観が日本社会に広まり、その考え方が家族
にまで浸透してきた点がかつてとは違ってきているように感じる。
「個」の尊重は「個」の責任を求めることにつながり、圧迫がつきまとう。
とりわけ子どもたちにとって、誰かに頼れずに自分で何とかしなくてはならない
という状況はきつい。避難所であるはずの家族において、尊重されているのか、
見放されているのか、分からないような状況に追い込まれるから、家族内で(暴力
といった形で)爆発してしまうのではないか。
子どもにとっては親がすべて。結局は親が子供にまねされても良いような生き方
をするしかないのだろう。一緒に暮らしているだけで十分に教育であって、「ここ
に帰ってくれば大丈夫」という安心感を与えるだけでいいのだ。
脚本家 山田太一氏 日経新聞 2008.2.13
★コメント
若い人の無差別殺人事件が続いています。荒川沖の事件は妹、卒業した中学校が
目標にされ、岡山の事件も無差別殺人事件です。
家族を殺すは家族を捨てる、無差別殺人は社会を捨てることでは。
少年たちはいま社会から逃げ出そうともがいているのでは。
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■『東アジア・日本・説明責任』
★気づき
「日本の友人達よ、もう少し広い視野で物事を見よう。韓国の友人達よ、もう
少し冷静に考えよう。中国の友人達よ、もう少し自由に考えよう。ASEANの友人達
よ、もう少し自信を持て。オーストラリアの友人達よ、もう少しアジア人らしく
振る舞おう。インドの友人達よ、もう少し言葉少なに。そしてアメリカの友人達
よ、もう少し慎ましやかに。」
各国の国民性をあげつらったわけではない。文化的背景の異なる人々が一つのコ
ミュニティーを作り協力していく難しさを比喩的に述べている。
★コメント
差異を認める、差異を自覚する、そこから真のコミュニケーションが生まれる
のでは。
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■『「イエコノミー」と金融政策』
★気づき
「企業主導の経済成長が家計に波及せず、国民経済最大の需要セクターである
個人消費が一向に盛り上がってこない。
理由は様々だが、超低金利政策そのものが消費を抑えているのは確かだ。イトー
ヨーカ堂の亀井淳社長は「家計部門でローンなどの利子の支払いが受け取りを超
過したのが1996年、97年からは家庭の消費支出額が下がり続けている」と語って
いる。
見過ごせないのは日本社会の構造変化、とりわけ企業の変質である。戦後長らく
従業員の共同体(ゲマインシャフト)だった企業は、急速に脱共同体(ゲゼルシャ
フト)化しつつある。
持ち合い解消による株主構成が外見的な変化なら、分配構造は企業の実質的な
変化を示す。2000年代の企業の付加価値分配は、人件費・労務費と金利負担の低
下、企業利潤と配当負担の上昇が顕著だ。
労働分配率の低下(資本分配率の上昇)は、雇用と賃金が硬直的な共同体型経
営に特徴的な景気拡大期の現象だが、グローバル化する競争環境の下では構造的
な変化の可能性が高い。企業の利益が賃金を通じて家庭に波及しにくい構造が定
着しつつあるといえる。
日産新聞 2007.1.23
★コメント
明日がなくなってきている。明日に希望が持てない社会になりつつある、すで
になってしまったかもしれない。これからどんな荒廃が生じるのか恐ろしさを感
じます。
表面はきれいでも中身が腐敗しているより、表面はちょっと汚れていても中身が
充実している社会にしなければ。
日本オリエンテーション主宰 松本勝英
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MATSUMOTO・MINERALのバックナンバーは以下のアドレスでご覧になれます。
http://www.jorien.com/matsu.html
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◆マイカレンダー 2008年3月18日(火)?3月31日(月)
3月18日(火)19日(水)「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー。
商品の魅力を伝え、高めるためのネーミング・パッケージ、商品コンセプトにもと
づく市場導入の三角形、データ分析など。18日夜は参加者有志による懇親会。
人脈をつくっていました。19日夜は、以前にコンサルティングをしていた企業の
人が転職されたということで挨拶の来社。キャリアを高めるチャレンジに共感。
21日(金)コンサルティング。コンセプト開発。午後、東大の「チャンス発見」
研究室を訪問。定性データの可視化、定量化の話し合い。夜は、企業の新規事業
開発のグループと、トリスを飲んで話し合い。
24日(月)研究所マーケティングの話し合い。午後、コンサルティング。定番・
伝統・ナンバーワン商品の活性化。成熟市場という市場はない、そう思う精神の
成熟があるだけ、の考え方でトライ。
25日(火)コンサルティング。コンセプト開発のまとめ。
26日(水)「商品コンセプト開発塾」社内教育スタート。
27日(木)健康マーケティングの打ち合わせ。夜は「マーケティングだべる会」。
基幹商品の衰退をどう見るか、成長神話、素数商品、太陽と重力はただ、など
いろいろ。北海道、名古屋からも参加ありがとうございました。
28日(金)昼間は考えごと。夜は、日本オリエンテーションでアルバイトをして
くれていた人が株式上場の会社の社長になって、一緒に快食。
31日(月)エンターテイメント企業の新規開発グループの方々とディスカッション。
着眼点、発想視点など面白いディスカッションでした。夜は、セミナー参加企業
の役員を交えた方々とディスカッション&快食。魚久の粕漬けがおいしかったです。
自分の家で焼くのとプロが焼くのとはおいしさが違うのだ。感謝。
1日(火)朝、桜の花の下で朝食。毎年の楽しみです。雨上がりで桜も、空気も、
雲もきれいでした。感謝。
土日早朝一人で見る映画
「トゥヤーの結婚」
「紅いコーリャン」のチェン・カイコー監督(大好きです)。内モンゴルで暮らす
夫婦の、深くて悲しい夫婦愛の物語。純粋と打算、考えてしまうテーマです。
純粋に憧れますが、純粋だけでは生きてはいけない。打算も人間的では。
お勧めです。
「アメリカを売った男」
軽い映画を見に。FBI捜査官の2重スパイ事件の物語。他人不信で、祈りに救い
を求めるスパイ(クリス・クーパーが闇の人を演じて怪演)と、スパイを追い詰め
るFBI。実話だからこうなるのかも。ちょっと退屈。
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【伝言】
◆「第96回商品開発プログラムのたて方<36時間コース>」
第96回は2008年4月23日スタートです。
4月から商品開発部門に異動された方、商品開発を新たに、深く学びたい方には
最適です。
31日現在、食品、菓子、嗜好品、化粧品、スポーツ用品、アミューズメント、文具、
タイヤ、自動車メーカーの方々30人が申し込まれています。
新しい需要を創造する新商品開発をテーマに、商品開発のマーケティング発想、
マインドとスキルを学ぶセミナーです。
企業の事例発表も好評です。
http://www.jorien.com/seminar-pr96_97.html
◆「マーケティングだべる会」
マーケティング・商品開発の仕事をしている方の、気さくな話し合いの「場」
です。初めての方歓迎です。話さなくても聞いているだけでも面白いですよ。
たいがいの人は話に乗ってしまいますが。
テーマは、「時代・市場・生活価値観の変化の気づき」です。
4月10日(木)19時スタート(原則として第2、第4木曜日)
場所;日本オリエンテーション事務所(地図をお送りします)
会費;1000円(サンドイッチ、ビール付)
申込先 webmaster@jorien.com
◆コンサルティング・教育プログラム
「研究所マーケティング」プログラム
下請け型研究所から企画提案型研究所へ。マーケティング・マインドのある研究者、
研究所への提案プログラムです。
詳細は http://www.jorien.com/kenkyu_marketing.html
「評価システムの革新」プログラム
ヒット確率を高める評価システム。事前評価・事後評価のサイクルによるヒット
商品作りの提案プログラムです。
詳細は http://www.jorien.com/hyouken.pdf
◆お願い
所属部署、企業名の変更についてご連絡をお願いします。
企業名:
所属:
氏名
その他、ご連絡がありましたらお願いします。
mailto:webmaster@jorien.com
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■□■…「MATSUMOTO・MINERAL」とは………………………………………‥‥・・
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数年前から新聞、雑誌、本、いろいろな人との話し合い、そして自分で考えた
ことにより、いろいろ考える時の私のマーケティング・ミネラルとなっている
メモです。
出所など明記をしなければいけないのですが、ないものも入っています。
ご了解ください。
原則として毎月2回みなさんのメールに投げ込んでいきます。
触ってみてください。
★ご協力のお願い
MATSUMOTO・MINERALは現在5000人以上の方にお読みいただいています。
ぜひいろいろな方にお読みいただきたいと思っています。
みなさんの周りの方にご紹介ください。新規購読申し込みはこちら
http://www.jorien.com/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=mineral
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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第209号 (2008/4/1) (c) 1999Japan Orientation
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