1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第214号

配信日:2008年06月17日

第214号
『「時代の深層底流を読む」』『51%の米女性、夫と暮らさず』『隠居の思想と現実』『考えない「定食メニュー」ではヒットは出せない』『減速社会で変化味わう』

6月13日(金)14日(土)「第8回 商品開発・会津車座塾」は、食品、アパレル、
エンターテイメント、自動車、日用雑貨用品の企業の方々総勢10人で、会津若松
「向瀧」にて、各企業の抱えている課題解決と時代の変化を読む、をテーマに
ディスカッション。

・「時代の変化」は商品の「こころ」をとらえるためのもっとも基本的な方法で
ある。(ディヒター)
・社会的な価値観の変化はマーケティングの革新への最大の契機である。
(T.レビット)

・市況の伸びが鈍化しているときは、大きい企業が小さい企業を喰うのではなく、
早いところが遅いところを喰っていく。(日本ロレアル社長ザムザイル氏)
・組織外の変化が、組織内の変化より大きくなったら、もう我々は終わりだとい
うことだ。(ジャック・ウェルチ元GE会長)
の言葉を手掛かりに具体的に変化への対応と参加各社の課題に迫っていきました。

「場」の力で参加者のドーパミンが放出され、脳の中に入っていた自分さえも意
識していなかった考え方、知識、知恵が放出され、スパークしてきました。
次回は10月24日(金)25日(土)を予定しています。

「マツモト・ミネラル」213号
■『「時代の深層底流を読む」寺島実郎(東洋経済)』
★気づき
 グローバルガバナンス、米国からの自立、マネーゲームに傾斜せず、ものづく
りを基軸にその付加価値を高め、内外需のバランスとりながら、世界のいかなる
地域ともしなやかにつき合って行くこと。
国益(1)経済安全保障の確保。エネルギーと食料の安価、安定的確保。
国益(2)安定的な輸出環境の確保と次なる主力輸出品目の育成。
国益(3)内外需バランス型の成長パターンの確率。市場の効率化と社会的構成の
バランスをとる。
新しいキーワードは「セキュリティー」と「愛」。
トータルな安全を志向したセンサーの開発。
芸術・文化・スポーツなどの創造価値と研修・学習・教育などの内的充実。欠落
する全体知。
公的な目的のための仕事に就く人の層を厚くすることが、社会政策コストを下げ、
社会システムの安定性を高める。
高齢者を「社会的負担」と考えず「社会的資産」として考える。カセギ(経済的
自立)とツトメ(共同体維持のための公的貢献)ができる人間だけが一人前の大人。
戦略的企画にとっては「生身の体験」が不可欠な要素である。「無機的で体温の
ぬくもりのないステム」に意思決定がゆだねられいるという潜在不安が重くのし
かかっている。
「私生活主義」との決別を。この価値を守り抜く「個人主義」とは異なる。官と
民の間に公(パブリック)があるという概念。
哲学者、市井三郎は「歴史の進歩律は何か」において「歴史の進歩のメルクマール
は、自ら責任を負い得ない事柄に起因する不条理な受苦を強いられる人びとの、
その受苦を軽減することにある」と語っている。

★コメント
 グローバルガバナンス、国益、社会生活のキーワードは「セキュリティー」と
「愛」に共感。「愛」と「資本主義」の融合がいいですね。
・・・‥‥...............‥・・‥.....................‥‥・・

■『51%の米女性、夫と暮らさず』
★気づき
 米国では夫と暮らさない女性が、夫と暮らす女性を初めて上回った。05年の調
査では51%の女性が夫とは暮らしていないと答えた。
 民間研究所のクーンツ教授は「米国人は成人後の人生の半分を結婚の枠外で過
ごしている。これは戦時下か、奴隷時代のアフリカ系を除けば先例がない」と指
摘する。
「女性が男性より長生きするようになり、結婚から非婚に移る分岐点に到達した。
人々が結婚の枠内で人生の大半を過ごすとして社会政策を立て、意思決定するの
は幻想だ」
朝日新聞 2007.1.25

★コメント
 夫と妻のベクトルを共有化する時代から、夫と妻の相反するベクトルをともに
満たすことを考えなければいけない時代では。
・・・‥‥...............‥・・‥.....................‥‥・・

■『隠居の思想と現実』
★気づき
 昔の侍は15歳で元服し、20歳で結婚をして家督を引継ぎ、40歳で隠居するのを
理想のライフサイクルと考えていたらしい。こうしたライフサイクルは人間が短
命であったからというより、むしろ社会の要請もしくは道徳だったのであろう。

家督を譲れば倅の仕事にも家政にも口出しをせぬのが彼らの美徳であり、その代
わり孫を教育し若者を啓蒙し、あるいはみずから学問を積み趣味道楽を究めた。
つまり舞台を務める役者は若い方がいいに決まっているから、彼らは芝居を蔭で
支える黒衣に転じたのである。こうしたスタッフの層が厚い分だけ、舞台は絢爛
さを増し、役者は好演し、観客は堪能して喝采を惜しまなかった。
小説家 浅田次郎氏  読売新聞 2007.1.11
 
★コメント
 大人が若い人をサポートするスタイルの方が魅力的かもしれない。あまり出しゃ
ばらないようにすると若い人が生き生きするのかも。江戸から明治への革命は20
代の若い人々によってなった。歴史に学ぶことが大事。
・・・‥‥...............‥・・‥.....................‥‥・・

■『考えない「定食メニュー」ではヒットは出せない』
★気づき
 「ここ一年間結果が出たのも『選択と集中』がうまくいったからです。素材選
びを間違っちゃいけないけど、そこさえ確かなら、ひとも資源も集中させていけ
ば・・・。そして定食メニュー(売り方の定石・パターン)にならないアイデアを
出していけば、スッと芽は出るんですよ。」 
 「平井堅君の場合は、次の曲が売れなきゃその次はないという時で、最後のチャ
ンスだったので宣伝予算が少なかった。そこで地方の深夜のCM枠を使うことにし
た。ヘッドホンをした江角マキコさんが、平井君の『楽園』を口ずさむ。知名度
のなかった平井君が出るより、お茶の間で知名度の高い女優さんが歌ったほうが
印象に残る。「なぜ江角が歌ってるの?」という、狙ったのはそのインパクトです
ね。」
ワーナーミュージック・ジャパン 吉田敬社長  朝日新聞 2007.1.20

★コメント
 予算がないと何もできないではなく、予算がないからインパクトのある知恵を
出す、これがマーケティングです。
・・・‥‥...............‥・・‥.....................‥‥・・
      
■『減速社会で変化味わう』
★気づき
 記憶の保存を扱う「思い出工学」を研究する、成城大の野島久雄教授は「一昔
前だと世代のくくりでものが語れた。現代の子供の場合、年齢や『場』ごとに価
値観が細分化している。自分の物語を再構築して『自分が何者か』を語らねばな
らないとき、記憶は『思い出化』する」と指摘する。
社会学者の見田宗介さんは「20年ほど前から社会はむしろ減速傾向を見せている」
という。
73?03年のNHK放送文化研究所の「日本人の意識」の結果に注目。時代変化の現れ
ともいえる世代間の価値観の差が、「第一戦後世代と団塊世代間」より「団塊世
代と新人類世代間」「新人類世代と団塊ジュニア世代間」へと世代が若くなるに
つれて小さくなっているという。
そんな人々が、減速する社会の中で無意識のうちに相変わらず加速感を味わって
いたい、と振舞っていたらどうだろう。実際にはさほど価値観の変わっていない、
ほんの10年前のことを、古い「思い出」として扱うことは、その有効な方法では
ないだろうか。
単なる情報としての記憶を「思い出」に換えるのは、めまぐるしく動く時代なの
か、時代と人々の意識のギャップなのだろうか。
朝日新聞 2007.1.4

★コメント
 「思い出」にもならない新しい過去が「思い出になる」。「思い出」によって
自分を語る、「思い出」によって価値観を語る。「思い出」を聞くとその人が分
かる。
           
                  日本オリエンテーション主宰 松本勝英

・・・‥‥...............‥・・‥..................‥‥‥・・・‥..................‥・・
MATSUMOTO・MINERALのバックナンバーは以下のアドレスでご覧になれます。
http://www.jorien.com/matsu.html
・・・‥‥...............‥・・‥..................‥‥‥・・・‥..................‥・・

◆マイカレンダー 2008年6月3日(火)?6月16日(月)
体調の悪さが続き、なかなか集中ができず苦戦です。
3日(火)午前、新規コンサルティングの打ち合わせ。午後、コンサルティング。
生活メリット化(ベネフィット化)ターゲットの明確化。
4日(水)HP最終打ち合わせ。シンプル、変化への対応、「らしさ」で進行。
7月7日(月)七夕の日にオープンで進行中です。七夕でお会いしましょう。
午後、韓国の友人の後輩が来社。アジア経営学の大学の講師をしていて、悩み、
希望の話。

5日(木)6日(金)「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナーの最終日。
商品力を増幅する、ネーミング&パッケージング。成功十分条件としての導入プ
ラン作り。9日セミナー終了後、セミナー参加者有志の懇親会。10人以上で盛況。
ただし頭痛あり。
9日(月)頭痛で早退。医者からもらっていた頭痛薬よりバファリンが利きました。

10日(火)コンサルティング。企業の強さ弱さと切り具の開発。
11日(水)社外の人とアイディア会議。用途開発の重要性を認識。
午後コンサルティング。ターゲットの明確化とコンセプトの切り口開発。
12日(木)大雨の中を愛甲石田へ。商品の新評価システムについて意見交換。新
しい評価方法のイメージが広がる。
夜、「マーケティングだべる会」。身体とマーケティング、新商品が主題になり
ました。

13日(金)14日(土)「第8回商品開発・会津車座塾」。10人の参加で、保守化
する消費者への対応、ブランド展開、エンターティメント、食の在り方など、多
岐に深く話がはじけました。帰りは福島へ寄り道、「割烹和」で打ち上げ。
16日(月)コンサルティングのWヘッダー。切り口からコンセプトへ。概念をリ
アルに落とす仕事。ちょっと消耗。


■■■.......................................................................................‥‥・・
■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第214号(2008/6/17) (c) 1999Japan Orientation
・‥‥.......................................................................................‥‥・・

前のミネラル 次のミネラル