1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモト・新商品開発ミネラル」

【マツモト・新商品開発ミネラル】第415号

配信日:2017年6月21日

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・■■■        商品開発・マーケティングの
・■□■   MATSUMOTO・新商品開発MINERAL
・■■■     発行者:日本オリエンテーション 松本勝英
        毎月第1・第3火曜日発行(創刊 1999/10/01)
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    ■□ 第415号 Table of Contents □■
      ◇マツモト・商品開発ミネラル
      『GEのファストワークス』
      『井村屋やわもちアイスシリーズ』
      『「エバーグリーン」人々が育てる「常緑」な曲』
      『人材もシェアしてみたら』
      『ジャズと私:論理と感性、数学みたい』

<伝言>
第141回「新・商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー
第141回は7月6日スタートです。
“なぜ30年以上、企業から支えられているのか”
☆36時間セミナーで、36の成功の秘訣が深く学べるセミナー
☆40年のコンサルティングの成功、そして失敗のエキスです。
☆30年企業のリピーターによって支えられ、続けて来られたセミナーです。
☆商品開発の厳しさ、楽しさが実感でき、成長を促すセミナーです。
商品開発カウンセリング−新しい風を吹かせる「場」です
商品開発社内教育−発想刺激の「場」です

2017年6月21日(水)1日遅れのミネラルです。
6月10日からベトナム〜バリ島インドネシア〜ベトナムに行って25日に帰ってくる予定でしたが、体の不調で18日急遽帰国。
出かける前から喘息(持病)の発作、前日前々日セミナー、点滴を打って出かけたのがちょっと無理だったのかも。いつもの気力と体力が体の不調に負けてしまった。
初めてのバリ島、ウブドの文化とアートと神の街、ケチャ、舞踏、裏通りに神々が溢れている。街の人たちはホスピタリティーに溢れ、英語はもちろん日本語、中国語など数カ国後を話す人も多く、言葉のストレスを感ぜず、世界の国からいろいろな人たちが集まり多様性も強く感じる。東京オリンピックの運営のヒントになるのでは。
これから、気力、体力、特に気力の充実が必要と75歳の海外一人旅の心得を学びました。

■『GEのファストワークス』
★気づき
 90日でガスエンジンを開発
当然、最初から潤沢な資金や人員が与えられるわけではない。あるプロジェクトでは、60〜90日間の第1段階で2万5000〜5万ドルの資金、2〜3人の専任メンバーが提供された。1次審査を通るとチームは新たに5万〜15万ドルの資金を得て、メンバーは5〜7人に拡充される。GEは同時並行で複数のプロジェクトを走らせ、審査を経ながら徐々に有望な製品開発に絞り込む。
従来はプロジェクトを始める段階でまず承認を得れば、豊富な資金と人員が配分された。そのせいもあり、仮に途中で顧客ニーズや市場の変化とズレていると分かっても後戻りができず、方向転換しづらかった。
既にGEは、グローバルで200〜300件のプロジェクトにファストワークスを適用している。事業部門は医療からオイル&ガス、パワー&ウオーター、金融と多岐にわたる。例えば、ガスエンジンの開発にファストワークスを用いて、最初のMVP(必要最小限の製品)を90日で作り上げた実績がある。従来は5年程度の開発期間を経て、顧客に納めていたとみられる。

★コメント
 GEのワークスタイルの改革、顧客ニーズの変化に対して、性能、安全性、品質の高いレベルの製品を開発することと、スピードアップが大切になる。そのために「シンプリフィケーション」そして「ファストワークス」。とにかく最初は顧客が判断できるコンセプト、スケッチ、模型(MVP)を提示し、顧客の意見を聞きながら、その意見の繰り返しで機能や信頼性を高めていく。小さく早く行動し、どんどんグレードアップしていく。リーン・スタート・アップの徹底化である。全社員を教育によって徹底共有することがすごい。

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■『井村屋やわもちアイスシリーズ』
★気づき
 井村屋やわもちアイスシリーズは、冬でも美味しく食べられるアイスの新商品として2012年に発売しました。井村屋の独自技術で、冷凍下でもやわらかいもちと、つぶあん、アイスの3層で構成される新感覚のスイーツです。カップタイプと最中タイプのものがあります。2016年の9月末までの集計で累計販売個数が1億個を超える大ヒット商品です。

★コメント
 新視点とは既存の視点の反対を考える。夏の商品を冬でも美味しく食べられる。技術を伴った新視点商品は成功する可能性が高い。私は、「冬も美味しい」から「冬だから美味しい」に持っていきたい。

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■『「エバーグリーン」人々が育てる「常緑」な曲』
★気づき
 「エバーグリーン」と呼ばれるのは、誰にでも口ずさめる、シンプルで美しいメロディーと歌詞が時代を超えて共有される感覚を持っている。僕なりの「常緑」な曲のイメージです。
たとえば、ユーミン(荒井=現松任谷=由実)の「卒業写真」(1975年)、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」(83年)、森山直太朗さんの「さくら(独唱)」(2003年)。何年、何十年と、歌い継がれてきました。曲調に派手な仕掛けはありません。水の流れるがごとく、1音ずつ階段を下りていくコード進行に乗って、メロディーが長い音符で動く、ゆったりとした曲が多いですね。そのぶん、聞き手は、感情移入しやすい。その詞の世界は、普遍的な感情を呼び起こします。人を好きになったり、別れを悲しんだり。しかも日本には四季があるので、季節の情景を取り入れると、毎年同じ季節に思い出される心のしおりになります。そこには時代のはやり物はない方がいい。トレンドを追った曲はやがて「過去の曲」になってしまいます。こう分析はできても、狙ってつくるとなると、難しい。
ひとつだけエバーグリーンな曲には共通点があります。曲の描くストーリーと、聞く人の思いがシンクロするかどうかです。人生のさまざまな場面にフィットする情景を聞き手がキャッチすることで、曲はグリーンに磨かれ、育っていきます。木々の緑は、浄化の象徴です。森であれ都会であれ、葉は二酸化炭素を取り込んで酸素を出してくれる。さまざまな思いや出来事を受け入れて、生きる力に変えていく、という音楽の持つ根源的な役割に重なります。(聞き手・村上研志)
かめだせいじ 音楽プロデューサー・ベーシスト 1964年生まれ。椎名林檎、平井堅、いきものがかりらの作品を手がけ、日本レコード大賞編曲賞2度。EテレでJポップの解説番組も。
朝日新聞2017.05.10

★コメント
 「エバーグリーン」な商品とは?ヒット商品ではないが、永く愛される商品とは?人生とシンクロするとは?エピソード記憶を呼び起こす商品とは?ゆったりとした、時代のはやり物はない方がいい、普遍的な感情を呼び起こす、人生とシンクロするかどうかがキーワード。ペギー葉山さんの「学生時代」を聞くと、何か青春の懐かしさが思い出され口ずさんでしまう。「エバーグリーン」な商品とはどのよう商品なのか考えてみたい。

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■『人材もシェアしてみたら』
★気づき
 掛け持ちでも、高い技能があれば働いてもらった方が得だ。人材もシェアする時代に入った。兼業者の活用が広がっておかしくない理由がいくつかある。
第1に、グローバル化やデジタル化の進展で、企業が経営のスピード向上を求められていることだ。必要な能力を持った人材が社内で見つかるとは限らない。兼業という、会社に拘束されない働き方を用意することで、ほしい人材を外部から取り込みやすくなる。
第2に、社外の人材と組んで新しい製品やサービスを生むオープンイノベーションを進めやすくなる点がある。プロジェクトごとに適任の人材と契約すれば人件費も効率的に使える。
第3として人口減少も挙げられる。優れた人材のパイも縮小するなら獲得競争は激化する。兼業者にも人材を求めるのは合理的だ。
日本経済新聞 2017.05.29

★コメント
 私の友人にも企業に属さず自分の技術的経験をもとにフリーに、欲している企業とともに開発の仕事をしている人がいる。スピーディーに成果が上げられることから、ウィンウィンの関係にある。企業に属していても副業を認め、能力を活用して行くことが、これから求められてくる。

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■『ジャズと私:論理と感性、数学みたい』
★気づき
 小さい頃から、ピアノを即興で自由に弾くのが好きでした。中学時代に数学にはまったのも、発想の自由さにワクワクしたから。大学は数学科に進みましたが、即興好きが高じてジャズ研究会にはまり、ジャズピアニストに。最近は「数学×音楽」の教育講演なども手がけています。数学とジャズって、似ています。どちらも論理と感性の間を行き来しながら、常に過去を脱ぎ捨てて、新しいものを生み出そうとするからです。数学は、論理が全てと誤解されやすいですが、実は情緒的な学問です。学校で定理を習うのも、そもそもそれに気がついた人がいるから。感性をフルに使って多様な角度から世界を見ていると、ある日ふと、大切な本質が見えてくる。世界的な数学者だった故・岡潔さんは、数学は、道端に咲く花に気づく情緒を養うために必要な教育だと言われました。凝り固まった先入観から自分を解き放ち、自由な視点で瞬間を捉える。まさにジャズです。逆に、ジャズの即興はとにかく自由だと思われがちですが、普段から頭も使って自分の引き出しを増やしておく必要があります。より自分らしい音色を模索したり、色々な弾き方を試したりしておかないと、展開がマンネリ化してしまいます。多彩な音やリズムなどを左脳に沈めておきながら、無意識になって感性を全開にしてこそ、魔法のブレークスルーが生まれるのです。
21世紀は、これまで異分野とされてきたもの同士をつなげて新しいものを生み出していく、クリエーティブな時代。数学やジャズが果たせる役割は、大きいと感じます。マニュアルのない問いに自由な発想から試行錯誤し、時には失敗や偶然の産物から心が動いたり道が開けたりして、奇跡の瞬間につながっていく。そんなイノベーションの疑似体験が、数学やジャズはできるのです。公式を覚えて使うだけなら、機械ができる時代。学校でも、こうした論理と感性が交錯する体験や、発想力を育むことに重きを置いて、人生やビジネスに生かす教育をしていくといいのではと考えています。人生の旅路のように、ジャズや数学の世界は奥深く、面白さは尽きない。何度も苦難にぶつかっては初心に立ち返り山を越える、の繰り返しです。私の場合、数学オリンピックに出た際も、数学を深く掘り下げるほど心躍る世界が見える喜びにただただ夢中になっていたからこそ、結果につながったのだと思います。いまジャズの即興でも、人と人が今という瞬間を一緒に創るだいご味に無心に立ち返れた時、やっぱり良い音楽になりますね。(聞き手・吉川啓一郎)
なかじまさちこ ジャズピアニスト・数学者 1979年生まれ。東大数学科卒。高校2年で国際数学オリンピック金メダル。著書「人生を変える『数学』そして『音楽』」、CD「希望の花」など。
朝日新聞 2017.05.31

★コメント
 すごいなー。論理と感性が交錯する体験や、発想力を育むことに重きを置いて、人生やビジネスに生かす教育をしていくといいのでは。マーケティングもアートとサイエンスの交錯が大事、少しでも、論理と感性を交錯させていきたいと思います。

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◆土日朝一番の映画 映画は映画館で観るとワクワク・ドキドキです。
海外出張で映画館に行く機会がなかった、残念。
機中で「ローガン」と「メッセージ」を見ましたが、「ローガン」は小さな画面では迫力なし。映画館に行って見直し。「メッセージ」は映画館で観ましたが、意味がよく理解できてよかった。「メッセージ」は2度観るとよくわかるのでは。

日本オリエンテーション主宰 まつもとかつひで

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第415号(2017/6/21) (c) 1999Japan Orientation
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